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お久しぶりです。明けましておめでとうございます。
ちょくちょく作品を閲覧しに来てはいたのですが、投稿自体は本当に久々になりますね。
最近はVOLTACTION、特にカフェ組の沼にどっぷりハマってしまいました……彼ら最高だね🫂
ハマったら書く、まだまだにわかですが一生懸命書きました。hbkn(knhb)です。
色々と読みにくい部分もあるかと思いますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです!
一応の前情報として、
・時間軸は寄宿学校時代
・2人は相部屋
・付き合っていない
・2人は幼馴染(ボイスドラマ軸)
・かなり独白多め
こちらを念頭に入れて読んでいただけるとわかりやすいと思います。
この作品は【hbkn(knhb)】です。
この作品はライバー様の名前をお借りした二次創作です。
ご本人様には一切関係ありません。
拡散、転載、スクショなどはお控えください。
また、全ての配信を追えている訳では無いので口調などが違う可能性があります。ご了承ください。
タグの意味と界隈のルールを理解している方のみお進み下さい。
「奏斗ってさぁ」
「んー?」
「誰かとキスしたことある?」
「……」
相棒はテレビから目を離さないまま、何気ない調子で僕にそう尋ねた。
画面の中では、照れたように視線を交わした男女がためらいがちに唇を重ねていた。
こいつが突拍子もないことを言い出すのは今に始まった話じゃない。今だって、画面に映ったものが脳に届くより先に、気になった言葉だけが口から零れただけなのだろう。
「あるけど」
「マジ?あれか、前付き合ってた子?」
「んーん、その子とは2週間で別れたじゃん」
「あれ、そうやっけ?」
世間一般で言えば、2週間もあればキスくらいまでなら進んでいてもおかしくないのだろう。だけど僕があまりにも友達……主に雲雀、を優先するものだから、交際2週間、何も起こらずに向こうから別れを切り出された。元々告白したのはあの子のほうだったし、大して趣味も合わなかったし……あっさり別れを承諾してしまった時には、彼女泣いてたな。いつもニコニコしていて可愛い子だったと、今更ながらに思い出すけれど。
「もっと前だよ、ずーっと前」
「ずっと前ぇ……?お前、ママとか言うなよ」
「言わねえよw」
「ふーん、やっぱファーストキスはレモンの味した?」
「いや覚えてないけど〜……てか古ッ。おじさんとかが言うやつじゃんそれ」
そう言うと、雲雀は喉の奥でクク、と小さく笑った。そして自分がまだ誰とも、キスは愚か手すら繋いだことがないことをボヤいた。
知ってるよ、ずっと隣にいたからね。お前に彼女が出来たことがないのも、自分でモテないと思い込んでいるのは実は勘違いであることも。僕が何度、お前との逢瀬の仲介を断ったことか。僕が恋のキューピット役に成り下がるなんて、雲雀の恋路を指を咥えて見つめるだけだなんて、そんなこと出来るはずがない。
少ししょげた様子の相棒の横顔が愛おしくて、思わず口角が上がる。
「雲雀はたまぁにデリカシーに欠けるとこあるからなぁ、そういうの女子は嫌うじゃん?」
「えー??それで言えば奏斗もやろ。下ネタ大魔王だし、口悪ぃし!」
「それはお前相手だけです〜。ちゃんと女の子には優しくするもん」
「いや俺にも優しくしてくんね?w」
お前に優しくしちゃったら調子狂うよ。僕らは殴り合うくらいが丁度いいでしょ?雲雀はそれを望んでるし、僕もそれに応えたい。雲雀のことを喜ばせるのはいつも僕でありたいから。
「ま、ひばなら心配しなくてもいつか出来るって。恋人のひとりやふたりさ」
また、しょうもない嘘ばかり。
「そうかぁ……?」
「そうそう、自信持ちなって!背も高いんだし、料理も上手いし。それにほら、顔だって中々男前じゃん?」
不意に雲雀の額へと手を伸ばし、前髪を払うように、そっと指を滑らせた。釣られるようにアメトリンの双眸が画面から視線を外し、真っ直ぐにこちらを捉える。
ほら、こんなに綺麗で整ってる。僕はこの凛とした顔立ちが昔からお気に入りだ。無邪気さの奥に秘めた張り詰めるような美しさが、いつも僕の心臓をどきりと打つ。
その度に、こうして見つめているだけで、僕の胸の内が滲み出てしまうんじゃないかと不安になるのだ。
指先にかすかな熱が伝わった。目をやると、雲雀は少し不思議そうにしながらも、こちらの出方を探るようにじっと様子を窺っている。
その視線に誘われるように、そのまま角張った輪郭の形をなぞるように撫でてみる。雲雀は依然として大人しく動かない。それが、僕がすることに興味津々の飼い犬みたいで、なんだか心がそわそわした。僕だけに心を許してくれてるみたいで、気分がいい。
ずっとこのまま、こいつを繋ぎ止めていたかった。
「……んぁっ…」
突然、女性の甘い嬌声が聞こえて、驚いて思わず動きが止まる。テレビの方を見ると、先程まで見ていたドラマが、気付かないうちに中々に危ういシーンまで進んでいたらしい。こんなドラマだなんて知らなかったぞ!
