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わあ、もう一年経ったんですね……「同じ場所で」同じハロウィンのイタリアンバル、同じ席、同じドリンク。その反復が逆に、あの時とは違う“二人の今”を浮き彫りにしていて、胸がぎゅっとなりました。上を向いて涙をこらえるユウユウさんと、それに気づいてそっと受け止める絃さん。「お姉さん」から「ユウユウ」に変わった呼び方と、一年越しに「どうぞ」と差し出したドリンクに、確かに積み重ねてきた時間が見えて、じんわり温かくなりました。素敵な一年記念のエピソードをありがとうございます。
その日街には思い思いの仮装した人がチラホラ見かけられた。
出会ってから一年経ったのが信じられなかた。
ほんの1、2回ラーメンを食べに行きお互いの制作についてお話しするくらいだろうと思っていたのだが一年の間ほぼ毎週会い仲を深め、
今や’ケンケン.ユウユウ’もすっかり板につき当たり前になっていたのだから。
私は待ち合わせ場所の一年前のあの日に初めて入った イタリアンバルに急いだ。
お店に入ると去年のあの雰囲気と同じ雰囲気に包まれた。今でも鮮明に覚えている。
店内の飾り、流れている音楽、楽しそうな仮装したお客さん達。
あの時となんら変わりのない雰囲気の中、私の目の前に立っていたのは絃さんだった。
「ケンケン先に来てたのね〜、私が先だと思ってたのにっ!」
「俺が先に来て待っていたかったんだよ〜」
回りの雰囲気はハロウィンモードで相変わらずであったが、私達は一年前のあの時とは全く違っている。
当たり前ではあるが改めてそんな事を思ってた。
そしてわざと店内の飾り付けを見るように上を向き目から溢れ出してくる物を防ごうとした。
それを知ってか知らぬか絃さんも上を向き
「飾りもあの時と同じだな…また一緒にハロウィンの日に此処にこれて嬉しいよ」と言った。
私はただただうなづいていた。
なんだか胸がいっぱいでそうする事が精一杯だった。
私の中ではやはり思うところがあり楽しい出来事だけではなかった。
だが楽しい事の方がそれを上回っていることは確かだったしそんな風に思えるように過ごせた日々に感謝した。もちろん絃さんにも。
奇しくもあの時と同じ席に案内された。
「このドリンク名前が面白いね、これにしてみる?」
「俺はビール!」
絃さんのあの時と同じセリフを耳にして
少々不自然ではあるが私はまた店内の天井やら上の飾りを見るフリをして溢れてくる涙をこらえながら、
「そうね、それにします!」と答えた。
そうしてあのピンクのドリンクが運ばれてくる。
絃さんはすかさずまた
「ピンクで可愛いドリンクだね、ユウユウに似合っているよ」とまた同じセリフを言う。
いやあの時と同じではない。
‘お姉さん’からユウユウになったのだから。
そして多分次また言うであろうあの日のセリフが彼の口をつく。
「美味しそうだね〜ひと口飲ませて⁈」
しかし私はあの時とは違う。
「うん、飲んでみて〜美味しいよ!」
あの時は初対面なので抵抗があったけど。
彼はひと口飲むと
「美味い!こういう味だったんだなぁ、一年越しだから尚美味い!」
もう私は上を向きっぱなしだった。
すると彼が可愛い箱を差し出した。
「はいこれ、一年記念のだよ。いつもありがとうな。」
私は絃さんも用意してくれていた思いがけない贈り物に少々驚きと嬉しさでまた上を見上げついた。
せっかくの素敵な場面なのになんか上ばかり向いて先程からちょっと’アホな子’みたいになっている。
さすがに堪えきれず今迄我慢していたものが目からこぼれ落ちてしまった。
絃さんは指でそれを拭い
「またもう一口ね」と言って半分くらいゴクゴクと飲んでしまった。
「もー、私のがなくなっちゃう!」
しんみりしてしまった雰囲気を変える様な絃さんのそんな振る舞いに感謝した。