コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
💄side
泉ちゃんは『紫陽花病』という病気に掛かっているらしい。
片目から紫陽花が咲き、魂が虚ろになるという症状を持っていると本人から伝えられた。
最初は信じられなかった。
しかも、毎月こんな症状が起こる。
掛かったのは7年前程前と本人は述べていた。
毎月、片目から紫陽花が咲き、魂が虚ろになる。
苦しいものでしょう。
けど、泉ちゃんは助けてほしいなど弱音を吐かない。
症状が出ている時は言えなくても仕方がないのだけれど、病気のことを話してくれた時は何も言わなかった。
淡々と病状を述べて、悪化すると徐々に耳が聞こえなくなる。それだけ言って、去っていった。
…こんなことを考えていたら、レッスンに遅刻しそうだわ。
早く行きましょ 。
ESビル レッスン室
「全員いるな?」
「いるよぉ、」
「じゃ、レッスン開始だ!!」
「…ッ、ちょっと待って。」
「!了解しました。」
「…最低限のことはしてあげるから〜、」
「アタシも看病はしてあげるからねェ、」
「……ありがと。」
きっと…片目が痛いのでしょう。
本人も言っていた、紫陽花が咲く時は目が痛いと。
そりゃそうよね。目から花が咲く。
想像するだけで、目が少し痛む気がするわ。
それに、魂も虚ろになる…嫌な病気よね。ホント。
泉ちゃんはそれに7年程耐えてきたのよね。
尊敬しちゃうわ。
「ッ…、」
ガタンッ
そう、物音がした。
泉ちゃんがいる方向に、目を向けてみた。
そこには、魂が抜けたような顔をして横たわってしまった泉ちゃんと思いっきり横たわった衝撃で落ちた花弁。
勿論、泉ちゃんの片目には綺麗な紫陽花が咲いていた。
「!セナ!!」
「えっと…薬は…」
「お、あったよ〜、」
「!なら飲ませましょ、!」
「わかってるよぉ、」
「セナ!!薬飲もうな!!」
そう問いかけたが、「ぅん」とか弱い声の返答だけだった。
そして、レオくんがゆっくり飲ませると、泉ちゃんの表情は少し明るくなった。
まだ虚ろなところはあるが、いいでしょう。
症状が抑えるのが薬であって、完全に治すものではない。
そんなのわかっている。
こんなことがあるから、泉ちゃんが出かける時は誰か付き添っている。
だけど、外で片目に紫陽花を咲かせてしまったら、好奇の目を向けられるに決まってる。
その為、ヘルプマークを付けている。
だけど、好奇の目を向けられるのは変わらないから、泉ちゃんは仕事以外の外出をだんだん控えるようになった。
そりゃあそうでしょう。
好奇の目なんて、泉ちゃんにとっては不快に決まっている。
……もっと早く気づければ、そんな事を思っている自分がいるが、過去のことを思い出したってどうにもならない。
今は今のことだけ、考えていよう。