ほとり弾き
気分次第だった。暮れかかる都会の空が訳もなく、憎らしい。泣きながら千切った写真も、溶けた努力の痕跡も。
胸にこびりついて離れない。
一生を懸けようと、全部あげようと、初めて俺は。
気がつけば消えていた。絡まる糸も断ち切られていた。一緒に選んだスーツがやけに重い。遺る笑顔は飛んでいきそうなほど軽い。
ずっとずっとわかっていた。いつかなんて、自分が動かない限り堕ちていくだけだということもわかっていた。いや、わかっていなかったのかもしれない。今だって結局は先延ばしにしようと。
夢を、見る。空想が、腐る。望んだものを手に入れる努力を放棄した、見て見ぬふりをした。
笑って、飲んで、誤魔化して、また笑って。そういやお前はずっと…
お前がくれた時計のつまみが、腕に食い込んで痛いよ。
ごめんな。
俺、お前のこと…
こんなに愛してたんだな。
紫のしみが、桃色と混ざって融けた。
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コメント
2件
とても考えれば考える程に面白くてとても好きです!これからも頑張ってください!
こ、これは…かの有名な一週目と二週目からで見方が変わると言うあの伝説の…! やっぱりミラさんのストーリーは私の心を見透かしている…何故最近一週目と二週目からで見方が変わる奴にハマってると気づかれたのだ…とりあえずブックマークします🔖