ラゼクとタンゾウが話していた同時刻…。
北方に位置する島タトス。
???「ラグロットからの連絡は?」
???「はっ。ラグロットを含む多数の生命反応消失。やられたとみて間違いないでしょう。」
???「彼女達が天に召されました。祈りましょう。彼女達の犠牲に…。」
再びラゼク達に戻る。
ラゼクはそのまま海の方へと歩く。
タンゾウ「兄ちゃん。そっちは水辺だ。泳いで行くには距離がある。タトスへ行くなら船を借りればいい。」
ラゼク「大丈夫だ。船で移動してたら時間がいくらあっても足りない。」
ラゼクはその場から体が浮き上がる。
ラゼク「心配するな。必ず戻る。」
するとラゼクは物凄い速さで海を渡って行った。タンゾウが水飛沫で目を閉じて目を開けるとラゼクの姿はもう見えなかった。
タンゾウ「不思議な兄ちゃんだな。」
一方タトスでは魔女達が手を合わせお祈りをしていた。見張の者も手を合わせていると遠くから何者かがこちらに向かって来るのが見えた。
見張の魔女「敵襲!」
見張の魔女の声に祈っていた魔女達は祈りを止めようとした瞬間。
???「静まれ!お前達は祈りをしている最中に敵襲で祈りをやめるのか?…シエル。」
シエル「はっ。」
???「侵入者を生捕りにしてここへ連れて来なさい。ダメなら殺しても構わないわ。」
シエル「分かりました。」
シエルはその場から移動する。
一方ラゼクは海岸に着き、島を見渡すと目の前に森があり、その奥に古城が見えた。
ラゼク「あそこか。」
ラゼクは森の中へと入って行く。
しばらく歩くが、森が続いている。一向に古城へと着く気配がしない。
ラゼク「おかしい。さっきから歩いているのに一向に着く気配がない。…敵の術中にハマったとみて間違いないな。はぁ。穏便に済ましたかったのにな…。」
ラゼクは手が真っ赤になり黒い雷が槍へと姿を変える。
「雷黒の槍帝!」
ラゼクは黒い雷が変化した槍を古城に向けて投げると空間に亀裂が入り槍は海の方へと放たれ消えてていった。
ラゼク「空間に亀裂?そして槍は海へ…なるほど、そういう事か。」
すると後ろに宙に浮いてるシエルがいた。
シエル「驚かないのね。この空間鏡に…。」
ラゼク「ふん。空間の類か…実にくだらん。あの女も空間を裂いて逃げる所が本当にそっくりだったな。」
シエル「ラグロットの事よね?やはりあなたが殺したの?」
ラゼク「ああ。そして、これからのお前現実となる。」
シエル「へぇ。言ってくれるわね。じゃあ、見せてもらおうかしら…!!」
シエルが動こうとすると体が動かせなかった。
シエル「こ…これは!か…体が動かない。」
ラゼク「ふん。馬鹿の一つ覚えか。実にくだらん。貴様は俺に時間を与えすぎだ。鎖金の封魔。」
シエル「くっ。…ふふ。なーんてね。」
ラゼク「?」
すると、鎖金の封魔で拘束されていたシエルが消えた。
シエル「時間を与えたのはあなたも一緒よ。自分の力に推進しすぎ。」
すると空間から突然火の粉がラゼクに向かって放たれるが、ラゼクに当たる寸前で火の粉が消えた。
シエル「?…効いてない?どういう事?」
ラゼク「力に推進しすぎ?…それは貴様の方だろ。愚女が。」
シエル「愚女ですって!いいわ。そこまで言うならこれで終わりにさせてもらうわよ。空爆圧感!」
すると、さまざまな場所の空間がねじれ始めた。
シエル「空間を捻じ曲げてあなたを圧縮して自爆してもらうわよ。死ねぇぇぇ!」
空間がぐちゃぐちゃに捻じ曲げられて、捻じ曲げられた辺りが大爆発を起こした。
シエル「あははははは。死んだわね。この空間圧感から逃げれる者などいないわよ。どうやら力に推進しすぎたのはあなただったようね。」
爆風が晴れるとラゼクの姿はそこには無かった。シエルが死んだのを確認したら自ら空間を裂いて出てくる。すると、空間から突然金色の鎖がシエルの体中に巻き付いた。
シエル「え?な…何これ?」
ラゼク「ふん。これが貴様の現実だ。」
シエル「!!…どうして?」
ラゼク「どうして?」
ラゼクは人差し指を上にクイッとすると巻き付いた金の鎖がシエルの両腕を強い力でへし折った。
シエル「ぎゃぁぁぁぁっ。」
ラゼク「貴様はやはり愚女だな。空間能力を扱えるのは何も貴様らだけではない。一言教えてやる。さっきの火の粉も空間を捻じ曲げて別の空間へ飛ばしただけだ。」
シエル「そ…そんなはず…ないわ。空間能力…はぁ。はぁ。聖王女様に与えられた力。お前ごときに容易く…扱える代物じゃ…ない。」
ラゼク「ほぉ。聖王女。こうも易々と情報を喋る貴様の技量は、たかが知れているな。どのみちもう貴様に用はない。あの忌々しい空間もさっきの空間能力で消えさったからな。精々そこで一生を終えるが良い。」
シエル「ま…待って。あんたの…女になってあげる。お願い…この鎖を外して!」
ラゼク「耳が痛いな。その鎖は貴様の命が消える瞬間に消える。精々もがき苦しむがいい。」
ラゼクはそう言い古城に向かって行く。シエルは腕を折られ、鎖に縛られている中で「絶対殺してやる。」と叫ぶ。
ラゼクは少し歩くと森を抜けて古城の目の前まで来た。古城の前には何人かの魔女が待ち伏せておりラゼクに向かって行った。
一方古城内では魔女達がひたすら祈りを捧げていた。
???「…。シエルがやられた?…いや、殺されてはいないようですね。それよりも侵入者がこの城の目の前まで来るとは…。はぁ。祈りはこれで終わりです。速やかに侵入者の排除を!」
すると、祈りを捧げていた魔女達が一斉にラゼクの方へと向かって行った。
ラゼク「ふん。まどろっこしいのは嫌いでね。まとめて来るがいい。」
何回かの地響きが起こりやがて静かになる。
???「終わったようですね。さぁ、祈りに戻りましょう。」
ラゼク「ああ。思う存分祈れよ!」
???「…!!」
ラゼク「それが貴様の信仰なんだろ?」
???「貴様!一体どういう事だ!私の可愛い魔女達は…。」
ラゼク「殺しちゃいねーよ。ただ、少し動けなくしてもらっているだけだ。さぁ。お前が聖王女か?」
???「チッ。あの方の名前を軽々しく口にするな!!下賤の輩が!!…生きてこの場から帰れると思わない事ね。」
ラゼク「好都合だ。死ぬ前にお祈りでもしたらどうだ?」
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