ガヤガヤ
私、米沢 菜摘は騒がしい教室で
お弁当を食べている。
これこそ私の優雅なひと時…
ちなみに1人で食べてます。
友達いないんで。
なので空気となって目立たないように
食べているのだが…
じー
さっきから隣から視線を感じます…
チラ
じー
今現在、私の隣にいるのはアイツ…
伊佐木 玲央こと小悪魔さん。
じー
いやきっつぅ‼︎
玲央以外からの視線も混じってるし!
そう。彼は学年の人気者。
しかもその可愛らしい容姿で
よく目立つ。
つまりだ…
そんな彼が地味ーな女の子を
あまりにも凝視しているので
注目を集めているのだ。
「ねー、」
ついに喋ったぁぁぁ!
やめろぉぉぉ!
「ひとくち、ちょーだい?」
コテンと首を傾げる彼。
いやちょーだい?じゃねぇんだわ!
語尾に♪つけるんじゃないよ!
めっちゃ黒い笑顔じゃん!
「あー…れ、伊佐木くん。
自分のお弁当は?」
呼び捨てにすれば
ますます注目を浴びるぅぅ!
それは阻止せねばっ!
「あれー?
いつも通り呼んでよ〜
玲央、って。」
ピタッ
周囲の音が一度やむ。
ねぇぇぇぇ!
この小悪魔ぁぁぁぁ!
意地悪ぅぅぅぅ!
「お弁当?忘れたっ!
購買に行こうとしたら
お財布なかった!
それにそのミートボール、
美味しそうだからちょーだい!」
ニコッと笑みを浮かべる彼は
マジで悪魔。
「早くちょーだいよ〜」
そう言って追い討ちをかけてくる。
わぁぁぁぁ!
やめろぉぉぉぉ!
てかなんで顔近づけてくんのぉぉ!
玲央は顔を近づけて、
「はーやーく」
と口を開ける。
んんんんんん⁉︎
こ、これは⁉︎
「え、と…い、伊佐木くん
なんで口開けてるの?」
「え?食べさせてくれないの?」
え、なんで
食べさせなきゃいけないんだ…
て…それって…
「じゃー見本、見せてあげる!」
その時クラス中の視線が
ここに集まったのを感じた。
でもいちいち気にする余裕もなく…
玲央はピックでミートボールを
指して、
「口開けてー?
はい、あーん」
何この拷問んんんん!
でも早く食べなきゃ
ピックから落ちる!
パクッ
「よくできました〜」
彼は満面の笑みを浮かべる。
「次はなつからね」
そう言ってピックを渡す。
んんんんんんん⁉︎
ピックといえど
これ、間接キスなのでは⁉︎
私は震えながらも
ピックでミートボールをさす。
あっ!
そこで私は思いつく。
無視してこれ食べちゃえばいいじゃん!
「伊佐木くん、ごめんね。
最後の1つだし私、これ食べたいんだ♪」
そう笑顔を浮かべる。
うふふ。
これでミートボールは私のものに…
パクッ
「おいしいね!
ありがと!ごちそうさま!」
玲央はそのまま教室を
でていった。
放心状態の私を残して…