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「キヨの想い、俺が代わりに伝えようか?」
恋に悩める可愛らしい乙女は自分の目の前でひとつため息をこぼす。
「幸せが逃げちゃいますよー。」
「幸せ掴めねぇ…もう無理これ。」
「まぁたフジ?」
「うーん…そう、」
「じゃあさぁ、?」
「んーー?」
「キヨの想い、俺が代わりに伝えようか?」
「え、、、?うっしーが?」
「そう、俺を伝書鳩だと思ってさ。どう?」
キヨの前でぱたぱたと羽の動きを真似てはいたずらに笑って見せた。
実際、フジとはプライベートでもよく会っているしこれからも会う予定がたんまりある。沢山遣われてやるか。無論、悪い気は無い。だって俺はキヨが好きなのだから。…まぁ、とんだ皮肉な話だよな。俺が想いを寄せる可愛子ちゃんの恋の先が友人でそいつに想いを代わりに伝えるだなんて。
「…悪くないかも、そうして!」
「あいよ、手始めに何伝える?」
「んー、いつか遊ぼって、伝えて。」
「…ん」
ほんっと可愛らしい。そんなこと自分で言えるのに意識しすぎてるの。喧嘩中の兄弟の潤滑油になった気分。
「フジー。」
「ん?」
「キヨが今度遊ぼって。なんかLINEしてやって。」
「ん。…ってえ?キヨ?」
「そう。」
「へぇ…なんでうっしーが?」
「……本人に言うなよ?」
「何。」
「キヨはお前のことが好きなんだと。」
「…へぇ、全て分かった。俺とうっしーの秘密ね。」
俺はにやりと目を細めた。この機会を逃すまいと俺は悪戯には目がない脳をフル稼働させてこれからのあれこれを考えた。
「どう?ちゃんと伝えたよ。」
「うん、ちゃんと遊べた、!あのね、フジがさ───」
フジの話聞かされるのは苦だが…、まぁ大目に見てやろう。何よりも超絶可愛い顔で話してくれるのだから。その笑顔が見れるのなら悪い気は無い。
「じゃ、次は…ご飯、誘って。」
「りょーかい。」
好きな人にはどうも弱い。
「次の伝言は?」
「ご飯行きたいってよ。」
「ほう、なるほど。またLINEしとく。」
「ん、助かる。」
このまま遣われててね、うっしー。
もう何度目かも分からない伝言、だが今回は違った。
いつもの様子──と言ってもやはり何処か余所余所しく、慣れた様子はなかったが──で伝言を頼むキヨは何処か緊張していた。
「今日は?何頼む?」
「うっしー、目、瞑って。」
「……?」
言われるがままに目を閉じた直後_唇に柔らかい感触が伝わった。思わず目を開けては睫毛が触れ合う距離にキヨの顔が。
「…キヨ?」
「……えへ、これ、よろしく……」
顔を真っ赤にしては力なく笑って見せた。俺はその顔を呆然と眺めるだけでその時は過ぎ去った。
「また伝言?」
「そ、ちょっと失礼。」
俺はフジの目を隠してはその唇に唇を重ねた。
_全ては愛しき人の為に。
顔を離せばフジはキョトンとした顔で此方を眺めた。
「…う、そ……」
「マジ。お前もそろそろキヨの事好きなんじゃねぇの?笑」
「ここまでされたら意識しちゃうな。」
「キヨも頑張ってんだから。」
_愛しき人を諦めるためにも。
俺には秘密があった。
フジに隠している秘密が。それは言わずもがな…、キヨが好きということ。キヨの恋路を邪魔する訳にも行かないし、何より…フジに同情されたくなかった。
それに、伝書鳩は悪いことばかりじゃない。キヨが”フジに伝える”という名目で好きだとか愛してるだとか言い始めるから俺に言われてると勘違いする事もしばしば。…とんだ勘違い野郎とか言うなそこ。
俺には秘密があった。
うっしーに伝えてない秘密が。…俺はうっしーが好きだった。そんな想い人がキヨに遣われてて吃驚仰天!それならばと言わんばかりに”キヨに伝える”という名目でうっしーに想いを吐きまくった。勿論うっしーはそんなこと知らないから照れもせずにうんうんと頷くだけだったけれど、それでも俺の想いを受け入れてくれてるだけで万々歳だった。
「うっしー、俺からキヨに伝言。」
「はぁ?お前くらい自分で─」
俺は話してる最中の口を奪った。そのまま歯列をなぞって舌を絡める。口蓋をつー、となぞっては口を離した。
「こんなの、キヨに出来なくて。」
「……はは、サイテー。」
「今まで遣われてた身が今更何?」
「伝えりゃいいんだろ。クソが。」
「頼みましたー。」
……なーんて、うっしーに向けてのキスだけど…(笑)
「キヨ。フジからの伝言。」
「ん!!なに!!」
ぱぁっ、と明るくなれば少し高くなる声色。そして勢いよく上げられる顔。
俺は心に蟠りを感じながらキヨの口を奪った。フジがした通りに歯列をなぞって、舌を絡めて、口蓋を擽って……。もう少し…もう少しだけ……彼の口内を犯させて。神様、こんなのやっぱり耐えられそうにないです。キヨがフジの話で笑うのも、フジの言うワードで表情を明るくさせるのも…もう耐えられないです。ごめんなさい、こんなに弱くて。…でも、今まで頑張ったので……、”フジからの伝言”という言葉を使えばなんでもしていいですよね…?
「はぁ、うっしー……?」
「…ここから先も、フジの伝言。」
「ッ、まっ、て…うっしー…だめ、」
「伝言」
「ちが、これ、ちがう、、」
恐怖に震える瞳、溢れる涙。その目尻に優しく口付けを落とした。