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「え?それ本気で言ってんの?」
「え?本気だけどなんで?」
何か不自然?
「マジかぁ・・・。それは余計心配だわ・・・」
え、何。
なんでそんな樹ガッカリしてんの?
「逆に透子が高嶺の花だと自分で自覚しててプライド高くいてくれる方がよっぽどよかったわ・・・」
「えっ、そんなのやだよ。私プライド高いとかそんな嫌な感じになるのやだもん」
樹、性格悪い子が好みなの?
樹の好みがわからん。
「だから~。そういうとこだって」
「だから何!わかんないから!」
私に性格悪くなれっていうの?
「だから!透子は無防備すぎる!」
「・・・は?」
どこが?何が?意味がわかんない。
「無防備にしてるつもりないけど?」
「オレから言わせたら透子は無防備すぎて心配になる」
「だからなんで?」
「透子がモテてるって自覚ないのが一番の問題」
「だって誰も近寄ってこないもん」
なのになぜモテると自覚出来るのか。
「それは高嶺の花だから誰も近寄れないんだよ」
「じゃあ問題ないじゃん」
「けど近寄れないだけで狙ってる男はわんさかいる」
「わんさかいないよ」
「いるんだってば」
「別になんの影響もないもん・・・」
「透子がいくつになろうと高嶺の花の存在は変わらない。逆にその価値が高くなる」
「何それ・・・知らないもん・・・」
「逆に透子くらいの年齢の方がオレたち若い連中からしたら経験とその色気で魅力を感じる。だから透子が思ってる以上に透子の魅力はどんどん漏れていってる」
この年齢でそんなこと言われるなんて思ってなかった。
皆若い子ばっか相手して、自分なんて眼中にない感じだし。
でもなんかやっぱりピンと来ない・・・。
「それ・・樹がそう勘違いしてるだけなんじゃないの?」
「またそう言う。そもそも年齢関係なく、透子は仕事での完璧さだったり、それ以上の魅力あるから」
「そこ見てくれるのは・・嬉しい」
「だからそれも含めて全部透子の魅力」
まっすぐ私の目を見つめながらちゃんと伝えてくれる。
「だからオレはいつでもどんな時でもその透子の魅力を知られて、他の男に狙われてるのは気が気でない」
「あっ・・うん・・・」
もうあんま無駄に話さないでちゃんと聞こ。
「だから常に狙われてる自覚と、今はオレのモノだってこと忘れないで」
このまっすぐ見つめてまっすぐ伝えてくれるこの樹の表情が好き。
「わかった・・・」
この目に見つめられるとつい降参したくなる。
「透子もちゃんとオレだけ見てて。よそ見しないでオレだけのこと考えてて」
そしてこの視線と共にドキドキが止まらなくなる言葉。
もうこの視線に捕らわれてから、私は誰も目に入らないのに。
今はもう樹のことばかり考えてるのに。
「透子はずっとオレのモノだから・・・。誰にも渡さない・・・」
そう言ってそっと顔を近づけ樹の唇が重なる。
前とは違う今度は少し強めのキス。
私の身体を掴んでいた手が、自然と私の背中に頭の後ろに回って、更にこの唇が彼と一体になっていく。
私を求めるかのように唇で伝えてくる。
そんなに必死にならなくても大丈夫なのに。
だけど、そんな彼が私を求めてくれるその気持ちが嬉しくて。
この求めてくれる唇が嬉しくて、私も彼を気持ちのまま求める。
私にはもうこの気持ちがこの重なる唇がすべてなのに。
そして、唇が離れ目を合わせてどちらからともなく照れくさくて笑ってしまう。
「まぁ、でも彼氏がいるってなったら他の奴らが手出さない安心はあるから、とりあえずそのままにしとくか」
「何それ(笑)どっち(笑)」
まぁ、私はそんなことどっちでもいいけど。
樹がこうやって私の傍にいてくれるのなら。
「じゃあご飯食べよっか」
「えっ、オレ的にはご飯よりこのまま透子の方が食べたいんだけど」
「バーカ。私はお腹空いたからご飯食べる。樹いらないならもちろんカレーもあげないけど」
「いやっ!ごめん!カレーいるっ!」
「なら仕方ない。樹の分まで用意してあげよう」
「カレー食べたら次透子食べれる?」
「うーん。カレー食べたら私は食べれないかなー」
「えっ、なんで?」
「そうだねー。もっと君の本気を見せてくれたら考えてあげよう」
なんて、嘘。
ホントはもう樹の気持ちは伝わってるし、私ももう本気になりかけてるけど。
でも私がもっとちゃんと気持ちを伝えられるくらいに自信つけないと。
そこまで進んでそれだけの関係にならないように、もっとお互い本気にならないと。
樹が心から好きだと自分から樹にちゃんと言えるまでは、まだ流されない。
「えっ、今?」
「違うよ。これから~。じっくり君の本気を見せてもらうから」
私は樹みたいにすぐに思ってること口に出せないから、樹のその優しさに甘えてしまうけど。
お互い本当に何の不安もなく本気の恋愛になるまでは、じっくりゆっくり。
「まぁオレの本気はまだまだこんなもんじゃないけどね。オレが本気全部出したら、マジ透子オレから離れられなくなるほど惚れちゃうから覚悟しといて」
「はいはーい。覚悟しとく~」
そんな風に軽く返事はするものの。
本当はもうそんな予感はしてる。
きっと樹をもっと知っていくたびに、私は樹から離れらなくなるくらい好きになってしまうと思うから。
「うわっ軽っ!オレの本気そんな軽くないんだけど」
「わかってるよ~。ハイ出来た出来た。ご飯食べよ~」
「まぁ、じっくり本気見せてくからいいけど・・・」
樹、まだブツブツ言ってる。可愛いヤツ。
年下彼氏だとこういう可愛さの楽しみもあるってことね。
彼氏を可愛い扱いしても許されるのってちょっと嬉しいかも。
「はい。いただきま~す」
カレーをテーブルに置いて気にせず私は一人食べ始める。
「いただきます!」
「はい。召し上がれ~」
「んまっ!透子のカレー超ウマい!」
「そっ。よかった」
うん。私は今こうやって目の前で自分の作ったカレーを美味しそうに食べてくれる樹が見れるだけで満足。
「あっ、そうだ。二人の時は仕事の話したくないってオレが言ったんだけど、これ食べたらちょっと仕事の話いい?」
「うん。私は別に全然家で話してくれても大丈夫だけど。週一だけじゃ話せないこともスケジュール的にあるだろうし」
「サンキュー」
「基本、樹、会社ではあんまり会えるイメージないし。なんかいつも訪ねたらいない」
「あぁ。まぁいろいろ外回りも多いしね。オレ的には会社で偶然でも透子に会いたいけど、なかなかそれも忙しくて」
「ちょうどいいよ。そんなくらいで」
私は仕事で会いすぎると意識し過ぎて仕事に集中出来ないから、正直これくらいのが助かる・・とは言えない。
「え?なんで?オレに会いたくないの?」
だけど樹はちゃっかり呟いたことも聞き逃さず聞いて来る。
「いやっ、ほら、会社で会えない分はこうやって家では会えるワケだし、終わってからゆっくり会う方が、その分嬉しい、っていうか・・ねぇ」
うん。家でならなんとかその気持ち出せるから、せめて会社終わってからのが有難い。
「そう?オレは会社でも家でも透子に会いたいけどな~」
まぁ確かに。
会社で同じ仕事仲間だから見れる顔だったり知れること沢山あるから、それも実際はいいんだけどね。
でもなんかね。
樹にはまだそういう気持ちは隠しておきたくなる。