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夕方の帰り道。
隣を歩く
黒名蘭世は、いつも通りの無口で、一定の距離を保ってる。
黒名「….今日さ」
何気なく話しかけようとした瞬間、手を引かれた。
黒名「こっち、こっち」
細い路地裏に連れ込まれる。
真白「え、ちょっと、何────」
振り返るより先に、壁に軽く押し付けられる。
逃げるほど強くないのに、離れられない距離。
真白「近いって…..」
黒名「普通、普通」
絶対に普通じゃない。
そう言い返す前に、黒名の手が頬に触れる。
黒名「顔、赤い、赤い」
真白「それは…..そっちのせいでしょ….」
視線をそらそうとすると、軽く顎を持ち上げられる。
逃げ場が完全になくなる。
黒名「見る、見る」
真白「見なくていい…」
言葉とは裏腹に、目は閉じられない。
黒名は少しだけ首を傾げて、距離を測るみたいに止まる。
ほんの一瞬の静寂。
心臓の音がうるさい。
黒名「する、する」
真白「な、なにを────」
最後まで言わせずに、口が触れた。
一瞬だけ。
でも、すぐには離れない。
触れて、確かめるみたいに、もう一度。
真白「…..っ」
呼吸が乱れる。
離れたと思ったら、額が軽く当たる距離で止まる。
黒名「嫌じゃない、嫌じゃない」
間違いじゃなくて、確認。
首を小さく振ると、黒名はほんの少しだけ目を細めた。
黒名「じゃあ、いい、いい」
そのまま、今度はさっきより深く、ゆっくり重なる。
逃げる理由なんて、もうどこにもなかった。
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