テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
136
まつやちかこ
196
「ほんとに、嶋村さん、かわいいって思ってました。中学生のときから」
森田くんは、まっすぐわたしを見て言った。
「ごめん……いきなりこんなこと言われても、迷惑ですよね」
「え、あ……いや……」
言葉が、うまく出てこない。
中学生の頃、何度も想像していた場面に、今、実際に立ち会っている。
「わ、わたしも……森田くんのこと……か、かっこいいって思ってました」
――言ってしまった。
森田くんの目が、さらに大きく見開かれる。
自分でも分かる。頬が熱くて、顔が真っ赤になっている。
「え……?ほんとに?」
森田くんの顔を見られなくて、わたしは視線を逸らしたまま、小さく頷いた。
「あー……そうだったんだ……」
「うれしい……」
「本当に……?」
「なんで、もっと早く言わなかったんだろう」
森田くんは、胸の奥に溜め込んでいたものが一気に溢れ出したみたいに呟いて、その場にしゃがみ込んだ。
それから、ゆっくりと顔を上げて、わたしのほうを見る。
安心したような、少し照れたような笑顔。
――中学を卒業してからの三年間、ずっと忘れられなかった。
その笑顔は、あの頃と何も変わっていなかった。
「……好きです。付き合ってください」
森田くんは一度小さく息を吸ってから、まっすぐに言った。
「……はい。お願いします」
胸がいっぱいで、声が震えそうになるのをこらえながら、わたしはそう答えた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!