テラーノベル
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私達は決めていたわけではないが毎週必ず会っていた。
ご飯を食べたりお茶したりそして制作についての話しのときはお互いヒートアップすることもあったが沢山いろいろな話しをした。
初詣、お花見、花火大会、そしてお互いの誕生日など季節のイベントを2人で楽しんだ。
立場上どう都合をつけて会いに来てくれたのかは気にならないわけではなかったが、毎回時間を作ってくれたことに感謝した。
そしてもうすぐハロウィンがやってくる。
そう、気がつけば最初に出会ったあの日から一年が経とうとしているのだ。
私は10月31日に何か記念になる物を渡そうと思っていた。
普通のカップルの場合と異なり私が彼に物をあげるという事は特別気を配らなければならないと思っている。
なのでやはり誕生日の時のように消え物が良いのだけれど今回はどうしても記念日なので残る物をと思った。
その中でもカバンの片隅にソッと収まる小さな物が良いと思った。
お休みのある日私は記念日の贈り物を探しに街に出た。
いろいろお店を見たが思っている条件に当てはまるものがなかなか見つからなかった。
今日は諦めて帰ろうとした時、ふと左を見ると細い路地に間口の狭い雑貨屋さんがあった。
私は吸い込まれる様にそのお店に入ると、猫ちゃんやワンちゃんやらの可愛いらしいグッズが所狭しと並んでいる。
店の奥の棚に目をやると輝いて見える金と銀のペアの小鳥のキーホルダーがあった。
それは近くでよく見てみると少しくすんでいるのだが何故だか私にはキラキラ輝いて見えた。
2羽の小鳥のクチバシとクチバシが磁石になっていてくっつくことのできる一対のペアキーホルダーだった。
私は迷うことなく’それ’を手に取りレジに向かった。
私は可愛いらしい’それ’をとても気に入った。
会えない時もお互い持っていれば一緒に居る様に思える気がしたからだ。
でもこんな意味を持つ’それ’を重荷に感じるかもしれないという懸念は否めない。
それだからどういう意味を持つかは言うつもりもない。
ただなんとなく可愛らしいお揃いの’それ’が気に入ったからどうぞ…くらいのフリを決め込むつもりである。
記念日当日、絃さんに渡す’それ’がどう転がるのか少しの不安とそしてそれよりちょっと上回る期待が心の中を交差している中、私は綺麗な包装紙に包まれた’それ’を大事に抱え家へ帰った。
コメント
1件
もう、すごく切なくて温かい気持ちになりました……🥀💞 主人公が「重荷に感じるかもしれない」って気にして、でもそれ以上に「一緒にいたい」って想いが溢れてて。ペアの小鳥のキーホルダー、くすんでるのに輝いて見えるっていう描写、ほんと大切なものってそういう捉え方なんだなって思いました。 「意味は言わない」「ただ可愛いから」ってフリするところに、優しさと不安と期待が混ざってて、胸がぎゅっとなりました。絃さんにどう伝わるのか、すごく気になります。 贈り物を大事に抱えて帰るラスト、静かだけど愛おしさでいっぱいで、すごく好きです🌙🤍