テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌朝。
玄関で靴ひもを結んでいると、背後から足音がした。
「お、妹ちゃん。今日も早いな」
振り返ると、悠真が鞄を肩にかけて立っていた。
「……はい。今日は小テストがあって」
少し緊張して答えると、悠真が咲の髪に目をやり、ふっと笑った。
「ここ、寝ぐせついてるぞ」
そう言って、指先で軽く髪を整えてくれる。
不意に触れられた距離の近さに、咲は思わず固まった。
「っ……あ、ありがとうございます」
声が裏返ってしまい、慌てて靴を履き直す。
悠真は気づかないふりをして扉を開けた。
「行くか。駅まで一緒だな」
その背中を追いながら、咲の心臓は止まることを知らなかった。