※実際の団体、個人とは無関係です。
※ボイドラ時空でお送りします。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他捏造した設定が多く含まれます。
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事務所前の階段、 ドア前の踊り場まで来ると、そこにはセラフが座り込んでいた。アキラが現れるまで手に持った携帯をいじくりながら門番をしていたらしい。
セラフがこちらに気づくとひらひらと手を振りながら立ち上がった。
『おっ、凪ぬん来た。中でお姫様が待ってるよ〜。』
『わかってますよ。メッセージ、ありがとうございます』
そう交わしてさっそく中へ入ろうとドアノブを握るとセラフに肩を掴まれた。一体なんだと振り返るといつになく真剣な面持ちで口を開いた。
『ねぇ、本当に行くの ?』
『はぁ?当たり前だろ、私が行かないと雲雀は……』
『だって、アキラはβだよ?どう頑張っても発情期の雲雀を満足させられない、噛んでも番にはなれないよ。…お互いに苦しいでしょ、それでもいいの?』
『………。』
セラフから発せられた厳しい言葉にアキラは自身の唇を噛んだ。もちろんセラフとしては心配から出たもので、アキラと雲雀を引き裂こうとしている訳ではない、そんなことはわかっている。だが、否定しようのない事実になんと言い返せばいいのやら、数秒考えてしまった。
『…それでも私は、それでいい。雲雀に本当の番が見つかるまでの繋ぎでいい。』
『そう……じゃあ、いってらっしゃい、凪ちゃん』
アキラの肩から手を離し、カンカンと階段を降りていくセラフの足音を聞きながら鍵を開け、扉を開く。
あの時嗅いだ雲雀のフェロモンはひどく甘い匂いだった、だけど今はうっすらとしか匂いはしない。βのアキラには感じ取れない。あの日は何だったのだろうかと思うほどだ。
一歩、事務所へ踏み入れると奥の仮眠室からきゅー、きゅーと切なげな鳴き声がした。喉から絞り出したような甲高い、か細い声、いつもの雲雀とは似ても似つかない。
自分が呼ばれているとアキラの理性は解釈し、仮眠室のドアを開けた。
「きゅ、きゅぅーっ…きゅ〜…… 」
かき集めたアキラの衣類を手や足で踏んで整え、ぐるぐると何回もその場で回る雲雀。まさに動物の巣作り、そのものだった。
アキラが来たことに気づくと大きな目をさらに大きく見開いて固まってしまった。
『…雲雀、そっちに行っても?』
声を掛けると頭上の三角形の耳が横に倒れ、尻尾はベッドに伏せるようにぱたっと落ちた。
怯えている、というよりは本格的に発情し始めたと言う方が正しいだろう。頭を低くし、ぺたりと這うような姿勢になる雲雀。
「きゅぅ……、あ、きら…っ」
期待したような、濡れた目でアキラを見上げ、パタパタと尻尾が揺れ始める。
その隣へ腰掛け、おそるおそる雲雀の頭を撫でようとアキラが手を伸ばすと、雲雀の方からアキラの掌へと頭を押し付けきた。撫でてほしい、と言わんばかりに見つめてきては尻尾を揺らす。
『そんなに焦らないで、どこにも行きませんから。』
優しく笑みを作り、雲雀の髪や耳を撫でるとさらに大きく尻尾が揺れ、喉まできゅうきゅうと鳴り始めた。
雲雀の体はアキラから与えられる愛撫に嬉しいと全力で言っているようだが本人自身は恥じらっているようだった。
「ご、ごめん、きゅーッ♡…喉の音、止まらんくて…っきゅぅ、♡きゅ♡ 」
喉元から口へと溢れる音を手で抑え込みながら、雲雀は自身で整えた布の塊へと収まった。アキラも追っていくと遠慮がちに真隣へスペースを作ってくれた。その場所にアキラは入り込み、手近なブランケットを頭まで掛けながら共に寝転がった。
『今回の”巣”も上手に出来ましたね、雲雀。 』
薄いブランケットの天井はランプの光を透かしている、そのためか中は暗闇ではない。鼻先が触れそうな距離の二人にはお互いの表情がわかるほどだ。
「な、あきら、さわって……おれのからだ…」
そう言ってアキラの首元に顔を埋めて、落ち着かない尻尾を手で抑える雲雀。ちょうどアキラの顎下に雲雀のふんわりとした耳が当たってくすぐったいが、そこは耐え、雲雀の服へ手を差し入れる。
筋肉はあるようだが些か薄い腹を上へと指を滑らせ、平坦な胸を撫でる。
「あっ…、あっ、んぁ…」
雲雀がしっかりと握っているふわふわの尻尾は愛撫を続けると抑えが効かなくなったかのように横へと振れる。
雲雀のような、耳や尻尾が現れるΩは興奮しているのが目に見えてわかり、こちらまで興奮してしまう。
『抑えないで、雲雀。私しかいませんから恥ずかしくないですよ』
「んきゅ…♡ぅん…きゅぅ〜……あッ、ゃ…ふきゅっ♡」
尻を撫でて、尾の付け根を柔く握り込む。するとびくりと体ごと跳ね、また甘い声があがった。
柔らかな毛の感触をアキラは楽しみながら付け根を撫で続けていると突然、雲雀がうずくまるように体を縮め、今日一番気持ちよさそうな声をあげた。そしてビクビクと痙攣し、数秒後にはくったりと全身の力が抜けていった。
『おや…尻尾だけでイってしまったんですか?』
「んっ、♡ごめ……♡ごめん、そこほんまに…ッ♡よわくてっ…♡♡」
『ふふ、可愛い、雲雀…』
アキラは言いながら雲雀の額にキスをし、目線を合わせる。潤んだ金色が揺れて唇へのキスをせがんでくる。
ゆっくりと顔を近づけ、柔らかな雲雀の唇を食むと、よほど嬉しいのかまた尻尾がパタパタと忙しなく揺れる。
可愛い、と再びアキラが口にすると言い過ぎだと雲雀は頬を膨らませた。
始まりは最悪だったとしても、全てが番と認めてくれなくても。
可愛い、可愛い私の恋人。
この事実はきっと、変わらない。
コメント
2件
最高です(;_;)