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俺とリーニは夕飯に向けた買い出しついでにどちらの勢力の方が優勢か、侯爵に目立った動きが無いか聞き込みをしていた。話を聞く限り予想通りカリオの方が優勢らしい。恐らく侯爵の所有する北側の大半を占める要塞地区グレイスヴァルドが要塞としての本来の機能を果たし始めたのだろう。中は複雑に入り組み井戸や畑、牧場などもある。そして市場も盛んだ。これを外側から打ち破るのはとてもじゃないが現実的なものではない。内側からでも難しいだろう。ロメッカ侯爵を中心とした軍隊を多く所有している貴族は軍のと市場、領地の管理を行っている。それだけ大変な立場に彼らがいる理由はシンプルだ。彼らがそれらの業務をこなすうえで最低限の能力を有しているということだ。この国ではあくまでも王が中心の国だ。王から見て必要ない、力不足などと感じられてしまえばすぐにでも地位と権力を剥奪される。そうならないよう貴族たちは日々自身の力を拡大しようとしている。そんな貴族たちが1番に拠点として挙げるような所だ。何らかの方法で内乱対策も施しているだろう。対するアウリスは予算だけならカリオを上回っているらしい。アウリス側の情報はあまり掴めなかったが前帝王の城に本陣を置き守備体制をとっているということが分かった。アウリス的には籠城し敵側の物資が尽きるのを待ち弱ったところを突くといった戦法をとっているのだろうか?これが今日一日で集まった情報だ。「買い物も済んだし宿に行こうか?」「パイ忘れてるよ?」「おっと、ごめんね」そう言って帰り際にパン屋に林檎と金貨を渡しアップルパイを4つ作ってもらった。それからはシュリメリを探して街を歩いた。シュリメルと合流した後は宿に向かい各々情報を共有した。シュリメルが集めた情報はカリオ勢はアウリス勢が本陣を置くドランシア城に数でゴリ押すと見せかけ手薄になった隙に裏から少数精鋭の部隊で攻めるかもしれないということだ。最も俺達みたいな部外者にも情報が漏れている時点でそれはアウリス勢を翻弄するためのデマ情報である可能性が非常に高い。ひとまずはそうかもねという感じで話をまとめ食事にすることにした。「このチーズinハンバーグうまいなぁ!」「俺の自信作だからな。肉以外にも野菜とかスープとかちゃんと食べろよ?リーニはアップルパイだけじゃ足りなかったら俺の肉とか食べていいからね?」「大丈夫。多分これだけで足りるよ。だって4個も買ってくれたんだもん」そう言ってやたらうれしそうに食べる彼女を見て俺もつられて何だか嬉しくなってきた。「俺は明日侯爵の所に取引に行くためにあらかじめ申請書を用意しないといけないから役所に行ってくるけど、2人は好きなタイミングで寝ちゃって大丈夫だよ」「う〜い」「わかった」そう言って俺は役所に申請書を貰いに行った。「すみません。夜分遅くに申し訳ありません」「いえいえ、見たところかなり遠くからお越しいただいたようで…それで今日はどのようなご要件で?」「はい、実はザヴェル・ロメッカ侯爵にお会いしたいのですが」「そうですか。では申請書のご要望ですね?」「話が早くて助かります」「しかしこれまたどうして内戦中なんかに?」「実は侯爵達カリオ勢の皆様に武具の支援をさせていただけないかと思いましてね?」「それはありがたい。私自身カリオ派のものでしてね」「アウリス殿の事をどうお考えになられているのですか?」「アウリス様のやり方では経済的な力が不足すると思いましてね?そうなれば私みたいな役所勤めのものは生活に困るのではないかと不安になりましてね?」「なるほど…つまりアウリス側は金持ちや貴族向けの政治を目指しているのですね?」「簡潔に述べるとそうなりますね。お話がそれましたがこちら申請書でございます。ご要件は武具の提供でお間違い無いですね?」「はい。間違いありません」「それでは具体的な購入時の値段などを記入いただければ明日の昼ごろには面会ができると思います」「ありがとうございます。購入時の値段は金貨2億枚分です」「2億枚分ですか、かしこまりました。ではすぐにでも使いの者を出しますね」「はい。では面会が可能だと連絡がありましたらこちらの宿までお知らせください」「かしこまりました」「それでは。夜分遅くに申し訳ありませんでした」「いえいえ。それでは」