テラーノベル
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新しいパジャマに袖を通した涼ちゃんは、そっとベッドの上で小さく丸くなりながら、
スマホを手に取った。
袖は長すぎて、手の甲まですっぽり隠れる。
布の中から親指だけを器用に出して、
画面をゆっくりスライドする。
柔らかい灯りに包まれて、
涼ちゃんは静かにスマホの画面をのぞき込んでいた。
(……萌え袖、似合ってる)
𓏸𓏸はふとそんなことを思ったけれど、
声をかけるのはやめた。
いまは自分の世界にいる涼ちゃんの邪魔をしたくなかったし、
そっとしておいてあげたかった。
ただ、ベッドの端で小さな音を立てないように、
𓏸𓏸は静かにシーツを整えたり、
ノートにメモを書き足したりした。
――このぬるい静けさが、今はとても大切に思えた。
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