僕らはお互い画面を見つめたまま黙りこくってしまって、こっそり雲雀の顔を盗み見ると、笑っちゃうくらいテレビに釘付けになっていた。
「……ふふ、そんな羨ましい?」
笑い混じりに問いかけた僕の言葉に、雲雀は気まずそうに眉を顰める。
「う、羨ましかねえけど……気になりはする」
「気になる?」
「そりゃまあ、キスってどんな感じなのかなーとか、そういうの……」
「そっかぁ」
中学生みたいだな。バカ正直な雲雀の答えに小さく笑みを零してしまうと、雲雀はムッとした顔でこちらを見つめた。
「ごめんごめん、そうだよね?誰かとキスしてみたいよね」
そこまで言って、ふと、良くない考えが頭に浮かんだ。それは利己的で強欲で、僕にとっては都合がいい最高の逃げ道で。
ああ良くないんだろうな、これを言ってしまったら、優しい優しい雲雀は、きっと僕の提案に乗ってくれてしまう。僕の不埒な考えなど露知らず、全てを受け入れてくれてしまう。
そんな警鐘が頭を巡っても尚、僕の体は止まってくれなくて。一度思いついてしまえば、口に出すまでに時間は要さなかった。
「……じゃあ、試してみよっか」
「試す…?」
不思議そうにこちらを見つめる雲雀を他所に、僕はリモコンに手を伸ばし、静かにテレビの電源を落とした。
「雲雀にいつか、恋人ができた時のために。経験豊富な僕が練習台になってあげよう」
「ん、ふ…っ、」
くぐもった声と鼻息が生ぬるくて、でも不思議と不快感はなくて、むしろもっと聞きたい、もっともっと……って先に進みたくなる。ぼーっとする意識の中で、俺は甘い甘いそれを一心に舐め続けていた。
「ひ、ば…っ、いったん、ぎぶ……んんっ…!?」
口を離そうとする奏斗の頬を無理やり掴んでは再び繋ぎ合わせる。そのまま奏斗の舌を追いかけると、ぬるりと絡み合ってどうにも心地良かった。それに甘い。砂糖みたいに甘くて、トロトロしてて、おまけに頭もふわふわするし、たしかに気持ちいい。
ふるりと震えて、今にも崩れ落ちてしまいそうな奏斗の体を支えながら、俺はひたすら差し出されたものを味わい尽くそうとする。
「んぅっ…♡んん、ん〜〜ッ…♡」
ついに限界が来たのか、奏斗の体からかくんと力が抜けて、そのままカーペットの上に倒れ込んだ。それでも口を離すのが惜しくて、そのまま体を重ねて唇を食む。
奏斗、苦しいのかな。肺が圧迫されているからか、奏斗は金魚みたいに口をパクパクさせて、必死に薄くなった酸素を取り入れようとしていた。だけど腕はもう俺の首に回っていて、向こうからも離す気はない、というように強く絡みついていた。
昔、聞いたことがある。体の相性ってのは、いわゆる性行為が気持ちいいとか気持ちよくないとかではないのだと。お互いの体温、汗、肌触り、唾液の味。全てが混ざりあって溶け合って、心地いいと感じることができるかどうか。本能的に求め合えるかどうかなのだと。
これは誰の受け売りだ?テレビかな、本…は俺が読むわけないし。まあいいや。
その説に乗っ取るとすれば、俺と奏斗はすこぶる相性が良いってことになる。奏斗の唾液は甘い。手に触れるとするりと絡み合うみたいに、繋ぎ慣れたように心地良い。こいつと手なんて繋いだことないのに。奏斗の耳は、頬は、首筋は、口付けると吸い付くように柔らかくて、ずっと触っていたくなる。
だからきっと奏斗とセックスしたら、最高に気持ちいい。
これが本能的に求め合ってるってことなのかな、奏斗の方はどうなんだろう。俺の独りよがりだったら辛いな。
そもそも奏斗は、「試す」と言ったんだ。何をかと言うと、俺が誰ともしたことが無いから、“本番”のための練習として。俺は他の人とキスなんてしたことないから、普通こんなに気持ちよくて頭がふわふわするものなのかは比べようがない。だけどそうなら、悪くないな。むしろ最高じゃん。
もっと欲しい、もっと、触りたい、もっと……
「ひ、ば……ッ♡」
「……んぇ?」
頭上から声がして、顔をあげる。俺の目には、真っ赤になって泣きそうな顔をした奏斗が写った。
「は、え…!!?」
まずい、まずいまずいまずい。なんか色々マズイ、あの奏斗が、泣いてる??あの奏斗が??初めて見た、あんな真っ赤なのも……。って、それどころじゃない!!
