テラーノベル
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昼休み。
心愛はいつものように屋上に向かっていた。
みんなと一緒にお昼を食べるのは好きだけど、
最近はちょっと疲れる。
「あ、ここって来ちゃダメだった?……ごめん、
ぼくも静かな場所、探してただけで ‥」
先にいたのは、朝霧のあ。
手にはスケッチブックと、紙パックのココア。
「……のあ、くんっ?」
「うん。あ、ここあちゃん、だよね。あの時、手紙の話してた‥」
彼は、まったく壁を作らない。
それが逆に、心愛にはちょっと眩しく感じた。
「ココア、好きなんだ?」
「うん。名前と同じだから……じゃなくて、甘くて安心するから。のあくんも飲む?」
「いいの?…ありがとうっ !」
のあは一口飲んで、少し笑った。
「……ちょっと苦いね。でも、好きかも (にぱ)」
心愛は驚いた。
誰かに「ちょっと苦い」って言われたら、
たいていは「無理」「甘すぎる」って言われるのに。
「……君は、“可愛い”って言うのが、すごく自然なんだね っ」
「え……?」
「でも、無理してるって思ってる人、いるんでしょ」
心愛の胸が、きゅっと音を立てた。
「 それでもさ、ぼくは……ここあちゃんの『好き』って気持ち、本物だと思うよ 」
その言葉は、いつも“可愛いフリ”してるって
言われてきた心愛の仮面を、すこしだけ外してくれた。
「 ねえ、のあくん……キミ、
なんでそんなに優しいの……?」
「うーん……それ、よくわかんないっ。
でも、誰かが悲しいの、ぼく、すごく苦手なんだ っ(にぱ)」
彼は照れたように笑った。
その笑顔に、心愛の胸はまた、少し痛くなった。
参加者まだまだ待っています!!
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