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本気になってはいけない恋

39 - 第39話  嫉妬と何気ない幸せ②

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2024年02月25日

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その夜。

今日は仕事を早めに切り上げて急いでご飯の支度をする。

さすがの私も一日気が気じゃなくて樹の反応がわからないだけに、とりあえず今日は失敗する心配もないカレーを準備。

すると、玄関のチャイムが。


「いらっしゃい」

「どうも」


部屋着に着替えて訪ねて来た樹を部屋に入れる。


「ご飯もう食べる? カレーだからすぐ食べられるけど」

「まだいい・・・。話聞かないと気になってメシ喉通んない」


・・・そう、ですか。

そんなに気になってるとは・・・。


「こっち来て。ここちゃんと座って」


そう言いながら座ったソファーをポンポンと叩き樹の隣りへ座るように合図される。


「はい・・・」


私はそのまま恐る恐るソファに座る。

私は気まずくてそのまま目を合わせられずに座っていると。


「こっち向いて。ちゃんとオレ見て説明して」


そう言って肩を掴まれ樹の方に身体ごと向けさせられる。


「透子。ちゃんとオレの目見て」


思わず目を逸らしてしまった私にすかさず指摘。


「透子。昼の話、どういうこと?ちゃんと説明して?」


樹は怒ってる感じではなく、穏やかだけどなぜかその目は切なそうにしていて。


「ずっと付き合ってる人って何?ラブラブって何?誰のこと?」


その目とその話し方で、不安なのか一気に気になってるであろうことを聞いて来る。


「ごめん・・・」


こんな不安そうな樹、初めて見た。

何?あんなことでそんな不安になる?

そんな樹を見てつい先に”ごめん”という言葉が出てしまう。


「透子・・。ごめん、って何・・・?」


するとさっきよりも不安そうな悲しそうな顔をしている樹。


「いや!違う!そういう意味のごめんじゃなくて!」


私が言ったごめんの意味多分これ樹勘違いしてるよね!?


「何が違うの・・?」

「違う違う!」

「まだ・・・あいつのこと好きなの?」


あーやっぱり・・!

やっぱり樹、勘違いしちゃってる・・・。


「ホントに違うから!前のあの人はホントにもうなんとも思ってない!」

「じゃあ。また違う誰かがいるってこと・・?」

「違うよ~!ホントに誰もいない!あれは三輪ちゃんの勘違い!」

「・・・勘違い?」

「いや・・勘違い、でもないのか・・・。うん・・。私が三輪ちゃんにちゃんと言ってなかったのが悪かったの」

「どういうこと?」

「ホントに前の彼のこととかってことじゃなくて、一時期彼氏いないってなってたら飲み会やらちょっとめんどくさいことが多くて・・・。それに前の彼とは別れてからは恋愛自体がホント面倒でそういうの考えたくなかったから、周りには彼氏いるってことにしてて。それ訂正するのも特にめんどくさかったから、とりあえず今までそのままにしてた・・みたいな・・」


その当時は恋愛のいろいろ考えるのが面倒でそうしてたのに。

まさか今こんな面倒なことが起きるとは。


「なるほど。そういうことね」

「うん・・・だから三輪ちゃんがあーいう感じで話しても別に誰の事でもないから気にしないでほしい・・・」

「そっか。どういう流れでそういう話になったのかはわかった」


樹わかってくれた!


「よかった!じゃあ・・」

「でも」


ん?まだ何かある感じ?


「今オレがいるのに、嘘でもなんか透子にそういう前からの存在があるとか、なんか気に食わない」


えっ、いや?そこですか?


「いや、でもさ?それはホラ実際誰でもない架空の人の話だから」

「架空の男でもオレ以外透子の彼氏とか嫌だ」

「えっ?それ架空の人に、嫉妬・・してるってこと?」


ちょっと待って。

え、私、樹にとってそんな嫉妬しちゃうほどの存在ってこと・・だよね?

やばっ。ちょっと嬉しいかも。


「だったら何?架空でもなんでもオレ以外の男の存在は全部嫉妬するに決まってるでしょ」

「何それ(笑)可愛い」


架空の存在までヤキモチ妬いてる樹が愛しくて嬉しくて可愛くて、思わず照れ隠しで笑ってしまう。


「はっ?ふざけてんの?オレ真剣なんだけど?」

「ごめんごめん(笑)」


うん、ごめん、やっぱりそんなとこも可愛い。


「ねぇ。オレ、今日どれだけ胸痛めたと思ってる?」


するとまた身体をがっしり掴まれて、顔を覗き込み真剣に呟く樹。


「ごめん・・・」

「わかってる?」

「うん・・・」

「ホントは違うってわかったからよかったようなものの・・・。これからオレ以外の男の存在は認めないし許さない」

「いや・・そこまで大袈裟に思わなくても・・・」


単なる架空の話だし、特に他にそんな存在の人もいないし・・・。


「は?大袈裟とかじゃないから。現にそういう話になるってことは、その時飲み会とかそういう場が多かったってことでしょ?」

「あぁ。うん、それはまぁ。元々私そういうのあんま得意じゃないからそんな行かないしさ」

「そういう問題じゃないでしょ。実際は合コンとかそういう感じのもあったんじゃないの?」

「あったような・・なかったような・・?」


あったけど、それはちょっと樹にはなんか誤魔化したくなる。


「・・・あったよね?」


うっ、この圧。なんで樹にはバレてしまうのか。


「あり、ました・・・」

「はぁ~。だよね?」


なぜか溜息をつく樹。


「でも、ほらだから今はそういうの行ってないし!」

「行ってたら困る」

「もうほらこの年齢だから誰も呼んでくれないしさ~。全然その心配はしなくて大丈夫だから~」


この年齢で合コン行ってる方が痛い女だと思う。


「は?透子は行きたいの?」

「いや!行きたいとかじゃなくて、そもそも誰も相手なんてしないだろうしさ」

「はぁ~。だから、なんで透子はそうなの?」


なんでって何がでしょう?


「そんなの透子が行ったら男ども全員透子狙うに決まってるでしょうが」

「え?なんで?そんなのあるワケないじゃん」


樹こそやっぱり大袈裟すぎる。

樹、目が悪いのかな、なんか絶対私の存在勘違いしてるよね。


「透子わかってる?透子がどれだけの高嶺の花かってこと」

「あ~!もうそれやめて!ホンットに自分で自覚がないから、それ言われてもむず痒い!」


全然実感もないのに、そんなこと言われても私はむず痒いだけだ。





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