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木曜の朝7:45。教室へと足を運ばせる。
教室は、何故かいつもより賑わっていた。
「お!雪田さん!雪田さんも見せてよ!」
「え?………小さい時の写真…?」
いつも孤立した島のように散らばっている机がいくつか隙間なく並べられ、みんな揃って自分の幼少期の写真を見せ合っていた。
「急に写真なんて、どうしたの?」
「いやー昨日ね、兄ちゃんの卒アル見つけちゃってさ、そこに兄ちゃんのちっちゃい時の写真がフリースペースにどーんて載ってたの、」
「マジそれ笑ったんだけどw」
「そんで、みんなの写真も気になっちゃったって訳よ。」
いわゆる【一軍】の会話のノリについていけているか不安になりながらも返答した。
「みんな可愛いね、私も探してみるよ!」
15:30、いつもより早く帰宅できた。
小さい頃のアルバムがどこにあるか知らなかったので、母の帰りを待った。
ピッ。
テレビを付ける。
「あ!サマサンだ!」
「今日はSummer×Sunの皆さんが、新曲、FIREを披露してくださるということで、」
「お!新曲!」
ガチャッ。
ドアを開ける音が聞こえる。
「お母さんおかえり!」
「ただいま。あ、お天気見ないと。」
ピッ。
呆気なくチャンネルが変えられた。
「ちょっとお母さん!今サマサン見てたのに…」
「あ、ごめんなさいね、お天気コーナー終わったら戻すから。」
「それじゃ遅いのに…スマホで見逃し配信見るからいいよ。」
…
「あ!アルバム!お母さん、私の小さい頃のアルバムってどこにあるの?」
「あー確か私の部屋の押し入れのどこかにしまったと思うんだけど…」
「そっか、ありがとう!」
母の部屋へ行き、普段開けない母の押し入れを開けた。
埃をかぶった物の中からようやく見つけ、アルバムを引き出した時、何かが落ちる音がした。
「………母子手帳…?」
龍野 めぐ
表紙の名前欄にはそう書いてあった。
「たつのめぐ。お父さんの苗字…?」
ちょっとした好奇心で、ページを一通り捲ってみる。
「え、なんにも書かれてない。そういえば、いつも使ってる母子手帳、これじゃないかも。」