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コメント
5件
なんか、ぎゃ〜〜ってなりました(?) 続き楽しみにしてます!
うわぁぁぁぁぁぁ!続き気になりすぎるうぅぅぅ!
『遅すぎた好き』
tg視点
朝の光が、やけに眩しかった。
駅に向かう途中の坂道を、
俺は何度もスマホを確認しながら歩いていた。
あのLINEの返信は、結局ひとことだけ。
「うん」
それだけ。
たったそれだけしか打てなかったくせに、
心臓の音だけは、うるさいくらい響いてる。
制服のまま、人気のない小さな公園に着くと、
先に来てたぷりちゃんが、ベンチに座ってた。
手をポケットに入れて、空を見てる。
少し寝ぐせのついた髪。
目の下に、うっすらクマ。
たぶん、あまり寝てない。
tg おはよ
俺の声に、ぷりちゃんは振り返った。
pr お、来た。……はよ
その声に、なにも変わってないのに、
俺の喉がきゅっと詰まった。
少しの沈黙。
でもその時間が、すごく長く感じる。
tg えっと……なに?
そう聞いた声が、少し震えてしまったのを、
自分で気づいてしまって、悔しかった。
ぷりちゃんは、ポケットから手を出して、
俺の顔を一瞬だけ見て、笑った。
あの、いつもの、優しい顔で。
tg ちぐってさ、笑うとこ、ちょっとくしゃってなるやん、俺、あれ、めっちゃ好きやねん
──え?
tg え、なにそれ。どしたの急に
言葉を遮るように、
ぷりちゃんは、ふっと息を吐いてから言った。
pr 俺、お前のこと、好きやった
俺の中で、何かが止まった。
tg ……やった?
聞き返す声が、震えているのがわかった。
問い返してるはずなのに、声が遠くて、
まるで誰かが代わりに話してるみたいだった。
pr うん
ぷりちゃんはゆっくりと頷いた。
pr ずっと言えんかった。ちぐって誰か好きなやつおるんやろなって、勝手に思っててさ。だから……言わんでええかって、ずっと
バカみたいに優しい声で、
まっすぐ言ってくるのが、ずるかった。
今じゃない。
昨日なら。
いや、1週間前なら。
そんなふうに思う自分が、
いちばん醜くて、いちばん苦しい。
tg …なんで、今日なの
言いたくなかった。
言わないって決めてたのに、
口が勝手に動いてしまう。
tg なんで卒業式の今日なの、っ
ぷりちゃんは答えなかった。
答えないまま、目を伏せた。
その表情が、どこまでも静かで、優しくて、
もう、何も期待しちゃいけないんだってわかってしまった。
だから俺は、
少しだけ笑って言った。
tg ありがと。言ってくれて
その笑顔の裏で、喉の奥がきゅっとつまる。
tg じゃあ──行くね
言った瞬間。
ぷりちゃんが何か言いかけた、その声が聞こえた。
でも、俺は聞かないふりをして、
歩き出してしまった。
数歩だけ、離れたあと。
──ふたりの間に、
もう言葉が戻ってくることはなかった。
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6話とかで完結します!