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早くみれました!楽しみです!
──────Iれいまり視点──────
走って、走って走って───。
戦場をぬけて、まだ平和な地帯へと足をひたすらに動かす。翼を広げて飛んだ方が早くていいのに、それをしないのは戦場で目立てば戦うという一動作を挟まないといけないからだ。
今は何よりも、何よりもあの子の精神状態が不安だった。体力の消費が激しい。普段地に足を付けないで走ってるから息がすぐにきれる。その度に代わりに魔力を消費して補い、常にトップスピードを維持して走り続けた。
向かう先はこの軍に入隊してから得た寮の一部屋で私の部屋の隣の部屋。そこに私が探していた悪魔がいた。ただ、ベッドの上でぼーっとしているように見えるが、よく見ると顔色が悪く、体は小刻みに震えていた。
「ゼン…!!」
思いのほか自分から出た声がなんとも頼りない掠れた声だった。ゼンはゆっくりと振り返りながら私の目を見る。目を潤ませ、可哀想なほど身体を震わせたznは捕食者ではなく、非捕食者のような弱い側の存在だった。
「…あの天使、椎名は覚えてますか?」
唐突にゼンが話しかけてくる。震えた声で、無理やり笑顔を浮かべている。…あの天使、というのは昔図書館で出会って、先程の戦闘で牙を向いて来たあいつのことだろう。私は無言でこくりと頷く。
「───あの時、ぽれがあの子の弟子入りを歓迎してたら、あの子は死なないで、なんなら味方だったんじゃないかって、思っちゃったんです。」
「…気にすることじゃないです。そもそも、あの子の考え方は元々あーだったんです。弟子にしてたとしても味方になってくれるとは…。」
そう言って励まそうとしても、ゼンは愛想笑いを浮かべるだけだった。
「けど、ぽれの些細な言葉で、無責任な言葉で、ぽれはその子を殺したも同義なんです…!!」
「そんなことは」「そんなことあるんですよ!!ぽれの善意のつもりだった言葉で!!ぽれは人を殺した!!殺すつもりのない、善良な天使を!!」
その声はかすれて入るものの、声には強い意志と力が宿っており、私は思わず押し黙ってしまう。
大声を出したことに疲れたらしいゼンはしばらく深呼吸を繰り返しながらも、先程の自身の言葉がまた無責任に感じてしまったのだろう。布団の中に潜り込み、完全に姿を隠す。ベッドの中からくぐもった声で
「今は、1人にしてください。」
と言われてしまう。…多分初めてゼンから拒絶された。こんな時、どうすればいいのか。そんな経験はなく私はただ言葉に従って部屋から出るしかなかった。
───これが、ゼンと生きて会うのが最後なんて思わなかった。
次の日、私はゼンを励ますために戦場から離れ、ご馳走を買いに行っていた。ご飯が大好きなゼンなら案外美味しいものを食べたらコロッと忘れるかもしれない。そんな淡い期待を元に、私は初めて散財した。お肉だってたくさんの種類を買ったし、果物だって、デザートだって、魔界にあるあらゆる食べ物を集めに集めて。
こんだけあればゼンも満腹になるだろう。そんなに根拠のない確信を持って私は寮へと戻った。
ゼンの部屋の前で数度ノックをする。…反応はなく、まだ落ち込んでいるという事実を改めて認識する。…ご飯だけでゼンの心の傷が直せるとは思ってない。けど、笑顔が見たくて、その笑顔を見て安心したかった。───私もまた、あの天使を見殺しにした1人だったから。罪を分かち合えば軽くなる、とは言えないが一緒に背負いたかった。
「ゼン、入るよ。」
私はそう短く言ってからゼンの部屋へとはいる。───そこはもぬけの殻だった。布団が適当にほおり投げられており、この部屋のどこからもゼンの気配はしなかった。
「───ゼン?」
その事実が認めがたくて、私は静寂の部屋の中でゼンに呼びかけた。けれど、返事が帰ってくることはなく、その呼びかけは空気に溶けて消えていく。───ゼンがいない。そう気づいた時には冷や汗を垂らし、久しぶりに焦りを抱く。
こういう時こそ冷静に。そんなことはわかってる。けど、けど焦らずにはいられない。まず、ほかの人達に聞いた方がいい。聞き込みだ聞き込み。
私はそう切り替えて、本部へと走ろうとして気づく。───ワープを使えばいいことに。頭が回ってない。何をしているんだ。自分を責めつつ、私は急ぎ行動に移す。
「───ゼン…?ああ、あの白髪の悪魔ですか。あの悪魔なら戦場に行く、と行ったっきりですね。」
「…そう、なんですね。ありがとうございます。…もう少し早く教えていただきたかったんですが。」
「こんな時期に喧嘩でもしてるんですか?その悪魔から椎名に教えないようにって言われたんですよ。契約だったら破りませんでしたが、特にそういうのは交わさなかったので。」
「貴重な情報提供ありがとうございます。」
私がそう言って本部から出ていこうとした時、強欲の悪魔が引き止めてくる。私が明らかに嫌そうな顔をしても、気にする素振りなどはなく
「今から行くんですか?───やめときなさい。今のあなたは冷静じゃないです。それに、あなたには傀儡の踊り子の神器を持つあいつを殺してもらわないといけないんです。」
「───私は戦争の行く末なんかよりも目の前のゼンが大切なんですよ。」
「個人で動かないでください。この戦場において七つの大罪の命令は絶対ですよ?」
「そんなのどうだっていいです。───ここでいかないと私は後悔してしま」
ドッと首に衝撃が走る。私は思考する間もなく、そのまま全身の力が抜け、意識が遠のいていった。
──────強欲の悪魔視点──────
「───ナイスですよ。茶子さん。」
天才の悪魔が意識を完全に手放し、全身の力が抜けきっていることを確認したあと、天才の悪魔を気絶させた張本人である茶子さんを褒める。私の貴重な褒め言葉に対し、茶子さんは喜ぶことも、呆れることもなくただ淡々と仕事をし終え、そのままその悪魔の身柄を渡してくる。
「少しは喜んだらどうです?あなたのご主人様が褒めてあげてると言うのに。」
私がそこまで御膳だてしてあげれば茶子さんはようやく嫌そうな表情を浮かべる。───こういう反応が初心で面白い。
「忠誠を誓わされた側からしたら嫌味にしか聞こえないですよ。貴方様の仰せの通りって感じですから。」
「ふふっ。それもそうですね。…あのこ、多分自暴自棄ですよね。」
「でしょうね。なんで止めなかったんです?」
「止めても無意味ですよ。ああいうのは。勝手に突っ走って生きてる側に負担をかけてから死ぬんですから。」
「やけに具体的ですね…?経験がおありで?」
「まあ、そうですね。…少し、昔語りをしますか。」
「戦争中に呑気ですねぇ。」
「いいじゃないですか。一旦休戦状態になったんですし。…そうですね、あれは───」
ここで切ります!皆様!お久しぶりです!!仲春です!!今日から投稿を本格的に再開します!!また応援の程よろしくお願いします!!また、この物語はなるべく毎日投稿。新しい物語を週1か2週間に1回くらいそちらは投稿予定ですね。
それでは!おつはるー!