テラーノベル
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「 ぇ 、 うちの名前 ? 鬼灯恋夢だよ ~
読み方?あんたそんなことも分かんないの っ !?
『ほおずき れむ』って読むの。覚えなさい 👊 .」
リア友の参加です!
まぢ感謝すぎるリア友😭
昼休み、教室。
心愛がのあの隣でお弁当を広げていたとき、後ろから鋭い声が飛ぶ。
「 うわ、またやってんじゃん。ぶりっ子劇場〜(笑」
「……なに、望月って、のあ狙ってんの? キッショ」
振り返ると、そこにいたのは──
黒色に近いきれいな髪、ピアス、濃いめのメイク、でも目がすごく綺麗な少女。
鬼灯 恋夢。
空気が一気に張り詰める。
「あんたみたいな“愛されたいだけ”の女、うち、マジ無理なんだけど( 笑」
心愛は唇を噛む。でも、何も言えない。
そこへ、のあが割って入る。
「鬼灯さん……望月さんにも、好きって気持ちがあるんだよ」
「 は?のあ、あんたバカ?誰にでも優しくすんなって言ってんの」
咲がそれを遠くから見ていて、ふっと小さく笑う。
「鬼灯 恋夢。あの子……感情の出し方が、不器用すぎる」
「でも……その痛みの出し方、私と少し似てるかもね」
放課後、雨の匂いが残る渡り廊下。
鬼灯 恋夢は、スマホを握りしめてぼんやり空を見ていた。
「恋って、バカみたいだよね」
誰に言ったのでもなく、ただ独り言のように。
でも──その瞳の奥には、いつまでも消えない“ある日”の記憶が揺れていた。
中2の春
教室の窓際。
昼休み、恋夢は机に向かって、ピンクの手紙をにぎっていた。
宛名は、同じクラスの**“佐伯 ひなた”**という女の子。
明るくて、みんなに好かれて、
でも恋夢にだけは特別優しくしてくれた。
「れむちゃんって、実はすごく可愛いよね」
「髪さわってもいい?」
「あたし、れむちゃんのこと、もっと知りたいな」
そんな言葉に、本気で心を奪われていた。
──その手紙には、「好きです」の文字があった。
“あなたが女の子でも、わたしは好きです”と。
机の中に入れた手紙は、戻ってきていた。
中身は、原形をとどめていないほど、
ぐしゃぐしゃに丸められた状態だった。
そこには赤いペンで、こう書かれていた。
「キモい。やっぱギャルって頭おかしい(笑)」
「女に告るとか、普通にムリだし」
「無理だから。関わんないで」
そのあと──恋夢の地獄のような日々が始まった。
・机に落書き:「レズビアン席」
・LINEのグループから無言で退会
・保健室で寝ていたら写真を撮られて晒される
・「おまえって女の子狙うんでしょ?」
と男子にからかわれる
言い返せなかった。
誰にも言えなかった。
先生にバレても、「やめなさい」で終わった。
「……なんで、好きになっただけで、こんなに壊されなきゃいけないの?」
雨がポツポツと落ち始めていた。
恋夢は、傘もささずに空を見ていた。
「あの日からずっと思ってる。
“恋してごめんなさい”なんて、絶対言いたくないって」
「だからウチ、“ぶりっ子”とか“恋に酔ってる子”見るとムカつくの。
それ、どんなに恵まれてるか分かってんの?って」
「……ウチだって、誰かに“可愛い”って思われたいとき、あるよ。
でも、誰にも言えなかった。
女の子に恋するって、キモいって言われそうで……」
「だからさ。
心愛みたいな“見て見て系女子”見ると、
嫉妬するんだよ。……ウチが、できないこと、平気でやってんの」
だけど──
そうやってぶつけた怒りが、どこにも届いていないことも分かってた。
「……鬼灯さん」
振り返ると、そこにいたのは──天野 咲だった。
傘をさして、無表情に彼女を見つめていた。
「濡れるわよ。入ってきたら?」
恋夢は、ふと笑った。
「なに、あんたが“優しく”してくんの ? 似合わね〜 ( わら 」
「……そんなふうに人を拒絶するの、もうやめなさい。
あなたは、好きになっただけ。傷つく理由なんて、ないわ」
咲の言葉に、恋夢の胸がぎゅっと痛んだ。
「“好きになってごめんなさい”って言わなくていい。
ただ、次は……誰かに、“伝えてもいい”って思える恋をして」
「それが、あなたの卒業への第一歩よ」
恋夢は、咲の傘に入った。
ぎこちなく。けれど、ほんの少しだけ“重ねた傷”が重ならないように。
「あんたさ、嫌いだったけど……
今はちょっとだけ、マシに見える」
咲は、ほんのすこしだけ笑った。
本当に、すこしだけ。
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