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事件は、些細なことから始まった。


「副会長って、本当に優しいですよね」


他クラスの女子生徒。


コビーは、いつも通り丁寧に応じる。


「いえ、当然のことです」


――それを。


生徒会室のドア越しに、ミユが見ていた。


(……へぇ)


(その笑顔、私の前ではあんまりしないじゃん)


その日のミユは、明らかに不機嫌だった。


「会長、どうしました?」


「別に?」


(声、冷たい)


コビーの背中に、嫌な汗が流れる。


放課後。


「ねぇ」


「はい」


「コビーって、誰にでもああなの?」


(来た)


「どういう意味でしょうか」


「鈍いね」


ミユは机に手をつき、睨む。


「私の前で、ああいう顔しないくせに」


一瞬、空気が止まる。


(会長が、嫉妬してる)


コビーの心が、少しだけ満たされる。


――が、同時に独占欲が湧き上がる。


「会長も」


「なに」


「他の男子と、よく話してますよね」


反撃。


ミユの眉がぴくりと動く。


「仕事だけど?」


「……僕もです」


静かな睨み合い。


結果。


お互い嫉妬しているのに、認めない。

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