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おっけー!ありがとう、じゃあ
夜。
仕事を終えて帰ってきた3人は、朝とは打って変わった無言の◯◯を見て、空気を読みながらもなんとか距離を縮めようとする。
「ただいまー……」
「◯◯? ごはん、作ってくれた……かな?」と涼架。
「食べたいなぁ……今日、一日ずっと楽しみにしてたんだけど」と滉斗。
しかし、◯◯は後ろを向いたまま、冷たく答える。
「キッチンにカップラーメンあるよ。お湯も沸いてるし、自分でどうぞ」
「えっ」
「……ガチ?」
「わ、わかった……ありがと……」
3人ともシュンとした表情でキッチンへ向かう。
元貴は少しだけ不満そうに口を開く。
「ねえ、朝のメモ……見たよね?」
「うん。見たけど?」
「“夜、ちゃんと話そう”って書いたじゃん。無視?」
「話すって、そっちが勝手に書いただけでしょ?」
「うわ〜冷たい……」と涼架が小声で呟く。
すると◯◯が振り返り、ジト目で見つめる。
「何? 聞こえてるよ?」
「ひっ……ごめんなさい」
元貴はため息をつき、真剣な顔になる。
「……じゃあ、こっちからちゃんと言う。
昨日のこと、本当に悪かった。
あの番組で、俺たちがどう見えたかは……今思えば、配慮が足りなかったと思ってる」
涼架も続ける。
「俺たちにとっては本当に“仕事”だったんだけど、
◯◯にとっては……“関係性”の問題だったんだよね。
見てて嫌な気持ちになったって、もっと早く気づくべきだった」
滉斗も俯きながら、ぽつり。
「◯◯が俺たちのこと、大切に思ってくれてるのに……
それに甘えて、安心して、気づこうともしなかった。ごめん」
沈黙。
◯◯は少しだけ目を伏せ、でもまだ許す様子は見せない。
「……なんでさ、あの子には笑えるのに、私には難しい顔するの?」
「……ちがうよ」元貴がすぐに口を挟む。
「笑えるんじゃない。“笑ってただけ”。
でも、◯◯の前だと……真面目になっちゃう。
ちゃんと向き合いたいと思うから、軽くできないんだよ」
涼架も苦笑いする。
「ほんとそれ。◯◯にだけは、軽く言いたくない。
だから逆に……うまく笑えないっていうか、照れるし」
滉斗が、おそるおそる近づいてくる。
「俺たち、◯◯といる時間が一番落ち着くし……大事なんだ。
他の誰でもない。◯◯じゃなきゃ、ダメなんだよ」
◯◯は、ようやく肩の力を抜いた。
でも、まだ少し意地悪を残した声で言う。
「……じゃあ、証明してよ」
「え?」3人がそろって声を上げる。
「口だけじゃ、信じない。私にだけ特別だって言うなら、態度で証明して」
元貴がニヤリと笑う。
「いいよ。じゃあ今から証明する。3人で」
涼架が頷く。
「今日は◯◯だけに笑うって決めたから」
滉斗が手を差し出す。
「まずはごはん作らせて。君のために」
その夜、◯◯は3人からの“証明”をたっぷり受け取ることになる。
キッチンで料理をする3人。
焦がして、騒いで、笑いあって。
そのすべてが、◯◯だけのためだった。
元貴は、そっと◯◯の耳元で囁く。
「……女優じゃなくてよかった。俺、◯◯じゃなきゃ無理だったって、今思ってる」
涼架は、照れ隠しにハグをしてくる。
「もうヤキモチは見せないでね。こっちが嫉妬しちゃう」
滉斗は優しく手を握る。
「……これからは、全部伝えるから。言葉も、態度も」
翌朝、目覚めると、リビングに置かれたメモ。
「これからも、いっぱい意地悪していいよ。
そのたび、俺たちはもっと◯◯を好きになるから」
「も〜う、あいつら〜!しょうがない許してやるか。」
次回、仲直りのハグ?