テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
107
#糸師凛
りー
85
夢小説ꪔ̤
6,601
224
体育祭当日。
校庭は歓声と太鼓の音でいっぱいで、青空の下、色とりどりのユニフォームが揺れている。
クラスごとの応援団が声を張り上げて、笑い声や掛け声が入り混じる。
観客席に座ると、隣には自然に黒名先輩がいる。
黒名「暑いな」
無言で手が私の指先に触れ、そっと握られる。
その距離感だけで、胸がじんわり熱くなる。
黒名「こっち見て」
競技に夢中になっている私を、低く囁くように促す。
視線を合わせると、先輩はほんの少しだけ目を細め、何も言わず手の力を少し強くする。
周りの歓声や応援の声が、まるで遠く消えたみたいに感じられる。
リレーが始まると、仲間たちの声援がさらに大きくなる。
走る選手たちを見つめながら、つい先輩の指を握り返す。
黒名「…..気になる奴、いる?」
ふいに聞かれて、思わず固まる。
真白「え、えっと…….いません!」
慌てて答える私に、先輩は短く首を傾げるだけ。
でも、その目線と握ったてから伝わるものは十分すぎる。
競技がひと段落ついたあとも、手を握ったまま隣で座る黒名先輩。
風が少し吹いて、校庭のざわめきに混ざる笑い声や太鼓の音が、なんだか二人だけの世界みたいに感じられる。
黒名「……離さない」
低く、でも確かに響くその声、自然と頷いてしまった。
周りの賑やかさの中で、こんなに心が落ち着く瞬間は初めてだった。
人混みの中にいても、手を握ったままの距離で感じる温かさが、何よりも特別に思えた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!