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オメガバース一次創作
おほ声、下品、地雷注意
通報NG!
なんと素晴らしい朝なのだろう。カーテンの隙間からは青々とした空から清々しい光の筋が通っている。どこからともなく聞こえる小鳥たちの囀り。そう、全てが幸せで満ち溢れている朝だ。こんな状況でなければ。
俺は下半身の血流の妨げとなっている「それ」を見つめた。久我怜。長いまつ毛に筋の通っている鼻。形の良い唇。きめ細やかで透き通るような白い肌。世の中の美男美女の遺伝子を一気に詰め込んじゃいましたといわんばかりの恵まれた顔とスタイル。
怜は俺が起きたのを察知したらしく、俺の胸から頭を浮かせた。
「おはよ。」
低く、心地よい声で話しかけられるたび、俺はどこかこそばゆい気持ちになる。優しく微笑む怜は、俺の方に手を近づけてきた。
「俺におはようって言われたら、なんて返すんだっけ?」
俺の手に怜の大きい手が重なって、するすると指の間を刺激してくる。
「ねえ聞いてるんだけど」
耳元で優しく囁かれると体の中が熱くなり、過剰に反応してしまう。
「お、はよ…」
耳元で彼を感じながらなんとか声を出した。
「うーんまあ合格点」
にぱっと笑顔を広げ、怜は俺にせがんだ。
「じゃあるーたん、おはようのちゅうしようか♡」
ほらきた。毎朝毎朝、挨拶だと称してキスをねだってくる。最初の頃は頑なに拒んでいたら、最近は容赦なく拳が飛んでくるようになった。羞恥心と恐怖が葛藤した結果、俺は怜の顔に近づき、小さなキスをした。
「ん、、」
そのまま2秒ほど固まっていたら相手も満足してくれるだろう。
唇を離し、相手の満足げな顔を見て安心する。もうそろそろ支度をしなければ。ぱっと目を逸らすと、怜の指が俺の唇を撫でるように触ってきた。
「なんだよ。もう満足しただろ。」
「まだ全然足りない。」
「俺もう支度し、、」
言葉を終わらせる前に、俺はベッドに押し倒された。体格的にも抵抗できない。今から何されるのかと恐怖で怯えている俺を見て、また無邪気な顔で見下ろしてくる。そして玲は、再度唇を近づけ、もう一度重ねた。そして熱くとろけるようなキスをしてきた。
「んぅ、んん゛!」
頑張って振りほどこうとするが、体が動かない。それどころか、玲の甘い匂いに口の中が満たされてしまい、どうしても体が反応してしまう。俺は、自分の体がつくづく憎い。今度は、俺の舌を甘く噛み、吸い上げた。唾液と唾液が混ざり、それを舌で俺に押し込んでくる。おそらく飲んでほしいのだろう。ここで従わなかったら今度は何をされるか知ったものじゃない。俺は大人しく流れ込む唾液をごくんと飲み込んだ。勿論それだけでは踏みとどまらず、相手は俺の上顎を優しくなぞって来たり、舌を絡ませたりしてくる。2人の吐く音と匂いがやがて一つになる。
「んっ、、んふ、」
「……」
俺の股間に硬いものが当たる。びくッと体はひとりでに反応してしまう。しかし、怜もそろそろまずいと思ったのか、くっついていた舌をゆっくりと離した。
「俺トイレ行ってくるね。るーたんは学校の準備してて。」
やっと起き上がれる。ベッドの端に座り、呼吸を整える。玲は、俺のこめかみに軽いキスをし、寝室を出ていった。いつもはおはようのソフトなキスで終わるのに、今日はなんだか激しかった。おそらく昨日余程ストレスが溜まることでもあったのだろう。
そんなことを考えながら、俺は自分のパンツの中をおそるおそる覗いてみる。最悪だ。さっきの長いキスのせいで少しばかりか出てしまったようだ。本当に最悪だ。あいつから逃げられない意気地なしな俺も、嫌でも感じてしまう体を作った俺の性別も。
この世には生物学的な性別以外にも性別がある。人口の大本を占めるのがβ。男女に分かれているこの世界の肉体的な性別が普通な人たちだ。そしてΩ。男女構わず妊娠できるのだ。その事実がある一定数には恐れられ、嫌われる傾向があった。しかし最近は少子高齢化へ貢献しているとみなされ、βよりかは高い位についている。俺も元はといえば優秀な家庭で生まれれ、そこらへんのΩより偉い立場になるはずが、Ωとしての魅力が全く持ってない俺は家族に軽蔑され、捨てられた。そして、天下のα様というのが、人間社会において一番位が高い性別だ。αは基本的に、子孫をより多く残すため顔や才能が優れている場合が多い。そして逆に、Ωもαに選ばれるため、容姿が優れている。一体全体なんでこの俺がΩと診断されたのかわからない。顔も平凡。頭は悪いわけでも良いわけでもなく常に平均的。運動神経はやや平均以下。なんだってそんな俺がα界でもトップと言われているやつに好かれてしまったのか。あいつは顔は全てのパーツが整っていて、バランスも良い超絶美形。アメリカの有名大学からオファーが殺到するほどの頭脳の持ち主だし、ありとあらゆるスポーツをいとも簡単にこなせる脅威の身体能力も持つ。そんな完璧人間に俺は突然告白されてしまったのだ。あれは3週間前。そう、俺の通っている学校、聖蓮学校の入学式だ。