テラーノベル
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──────Iれいまり視点──────
───はっと意識が戻る。グラグラとする視界に、脳に収まりきらないほどの情報量。少しばかりの吐き気。
しかし、既に敵は消え失せており、残っているのは辺り1面に撒き散らされた氷の結晶だけだった。今回も今回で派手にやりやがる、と思いつつも、私は本部へと飛んで帰る。体の疲労感も、魔力の消費も感じない。この世界のれいまりがどうやって敵を倒したかは推測できない。まあ、そんなのとうの昔に分かりきっていたことで。それに今は関係がないこと。戦争に集中するべきだ。
…何故ならば私はこれ以上先のことをまだ知らない。番上掌握で知れたのはここまでだった。すぐに能力を使わなければ、戦況が把握できない。急いで、急いで、急いで!!焦る気持ちを必死におさえながら、翼を休めずに働かせ、ものの数分で本部へと戻り、勢い余って通り過ぎ、今度はゆっくり本部へと飛び、そして、集合する。
───本部に集まったのは七つの大罪の面々と、ゼン、そしてラテさんとウパさん、そして茶子さん、イエモンさんであった。ただ───新しく就任したばかりの憤怒の悪魔であり、撤退を選んだヒナさんは息が上がっており、汗が大量に出ていた。とりあえず情報を───そう思った矢先、ゼンが本部から席を立ち、出ていこうとする。
「ゼン、話を聞いてから。」
私がゼンを引き止めるために、服の袖を掴む。くるりと振り返ったゼンの顔は真っ青で、口元を手で抑えていた。…想像とは違い、サボりではなく体調不良のようだった。さすがに引き止めることはできず、掴んでいた袖を話せば、ゼンは口角を無理やりあげた笑顔を作って一礼し、本部を出ていった。
「…れいまりさん。ゼンさんの体調に関してはこの会議が終わり次第…」
「もちろんです。これが終わったらすぐにでも。」
私はすぐさま応答し、会議を進めるために、ヒナさんを見て話を促す。ヒナさんは顔を青ざめつつも、話を始める。
「あいつらは、非人道的な戦略をはじめました。…【神器:傀儡の踊り子】。死人を意のままに操る、その神器の使用を確認。仲間が、全員、敵に───!!」
「それだけじゃないんですよね?ヒナさん。」
茶子さんが生気のない目でそう尋ねる。しかし、その目とは真反対に茶子さんの隣にある星はキラキラと輝き、まるでヒナさんを非難しているようだった。ヒナさんはこくりと頷きながら話し始める。
「ル、ルカにぃが…!!敵として、攻めてきて…!!」
「!?ルカが!?あ、あいつは死んだはずじゃ!!」
「落ち着いてください、イエモンさん。ルカさんの死体は見つかっておらず、行方不明のはずです。…神器を見れば明らか。天使は今までの戦争で死んだ死者を駒として扱っています。」
「…それってまずいんじゃない?だって、私とか、強欲とかって即死系の技使うじゃん。既に死んでるやつに効かなくない?それに、憤怒のだって死人には効かないはずだよ。」
「星からの助言を1つ。死人───所謂アンデッドは魔界の力を受け付けないから、何をしたって効かないですよ。…あぁ、正確に言いますね。今敵としてはだかってる敵は魂を抜かれているからあらゆる攻撃は意味が無いし、殺すためには魂が必要ですよ。」
「私からも悲報をひとつ。その悪魔の魂は神器に作り直されてるって、イエモンの分析結果出てるよ。」
「!?本当なんですか?イエモンさん。」
「…ああ。間違いない。それに、アンデッドを操るのはルカの能力だろ。…操れるのは動物の死体程度だけど。」
大体の情報交換が済む。が、戦況は今まで通りの優勢ではなく、なんなら劣勢だった。天使側からの神器の乱用。そして、それの出処が悪魔の魂から。───たしかに、天界に存在する神器は5つ程度で、これほどまでに多いはずがない。簡潔に言うなら予想外。そして緊急事態であった。
「…死体を解放する方法はあるんですか?」
そう面々に尋ねると、ラテさんがスっと手を挙げる。
