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👑「ありがとうございました!!」
今日も路上でライブをする5人の前に立ち止まる人は誰もいなかった。
瑠姫は空高く突き上げた手を力無く下ろした。
🌱「今日は結構良い感じやってんけどなぁ…」
🍮「演奏も歌もその辺のアーティストに負けてへんと思うけどなぁ…」
🌺「まぁ、ゆっくり俺らのペースでやってこう」
👽「そんな呑気にやってたら一生売れへんまま終わるで」
楽器を片づけながら口々に話す。
もうこのバンドを組んで1年になる。
最初の頃は志同じメンバーが集まって、やる気に満ち溢れていて、絶対にデビューして売れてやるって意気込んでいたのに、まだこんな調子だ。
👑「あのさ…あと3ヶ月で売れなかったら、俺ら解散しよう」
🌱「はぁぁあ?!何言ってんの?!」
🍮「いや、瑠姫くんの意見に賛成。このまま惰性でやっても無理や」
👽「…ほんなら3ヶ月、本気でやろう」
🌺「3ヶ月か…」
5人は自然と集まって手を重ねた。
そして純喜の掛け声で結束力を高める。
あの頃のように。
しかし、“売れる”とは簡単なことではなく、あっという間に約束の日から2ヶ月と少しが過ぎた。
メンバーの中で、かなり諦めが広がり、せっかく集まった時間もお葬式ムードが漂っていた。
そんな時、純喜が運命を変える出会いを果たす。
何の収穫もなかった真っ暗な帰り道、ため息をついた純喜の横でドスっと言う鈍い音が聞こえた。
恐る恐る見れば、路地裏に続く真っ暗な細い道で、月の光が何かに反射してキラリと光り、その持ち主と目が合った。
🌱「う、うわぁぁあ!?!?!なになになに?!」
驚いて腰を抜かす純喜に気がついた男は人差し指を自身の口元に近づけて、ニヤリと笑った。
その近くにいたもう1人の人物は、手首を回したり肩を回したり、一線交えた後のような雰囲気を出している。
そして、2人は一瞬のうちに走り去り、夜の闇に消えた。
目の前のあまりに衝撃的な光景にワナワナと震えて立ち上がることができない。
目の前には、赤黒い液体が飛び散っていたが、後から来た男たちが何事もなかったかのように素早く処理して、また消えていった。
まるで何事もなかったとでも言うように。
🌱「け、け、警察…」
震える手で携帯電話を取り出すが、番号が打てない。
すると、突然後ろから誰かに肩を組まれた。
🍓「おにーさん、何か見ちゃった?」
🌱「へ…?」
🐰「めっちゃ震えてるじゃん」
✈️「うわー遅かったかー!また見逃した!!」
やたらと派手な3人組に絡まれる。
肩を組んできた赤いキャップを被った青年は、年下だろうか。ニカっと笑って背中をバシッと叩くと、こう言った。
🍓「おにーさん、運悪いな」
🐰「あ、警察に言っても無駄ですよ。あの人たちは捕まえられない」
🌱「ど、どういう…」
✈️「まぁ、今日のことは忘れた方がええんちゃう?」
3人はケラケラと笑いながら純喜を残して去っていった。
しばらくしてからやっと立ち上がった純喜は、路地裏の入り口に落ちているものに気がついた。
恐る恐る近付き、それを拾い上げる。
何かの模様が刻まれた金色のカフスボタンだった。
コメント
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見るの楽しすぎる !!!