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「あいつを、殺せ。」
―バァン!―
「あの人の名前、彩瀬 夏輝(あやせなつき)って言うんだって。君にも兄がいたとはなぁ。これで邪魔者が消えたね。」
「…え?」
―今から10年前―
「こうやって人を殺すんだよ、いいね?」
「うん! 」
ぼくの名前は彩瀬 輝 (あやせひかる) 。
現在四歳。
今、”殺し”っていうのを教えてもらってるところ。
「早速やってみようか。」
この男の人は無花沙 ナイコ(むかさないこ)。
ぼくを拾ってくれた、お父さんみたいな存在。
ナイコさんは『殺し屋』って言うのをやってるらしくて、運動神経、学力、視力、聴力がケタ違いのぼくを選んでくれた。
ぼくはナイコさんに連れられて、この建物の屋上までやってきた。
「あそこにスーツを着た男の人がいるだろう?」
「うん」
「この銃で当ててみてくれ。できるかな?」
ぼくは渡された銃を、街灯辺りにいる男の人に向けた。
スコープがついていない、こんなところからじゃ到底撃てるはずがない距離。
ぼくは狙いを定めて、その男の人の頭に狙いを定めた。
―ヒュン―
思っていた銃声じゃなかった。
かすかな音と共に出た銃弾は見事に男の人の頭にめり込み、倒れた。
「…やっぱり君はすごいね」
ぼくは笑った。
「…ニコッ 」
ぼくは嬉しくなってにこっと笑った。
すると、ナイコさんはぼくに目線を合わせて言った。
「そういえば、あの男の人、彩瀬 夏輝(あやせなつき)と言う名前だったみたいだよ。君にも兄弟がいたとはねぇ。」
「…え?」
ぼくは持っていた銃を落としてしまった。
ぼくのお兄ちゃん…?
頭が真っ白になった。
『ひかる!』
ぼくの名前を呼ぶ笑顔が素敵な青年。
お兄ちゃんだ。
でも、お兄ちゃんは「ごめんね」とだけ言って、消えていった。
「もう、いないんだ。」
ぼくの目は光を失っていて、笑いながら涙を流していた。
これが、僕の『無情の殺人鬼』となるきっかけだった。