コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第二話「エリザ」
エリザは赤子を拾った町で馬車を手配し、西の村へと向かった。途中付近の村へ寄り道して、衰弱している赤子のためにミルクを買い、帰りながら飲ませてやった。人間の赤子を抱いたのは、何百年ぶりか…。腕の中で必死にミルクを飲む赤子に、なぜか心が温かくなる。村に着くまで、あと二時間はかかりそうだ。馬車に揺られていると、ついうとうとしてしまう。エリザは腕の中の温もりを感じながら、眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あるところに、1人の女の子がいました。
名前は「ヴィクトワール・ルサージュ」。
貴族の家の長女でした。
ヴィクトワールには夢がありました。
それは、世界中を旅することです。
しかし、ヴィクトワールは体が弱かったのです。
6歳の時に難病を患い、大人になるまで
生きられないと、医者に言われたのです。
外で友達と遊びたいのに、体が思うように
動かせず、走ることもできませんでした。
そんなヴィクトワールは、12歳のとき、
お父さんやお母さんに黙って、こっそり
村の外まで歩いてみました。
村の外には、広い広い草原が広がっていまし
た。
草原の真ん中にポツンと立っている木を見つ
け、近づいてみると、一人の少年が木に寄り
かかって眠っていました。ヴィクトワールが
声をかけると、稲穂のような美しい黄金の目
を開けたのです。
その少年は悪魔の子供でした。
名前は「サーショ」。
話すうちにサーショとヴィクトワールは仲良
くなり、度々会うようになったのでした。
そして、2人は互いに好意を抱き、出会って
1年後に婚約を結んだのです。
サーショはヴィクトワールがもう長くないこ
と、けれど夢を諦めはしないことを知ってい
ました。
サーショはヴィクトワールを愛していまし
た。
だから……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
悪魔が一生で1度しか使えない特別な魔法。
それは、「相手のもの」と「自分のもの」を
交換できるという契約。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少女が手に入れたのは、永遠の命。
少年が手に入れたのは限りある命。