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🩷さん視点
住所を聞き出した後の俺の行動は早かった。
まだ、衣装にも着替えてなければメイクもしていない。
スマホと財布だけ持って楽屋の扉の方へと向かう。
「勇斗どこいくん?」
「ちょ、勇ちゃん!!」
グループのリーダーと連絡がつかないという非常事態に最年長の俺まで抜けるのだ、それも”何かを知っている”かのように……不安そうな声をあげる太智と舜太に短く「仁人の家へ行ってくる」とだけ言って楽屋を飛び出した。
(頼むから無事でいて…)
意気地無しで、想いを伝える事すら出来なかった俺の願いは幸せそうに笑う仁人を守る事だけだったのに。
異変に気付いたのはタクシーがもう少しで仁人の家に到着しようとしていた時だった。
「ここでいいです」
お釣りを受け取るのももどかしくそのまま車を降りて見た光景に絶句した。
「…なんだよ、これ」
マンション前に停められた2台の救急車と数台のパトカー、それを何事かと見守る沢山の野次馬。
自分の中にあった嫌な予感が確信に変わるのと同時に野次馬を掻き分け規制線を張られたエントランスへ向かう。
「住民の方ですか?」
「…いえ、違います」
予想は出来ていたがやはり警官に止められた。
こんな事をしている場合じゃない…早く仁人の顔を見ないと。
「ここに住んでる人の知り合いで…」
「ストレッチャー通ります、道を開けてください」
警官に説明して通ろうとしていたら慌ただしい音と救急隊の人らしき人の声が響いた。
目の前を横切ろうとするストレッチャーに乗せられている人物を確認するように見る。
「仁人っ!!」
警官の制止を振り切り駆け寄る。
「ご家族かお知り合いの方ですか?」
「はい」
「病院までご一緒に来ていただけますか?」
「はい」
俺の口から出る言葉は目の前の状況を理解したくないのか単調な言葉しか出てこなかった。
青白い顔をして横たわる仁人の顔を見ながら
(仁人がいなくなったら俺、生きてる意味を見いだせなくなっちゃうよ…)
病院へ向かう救急車の中悪い事ばかり考えていた。
なんで、こんな事をしたの?
思い詰めるとこまでいってたの?
相談ぐらいしてくれたってよかったのに。
俺、応援したよ。
仁人が幸せならそれでよかったのに…。
言いたい事は沢山あるのに声に乗せて伝えることもできない。
多分、長くなります。
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