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叶side
もう、夜になった。いや、やっと夜になったって感じだ。それほどまでに、僕の心の中で葛葉が大きいことが分かる。葛葉は今頃何してるのかな?りりむちゃん達曰く体調が悪いらしいけど…………。全然そんなふうに見えなかったな……。
付き合っているのに、なんで僕に頼ってくれないのだろう?葛葉が辛いのを分からなかった僕もそうだけどさ。そんなに信用ないのかな?
「叶さ~ん!風呂に入りますか?」
「あ、あきにゃありがと~。入らせてもらうね」
「どうぞ~w」
せめて、後輩にはバレないようにしないと。原因と、今の心情を。
明那side
ープルルルル、プルルルルー
あ、叶さんのスマホが鳴っている。……、りりむさんから?後で電話がかかってきたことを伝えればいいか……。
「明那~、出たけど何する?」
「あ、電話かかってきてましたよ」
「まじ?ありがと、あ、りりむちゃんからだ……。葛葉のことかな?」
今日の朝に確かにりりむさんは見かけたけど、何を話しているかまでは分からなかった。だが、葛葉さんのことについて聞いていたから、そう推測したのだろう…。
「電話に出るから、あっちに行くね?」
「はい、わかりました!」
叶side
「りりむちゃん、どうしたの?」
『あ、にぃやん、明日暇?』
「暇かと言われたら暇だけど、葛葉に関すること?」
『そうやで~、察しええなぁ』
『超重要事項だから、絶対に来てね⁉︎』
「うん、分かったよ」
あ、そういえば、りりむちゃんに見えた羽の件について今、聞いておこう。後回しにするのが面倒くさいし。
「そういえば、りりむちゃん羽生えてなかった?」
『うん、生えてたよ~。いいむ、魔族でサキュバスだから』
「へぇ、そうなんだ?いつもは隠してるってことだよね、なんで今朝はそのままだったの?」
『しまうの忘れるぐらい、急いでたから!』
『本当にやばい状況やったんやで?目を開けたまま気絶してたし』
……目を開けたまま?それに、今朝だからあの会話中に気絶してたってこと?いや、どこの世界にそんなことが起きる可能性があるの?
「いや、流石にそれはないでしょw」
『にぃやんが思っているよりも、ある意味深刻だよ?これからも起こるかもしれないもん。そうなれば、今は2年持ったらしいけど、どんどん頻繁に気絶するようになると思う』
『葛葉が悪いけどな~。だって、かなかな何も知らんやろ?』
「確かに何も知らないよ……。でも、なんで2人は知ってるの?」
なんで、僕以外に知らせていることを僕に知らせてないの?どうしよ、本当に…………監禁とかしちゃおうかな?考えたことがないわけでもないけど、葛葉に嫌われたら嫌だからってしなかった。
僕だけを見るような環境にすれば、僕に全部話してくれるよね?僕は、葛葉と一緒にいたいんだから。最悪、葛葉を快楽に堕とせばいいんだ。
『ウチらはな~、ウチは感覚的に分かったのと、りりむはそもそもよく一緒におったからじゃね?因みに、あと剣持も知っとるで』
「へぇ、そうなんだ。葛葉から言ったわけではないってこと?」
『そうやな、なんならずっと隠してたぐらいやし。今回、体調が悪いのも剣持が気付かんと分からんぐらいには隠されてたわ』
なんで、もちさんがわかることが僕には分からないの?それも、葛葉について。
『てか、りりむがサキュバスであることについて特に言及はないんやな』
「………、いや、ガクくんがいる時点で今更じゃない?甲斐田くんたちは異世界人だし。別に、魔族ってぐらいじゃ驚かないよ」
『確かに、人外を隠そうとして隠せてないんが身近におるな。あんまし、っていうのはあるん?』
「ん~、特にはないと思うよ。でも、吸血鬼とかそういう血とかが必要な種族は嫌かな?強制的に飲まれたりしたら嫌だし。葛葉が吸血鬼だって言うのなら、全然いいけど。なんなら、他の人の血を飲んで欲しくないけど」
『ずっと飲んでない吸血鬼以外は強制的に飲もうとするのは少ないよ~』
「へぇ、案外理性的なんだね」
『その血が極上のものだと、いっぱい飲んじゃうらしいけど』
その人次第ってことか……。りりむちゃんとよく一緒にいたってことは、葛葉も魔族なのかな?どの種族なんだろう……。
『これ、本当に葛葉の意気地なしじゃね?』
『まぁ、明日の昼に○×カフェに来てね!』
「今、教えてくれるわけじゃないんだ」
『葛葉から聞いたほうがいいやろ』
「それもそっか……ありがとね」
『にぃやん、おやすみ~』
「2人ともおやすみ」
明日……か。寝れるかな、今日。