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全国中学校バスケットボール大会準々決勝。
白我(はくが)学院東栄中学校の女子バスケットボールのチームが、敗退した。
赤葦 岬(みさき)は、そのチームのキャプテンだった。
スポーツは、本気で練習すれば上手くなる。
もちろん、部活や体育を本気で受けるということではなく、
知識勉強、イメトレ、筋トレ、走り込みなどを自主的にやるということ。
バスケならば、シュート練、ドリブル練、ディフェンス練、リバウンド練、
バレーボールならば、サーブ練、レシーブ練、ブロック練、スパイク練
水泳ならば、息継ぎ練、ターン練、ばた足練、バランス練
白我中学は、関西で一番強い、中学の女子バスケチームだった。
そこら辺の中学と練習試合をしても、100点差でボコボコにするだけだった。
チームのメンバーは、皆自信に溢れていた。
岬はストイックで、自主練の時間や勉強の時間を計画的に振り分け、高校受験に向けて生活習慣を整えていた。
勉強の合間の休み時間が、全てバスケだった。
バスケが大好きだった。
運動が大好きだった。
だが、全国大会で、岬は思い知らされた。
自分が上手くなればなる程、大きな壁にぶち当たる。
上に行けば行くほど、更に上がいる。
強くなればなる程、強い奴と戦う。
惨敗をした。これまでに経験したことがない感情が溢れだした。
一生懸命にやればやるほど、負けたときの悔しさは、計り知れなくなる。
どん底に、思い切り叩きつけられたような気持ちになる。
心に、ぽっかりと穴が空いたような感覚になる。
状況に頭が着いていけず、体は震えて動かない。
自分に出来るだけの努力をしても、勝利の女神は、自分に振り向かなかった。
自分達を見捨てた。
信じることができなくなった。
挑む事が怖くなった。
自信を持てなくなった。
これが、赤葦 岬の トラウマ。
『結局、岬は何処の高校行くの?』
「地元の稲荷崎高校に行く。わざわざ遠い所行く必要ないかな思て。」
『ふーん、そっか。稲荷崎って確か、バレボールが強かった気がするな。
俺は、高校入ったらバレー部入ろうと思ってるよ。』
「ほー、バレーか……ええんやない?
どこ中行くん?」
『梟谷っていう所。バレーは、そこそこ強い。』
「へぇ。……
あ、そうや京治。家の庭で作っとる蜜柑が、なってきとるから、今度そっちに送るわ。
あと、今度東京行くときは、ディ◯ニーランド連れてってな。映えスポット大量にあるらしいから。」
『え……あ、うん。
楽しみにしてる。
まぁ多分、岬が東京くるのは、大学くらいの時かもね。』
「いやや、高校生の内に東京行きたい。
秋葉原で推しの等身大パネルとツーショ撮りたい。
お台場の海でかき氷を食いたい。」
『あはは、かき氷は兵庫でも食べれるでしょ。』
「分かっとらんな京治……東京の海だからこそやねん!!
考えただけで涎が垂れてきそうやわ……楽しみ!」
『ふふっ………母さんに相談しとくよ。
もう夜遅いし、また今度ね岬。おやすみ。』
「じゃあな京治!おやすみー!」
プツッ
「ふぁぁぁ。眠いわ………
明日入学式で早いし、早よ寝よー」
(初日ぼっち……回避できますように!)