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目を覚ました瞬間、少年――ユウトは、見知らぬ空の下にいた。青すぎる空、やたら大きな月、そして草原。
「……ここ、どこ?」
記憶をたどると、元の世界ではごく普通の中学生。
帰り道、トラックのクラクション――そこで記憶は途切れている。
「やっぱり……異世界転生ってやつか?」
胸が高鳴る。剣、魔法、冒険者。
テンプレみたいな展開を期待しながら、近くに落ちていた剣を手に取った――瞬間。
ビリッ!
「いっっっったぁ!?!?」
剣が弾かれ、手がしびれる。
もう一度握ろうとすると、剣は霧のように消えた。
「え、バグ?」
次に弓。
構えた瞬間、弦が勝手に切れる。
斧、槍、短剣。
全部ダメ。触れた瞬間に壊れるか、消えるか、弾かれる。
「……え、武器使えない系主人公?」
絶望しかけたその時、足元に転がっていたただの木の棒が目に入った。
拾ってみる。何も起きない。
「……あれ?」
試しに、近くの岩に向かって軽く振る。
ゴォンッ!!
爆音とともに、岩が粉々に吹き飛んだ。
「…………は?」
目を疑った。
もう一度、今度は力を抜いて振る。
ズドン!!
地面にクレーター。
「え、え、え、ちょっと待って???」
その瞬間、視界に文字が浮かぶ。
《スキル獲得》
【棒聖(ぼうせい)】
・剣、弓、槍などの武器使用不可
・木製の棒系武器の攻撃力∞
・折れない
・持つとなんかカッコいい
「最後ふざけてない?」
だが文句を言う暇もなく、草むらから巨大な狼型モンスターが現れた。
赤い目、鋭い牙。完全に強敵。
「やばいやばいやばい……棒だけで!?」
ユウトは震える手で木の棒を握る。
すると、棒が淡く光り始めた。
「……行くしかない、よな」
狼が飛びかかる。
ユウトは反射的に、ただ前に突き出した。
次の瞬間。
ズバァァァン!!!!
衝撃波が走り、狼は影も形もなく消え去った。
草原の向こうまで一直線に、地面が割れている。
「……強すぎん?」
ユウトは棒を見つめ、苦笑いした。
「剣も魔法も使えないけど……
この棒があれば、なんとかなるか」
こうして――
「最強なのに見た目は地味すぎる」
棒使い少年の異世界冒険が始まった。