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翌朝はみんな普通に起きてきた。あの後アドレーヌも無事落ち着いたみたいで一安心だ。
「んん…きもちぃ~…!」
昇ってきた朝日をたっぷりと体に受ける。 大きく伸びをすると、体じゅうの筋肉がほぐれていく感じがした。朝の陽射しは、やっぱり格別だ。携帯してあるボトルの蓋を開けて、中身を飲む。渇いた体中に水が行き渡っていくこの感覚も、朝の贅沢だ。
「――あ、カエデー!」
遠くから走ってくるカービィの姿が見えてきた。こちらへと大きく手を振りながら、あっという間に城の入り口の前にたどり着く。
「おはよー!」
「おはよう、カービィ!」
わたしもベランダから飛び降りて挨拶を交わす。走ってきていたはずのカービィが全く息を切らしていないのに少し驚いたが、そんなわたしの様子など気にせずにカービィは城へと入っていく。その背中を追いかけていくと、それぞれが朝の支度を済ませて集まってくる頃だった。
「みんな、大丈夫そうだね」
カービィがどこか安心したように言った。悩みのなさそうな彼でも、こうして不安になることがあるのだ。そう思うと、少し親しみが湧いた。
「よし、今回も先に目的地を決めるぞ。先に言っておくが、この二人には事前に聞いておいた。だが、他はどこに落ちたかは分からないらしい」
「…でも、三人が落ちた場所って…」
「…リリルさんがホロビタスター、イズさんはウルルンスター、そしてカエデさんがここ、ポップスター。――偶然だとは思いますが、前の旅と…リップルスターが襲われたときと、同じ星に落ちていますね」
「そう考えると、考えられそうなのはあと三つかあ…コレカラスター、ブルブルスター、リップルスター…」
分からない名前だらけだ――と思ったが、最後のリップルスターという名前だけは、先のリボンの話ではないどこかで、聞いたことがある気がした。
「…リップルスター……リボンの故郷、だっけ…?」
「あれ?カエデ、知ってたの?」
「うん。昨日、リボンに宇宙のことを質問されて…それが気づいたら、お互いの思い出話になってたんだよね」
「へえ…とにかく、この三つから捜してみるのがいいんじゃない?」
その意見には全員が賛成だった。
「でも、もしリップルスターに誰かが落ちていたとしても、保護ぐらいはしてもらえていると思います。だから、コレカラスターかブルブルスターのどちらかからでいいのではないでしょうか?」
「ブルブルスター…コンベア…ピコハン…圧死…うっ頭が」
「…コレカラスターからでいいか…」
何らかのトラウマに苛まれていそうなカービィと、平静を装いつつもカービィと同じ表情をしているデデデの二人の様子から、ブルブルスターは“やばい場所”だと言うことが伝わってきた。
(あの二人の過去に何があったんだろう?)
「…それで、今回は誰が行く?」
「そうだな…とりあえず、アドレーヌ、リボン、カエデ。お前らは二連続で行ってるから駄目だ。あとイズも一応まだ安静にしておいたほうがいいだろうな。とにかく、お前らはゆっくり休んどけ」
「ワープスターの操縦しなきゃだし、ぼくは固定だね」
「んで、残り行けるのは…俺とワドルディ、バンダナ、あとはリリルだな」
そう言ったデデデは、言葉にはしていなかったが、どこかうずうずした様子だった。彼も行く気なのだろう。
「…コレカラスターって、どんな星なんだ?」
「うーん、確か…ジャングルとか、火山があったと思う。…それがどうしたの?」
「…なら、ウチも行く」
リリルの目は真剣だった。それはきっと、コレカラスターにいるであろう者を助けに行きたいという意志だ。
「そうか…で、俺も行くとして…お前らはどうしたい?」
デデデはワドルディとバンダナワドルディの方を見た。二人は顔を見合わせると、何やらひそひそと話しをはじめた。
「…じゃあ、ぼくが行きたいです」
一歩前へと進み出たのは、バンダナワドルディの方だった。
「えっ、旦那も行くのに大丈夫なの?」
「オイラが留守番するので大丈夫っス!バンダナさんが事前に色々と教えてくれたので!」
誇らしげに胸を叩いたワドルディを見て、みんなの顔から徐々に不安が消えていった。肩の荷が下りたのか、バンダナワドルディも前とは違う表情だ。
「よし、じゃあ早速行こう!ぼく先にワープスター呼んでくるね!」
足早に去っていったカービィの背を追おうとしたが、それを静かに止められた。左手をすっと引いたデデデは、任せろと言わんばかりに頷いて、他の二人と共に城を出ていった。
(大丈夫、だよね…)
「…あの、カエデさん」
「…なに?」
「ちょっと、お願いがあるのですが…」
リボンが申し訳なさそうな顔で近づいてくる。これから何かを頼み込まれる気がした。
「夢の泉に、調査に行ってもらえませんか?」
「…ああ、わたしが落ちた場所だね。別にいいけど…なんで急に?」
「昨日、アドレーヌさんが倒れたじゃないですか。その後、眠っているときも、少しうなされていて…クリスタルを持たせたら、少しはマシになりましたが 」
「…ナイトメア、だっけ」
「はい。あくまでも、憶測なのですが…」
「…わかった。でも何かあったとき、わたし一人じゃ対処できないかもしれないから、イズも連れていって大丈夫?」
「いいですが…くれぐれも、体調には気をつけてくださいね」
話を小耳に挟んでいたらしいイズが、先に行ってるよ、と残して走っていった。わたしもそれに続こうと、一歩を進める。が――
(――っ…)
出した右足が、少しふらついた。視界が黒にぼやけてくる。誰にも悟られないように踏ん張ったら、マシになったみたいだ。
背後から、クリスタルを握りしめるかすかな音が聞こえた。
あとがき
遅くなってすいません!フジミヤです!
この前の雑談でも言ったように、プチスランプにつき全然進みませんでした…次は更にグダる気がする…
その次はいっぱい書くのでまた遅れる…てかそろそろ書ける範囲でグレゾ書かなければ…
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