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「でも委員長、」額の脂汗とは対照的に、中年の口調は丁寧なものだった「ここでこんなに時間使っちゃって、大丈夫でしょうか? 本筋から、ちょっとばかり外れちゃっているような気もするんですけれど」
老人は穏やかな口調だった。
「君はまだ若い。腰の大切さを分からないのも、無理はなかろう。でも、選挙で最後に大事なのは、粘り腰なんだ。特に今の我が党には、これが欠けとる。フンッと踏ん張って、なにくそと生きることこそ大切なんだ」
すると校長が健太の前にやってきた。
「委員長のおっしゃることは、今の教育にも通じるんです。今の子供達にも、粘りが欠けてるんです。今の子は、すぐに受験を諦めようとする。どうせ成績悪いから公立中学でいいんだって態度の子さえいるんですまったく。今日のような有意義な授業は、学校としても実になるんです」
「私なんか、今の子供達と違って若い頃よく野山を駆け回ってましたから、こう見えても足腰は強いんですよ」と老人は言った。
「すると、やっぱ腰ですか」副校長が二人の会話に混じってくる。
「ちょっとみなさん」と山田先生がいうと、教室のざわめきは下がったから、深く腰を沈めた副校長の「ウンッ-ツ」という声のみ響いて、彼は恥をかいた。