TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

剣持side


「今日も雨っすね〜」

「雨は、天が泣いているから、と昔は言われていたらしいですけどね」

「僕らは泣けないんですけど⁉︎もちさん、どこが発祥源なんですか、そのデマ情報」


ここにいる者でギリギリ泣けるのは甲斐田ぐらい。それは未だに人間部分が残っているから。僕には記憶がないけれど、葛葉とガッくんが言うのならそう、なんだろう。それにしても、やけに葛葉から感じる魔力が少ないな……。


「ガッくん、葛葉から感じる魔力が少ないのですが、どう思いますか?」

「神力は変わってないっすよ?魔力が少ないのは、単純に血を吸ってないだけなのでは?」

「普通の吸血鬼なら、死んでてもおかしくないところを一応なぜかある神力で補っている、と」


相当やばい状況なのではないだろうか。本人は、僕らに頼ろうとしない。飲めないような状況下にいるのであれば、僕らと遊ぶ時に飲めばいい。甲斐田だって、普通に了承してくれるだろう。今、ここにいる誰かが体調を崩してしまっても、みんな心配なのだから。


「そういえば、叶さんの輪廻のカタチに変化があったっすよ」

「は?いや、狐、普通はなんねぇだろ」

「そうなんですけど〜、今迄は外れてなかったのに、なんか輪廻の理から外れてて……。って、葛葉さん⁉︎」

「記憶が戻った、のか?甲斐田〜、さらに詳しく言ってくれ」


……?叶が記憶喪失なのは知っていたが、それが輪廻の理に外れる事とどう関係するんだ?それより、その何かの原因を葛葉は知っているのか。まぁ、常日頃、叶に対してどこか過保護で周囲に威嚇していると思ったが……。


「いや、僕もよく分かってないんですよ⁉︎なんか、凄く隠されてて外れてる時と外れてない時があるんですもん」

「軸がブレたのか、叶自体は何回も転生しているから、か?」

「そうなんじゃないんですか?だって、明らかに変でおかしいんですもん」

「記憶を持っている可能性も考えないと行けないのか……」


記憶がないのに、僕自体は輪廻の理から外れているんですがね……。それより、椎名達に葛葉の状況を伝えておかねば。倒れられて困るのは此方ですし。





伏見side


……。明らかに軸ブレでも、転生の反動でもないのは分かっていたが、言わなかった。葛葉さんの顔がどこか寂しそうだったから。とやさんも、時々記憶がないことを嘆くけれど、あそこまでの顔をしない。葛葉さんは、叶さんが凄く大切だったんだろうと思う。


「叶さんが記憶喪失になったきっかけって知ってるんっすか?」

「忘れた、というか記憶の消去をされている。もしかすると、封印かもしれねぇけど」

「……。知らない方がいいですよ」

「甲斐田さん、知ってるんっすね」


叶さんと甲斐田さんの共通点が分からない。接点など、過去になかったと思うのだが……。


「トラウマになりかけていたので、思い出したくないだろうからと、主神……リルリが封印したんで。それほどまでに、知らない方がいいです。自力で思い出してください」

「……どこに葛葉さんとの接点があるんっすか?」

「そこを含め、知らない方がいいですよ?景も全部忘れてるし、リルリはリルリで呪いで記憶がないし……。弦月ぐらいですよ、僕以外に今となっては覚えているの」


葛葉さんは考え事をしているみたいだった。それもそうだろう……甲斐田さんは、どこまで何を知っているのだろうか?本当に、ただの半神なのだろうか?本当は、もっと上の地位に就く者なのではないだろうか?


「晴くーん、四ツ神が呼んでたよ!リルリさん以外は記憶を取り戻せたみたい」

「えぇ⁉︎今行くから、弦月待って?」


あ、行ってしまった。四ツ神に呼ばれる者なんて、殆どいない。四ツ神の1人、記憶を司る者の伴侶である悪魔と、四ツ神の1人、滅亡を司る者の友人である半神達、そのぐらいと他の同位階の神から聞いていた。


「あぁ、そっか。弦月は、悪魔だったな……。もちさんは……ハイエルフで、品のない吸血鬼共に親友?を殺されて。そういえば、そうだった」

「弦月さんが、記憶を司る者の伴侶ってことっすか?」

「あぁ。思い出した……四ツ神、という単語でな」


少し震えている、葛葉さんにどこか違和感を感じながらも、会話を続けようとした矢先……



「これ以上は、ガッくんは知らないようがいいような気がします」

「よく分かってんじゃん、もちさん。知らないでいいことなんで、それじゃ」



そう言って、吸血鬼の彼は消えていった。どこか、相当強い、俺だとそうそう耐えられないような神力を、後に残して。

血濡れた執着と甘美なる呪い

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

507

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