「私がやればいい。私は、炎神の祝福を受けた悪魔だから。炎神の力は悪魔の力じゃない。だから、その神の力を一時的に借りれば───」
「ラテさん」
ラテさんの言葉をメメさんが遮る。その目にはゾッとするほど冷たい力が宿っていた。
「その力、使わないって約束ですよね?その条件の下、私はあなたの戦争への参加を許可しました。」
「メメ。今はそれどころじゃない。私の魂がどうとかの話じゃなくて、魔界が怪しいんだよ!!」
「あなたには利用価値があるんです!!私の駒として働きなさい!!」
「メメ、お前は認めないけど優しすぎるんだよ。1度友達と思った人に対しての友情が抜けきらない。…お前は悪魔向いてないんだよ。」
「そんなことない!!私は、自分のために動いています。そして、最終的にラテさんの力が───」
「燃え尽きた灰は何も出来ないんだよ。分かるだろ?お前が私を生かしたいのはただの欲なんだ。…メメの言う通り。炎神の力をもう1回使えば私の寿命は尽きるだろうな。…けどこれ以上、死ぬ仲間を見たくは無い。」
言い合いの末、その会議は膠着を見せた。どうしたものか。私は表面上は無表情を装いつつも、内心焦っていた。私の力はどれもが魔界、悪魔の力を使っており、その力は相手に効かないときた。それに、私の能力は戦闘向きではない。ウパさんもまた、時の神の力を持ってはいるが、それも直接の攻撃は意味がないのだ。
しかし、その膠着は私の口によって終わる。
「───なら、私がやりましょう。」
自身の意思とは無関係に、口が話し始める。この感覚は初めてでは無い。けれど、私が願ってもないのに話し始めたのは初めてだった。少しパニックになりつつも、私の意識はぶつりときれ、強制的に入れ替わる。
願ってもないチャンス。魂を大量にこの体に仕入れる絶好の機会。逃す訳には行かない。
「…れいまりさん。悪魔の力は敵には使えないんです。それに、あなたが世界から授かったのは戦闘向きのものじゃない。あなたは役に立てないんです。黙っててください。」
「酷い言われようですねぇ。何も、私はそんなに馬鹿じゃありませんよ。私の手札を1枚切ってあげる、と提案してあげたのに…。」
「…へぇ。れいまり、その手札教えてよ。天才の悪魔がそうも豪語するなんて気になるな〜?」
傲慢の悪魔が調子よく私を持ち上げる。悪くない気分だ。そのまま乗らせていただく。私はそのまま話を続ける。
「ん、ん、んー。私、神様に愛されてるんですよ。だから───一時的に、神をこの地に召喚できちゃうんです。」
嘘だ。私は実際は神に嫌われているし、召喚なんて生ぬるいものなんかでもない。けれど、真実を言ってしまえば私が敵とみなされるかもしれない。───死神の力を持つ悪魔や、傲慢の悪魔と敵対するのは避けたかったからだ。
「…そんなこと、ありえない。神をこの地に降ろすなんて、そんなことが…!!」
「できちゃうんですよねー!私、天才だから!ま、てことで任せてくださいよ。───1週間後、また、【傀儡の踊り子】を持った天使が舞い降ります。その時、私がその神器を破壊、そして殺してみせましょう。」
「そこまで言うんです。責任は、あなたに背負ってもらいますよ?」
「もちろんですよ。強欲さん。」
私が軽くウィンクを決める。
そして、その会議は幕を閉じだ。と、言っても円満に終わった訳ではなく、私を疑うものや、先程の空気を引きずり、ギスギスしているもの、この先のことを案じているもの。様々であるが私には関係なかった。
そして、本部を出ていくと同時に私は椎名ちゃんと入れ替わる。
一週間。あと一週間で私はこの肉体を手に入れられる。口角が不気味に上がるのがわかった。
ここで切ります!久しぶりの投稿ですね!息抜きに書いたのと、れいまり編が終わらなすぎてちょっと焦り始めてるからですね!ただ、このI編もそろそろ終わりそうで安心ですね!うん!安心だなぁ!
それでは!おつはる!
コメント
4件
れいまりさんのが終わるよりも前に高校生になってそう