朝の音が近づいてくる
嫌だ。嫌だ。まだ夢の中にいさせてくれ。
心の底からそう願うが、虚しく空中に蒸発して消えていくだけだった。
目覚ましのアラーム音が何よりの証拠。
目覚ましの音はお気に入りのアーティストの曲だ。聞いてて嫌じゃない音で目覚めれば気分のいい朝を迎えられるのではという意図だったが最悪な気分は変わることなく、それどころかアラームに設定しているこの曲を聞くと朝のこの感じが蘇ってくるようになってしまった。
曲自体は嫌いじゃないんだけどな。
そんなことを考えながらゆっくりとベッドから降りて自室を出る。
お花を詰んで顔を洗って歯磨きを済ませ、制服に着替える。毎度結ぶのが面倒なので使い回しているネクタイを締めたら、ヘアアイロンがあったまったことを確認して髪をセットする。
朝食(明太フランス。おいしい。)をとり、やる気のない行ってきますを家族に放つ。
1人の登校。考え事をして暇を持て余す。
そう、よく考えたら、いやよく考えなくても神様なんてこの世に存在してないと思う。
だって本当に神様が存在しているなら、この世から宿題と朝なんてとっくの昔に消滅していると思う。(自分の中で、神様とは人間の願望を叶える便利なシステムという定義がある)誰も願ってないなんてことはないと断言出来る。自信がある。
背後から名前を呼ぶ声が聞こえる。毎朝一緒に登校している友達だろう。呼び掛けに応えるために振り返った。
次の瞬間、自分の体は空中に浮かんでいた。
否。正しくは、空中に放り出される感覚があった。
思わず目をつぶった。
次に目が覚めたとき、自分の体は歩道にうつ伏せの状態で倒れていた。
「大丈夫!?」
慌てた声。差し出される手のひら。
急に倒れたし無理もないか。
大丈夫、と答えようとして、声が出なかった。手を引っ込めてしまった。
だって目の前に立っている2人を、私は知らなかったのだから。
コメント
2件
うおおおおおおお!!!! これからの展開くそ気になりすぎてヤバい
新連載来ちゃああああ!!!! 最後の何だろ、? 交通事故とか??