「奏斗……奏斗奏斗、ごめ、いや、その…」
何に対して謝ってるのかもわからず、とりあえず謝罪の言葉を発する。
奏斗の方は、肩で息をしながら潤んだ瞳でこちらを見つめていた。これは、なんだ?どういう感情だ……??怒ってんのか??
そこまでして、ようやく奏斗の体に目を落とす。そこには俺が仕出かした惨状がありありと残っていた。はだけたワイシャツの胸元から除くキスマーク、大胆にたくし上げられたセーターからは奏斗の白い腹が見えていて、俺の手のひらからは、その感触が鮮明に思い出された。まるで、まるでこんなの、無理やり犯された後みたいじゃないか。
体の相性が良いだなんだと、淫らな思考を巡らせていた自分自身が、なんだか酷い大罪人のように思えて、(いや実際そうなのだが、)俺は急いで奏斗の制服を直した。
「か、奏斗、かなと…ごめん、ほんまに……あ、相部屋変えてもらう、俺…」
馬鹿な俺の頭で思いつく限りの言葉を並べる。きっかけがなんであれ、俺は相棒にしてはいけないようなことをした。
どうしよう、俺、奏斗をキズモノにしちゃった…!?
「……雲雀、」
俺がワタワタと奏斗の制服を直していると、奏斗がふと口を開く。
「───…え、」
顔を上げた瞬間、ちゅう、と響いた可愛らしい音。キラキラと光る金糸に視界を覆われて、しばらくして離れていったそれが、天使の羽のように美しかった。
長いまつ毛に飾られたタンザナイトが、ゆっくりとこちらを見つめる。
「ね、気持ちよかった?」
「……は、ぃ」
にこりと微笑まれたら、もう頷くことしか出来なくて。罪も欲も全部かなぐり捨てて、俺は目の前のこの美しい男に目を奪われていた。
それからというもの、僕はことある事に理由をつけては雲雀と口付けを交わすようになった。
朝目覚めた時、校舎に行く前、放課後、眠りにつく前……。雲雀のための練習だと、あまりに無理のある理由を突き通しては唇を重ね、舌を絡める。毎日のように繰り返せば、僕も雲雀もこの習慣が当たり前のようになっていった。
これが普通じゃないなんて、いくら馬鹿な雲雀でももう気づいているだろう。それでも渋い顔をして受け入れてくれるのは、こいつが底なしに優しいから、だけではないことを、僕はもう知っている。
僕を見る目、息遣い、指の動き。それらひとつひとつから滲み出るように伝わってくるのは、およそ親友に向けるような感情ではない。だけど僕はズルいから、その事は教えてあげないよ。雲雀がいつか気づくまで、いや、ずっと気づかなくたっていいさ。ずっと僕だけを見ていて。僕の腕の中で、従順な飼い犬のままでいて。
昔からそうだったように、これからもずっと。
「雲雀…?」
「……あ、ごめん…奏斗が綺麗だったから、つい」
「……あははっ、なにそれ〜?変なの」
「…俺さ、じいちゃんからファーストキスはレモンの味だって教わったんだけど……全然しなかったな」
「レモン?そんなの聞いたことないよ。僕の口がそんなに酸っぱいわけないじゃん!」
「そうだよなぁ、どっちかと言うと甘かった」
「え!僕も僕も、なんかほんのり甘かったよ。雲雀また隠れてお菓子でも食べたの?」
「やべ、バレた?」
「当たり前、また使用人さんに怒られるよ〜?こないだお説教されたばっかじゃん」
「だってあれはさ〜……!」
END
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