テラーノベル
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俺は今日もスクランブル交差点を歩いていた。なんとなくだ。なんとなくブラブラしていたのだ。
頭の片隅では俺の曲を聴いてくれている人がまた見つかるのではないかとも思いつつ、この前がたまたまだというのも十分理解していた。
「…後悔先に立たず、ってのはよく出来た諺だな。」
他人の人生とは、時に自分の人生に密接しているものである。中学生の頃の彼が…いや、この事を今は考えたくはない。
どんっ。またぶつかってしまった。自分の危機察知能力の低さを少し嘆きながら後ろに若干よろめく。今はほとんど人がいない時間だ。後ろの人にぶつかるヘマはしなかった。
「おっとっと、大丈夫です…って、あ、この前の子。」
「え、あ、この前ぶつかった人…!」
「すみません、2度もぶつかってしまって。お嬢さん、お怪我はありませんか?」
「え、えぇ、大丈夫です…?」
「?」
彼女は首を傾げた。俺の顔に何かついているか?いや、顔も洗ったし歯も磨いてきた。何かがついているはずがない。
「…あの、ギター、やってたりします?」
彼女がそう聞いてきた。どくんと心臓が鳴った気がした。いや、鳴ったというより、震えてしまったという方が正しいかもしれない。
「ま、まぁやってますけど…」
「あ、あの!」
「は、はい。」
「ギター、上手い、ですか?」
彼女は上目遣いで俺をみてきた。色気で惑わされる男でないと多少なりとも自覚しているが、歳が若く成熟しきっていない女性がやるとこれまでに可愛らしく見えてしまうのか。いけない、ダメな方向に頭が向いてしまった。
「まぁ、恐らく、上手い方ではあると思いますけど…それがなにか?」
「ぎ、ギター!教えてください!」
「…………はっ?」
素っ頓狂な声が出た。まぁ、無理もないだろう。いきなりギター弾きだと見破られ、挙句指導を乞われるとは。見破られたのに関しては指先のタコを見れば1発だ。それくらい自分でもわかるが、他人にされると奇妙なものである。
「私!ギターやってて!もっともっと!上手くなりたいんです!」
彼女の目は情熱的で、純情で、空っぽだった。実に実に、空っぽだった。
ははっ、似ている。俺の醜い仮面をつけた時と似ている。
「まぁ、いいですけど…」
ぱあっと彼女の顔が輝いた。
「本当ですか!?やった!じゃあじゃあ、私の演奏、家で聴いてくれませんか?」
「わ、っかりました。」
そう言うと彼女は先導し、時折後ろを振り向いて俺がついていっているかを確認していた。その姿は、どこかデジャヴを感じるものだった。
野良ノ さちを 低浮上
119
129
らう
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フィオレ
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コメント
1件
いやもうね、冒頭の「後悔先に立たず」ってつぶやきからしてエモすぎ😭💕 それにまた偶然ぶつかって「ギターやってます?」って聞かれる流れ、運命感じすぎでしょ!!「空っぽだった」って表現に主人公の闇っぽさも透けて見えて、めっちゃ気になる展開…次の話が待ち遠しすぎるよ〜😭✨