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※捏造がとても多め
第八話 空気が読めない君
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——質問とは、時に兵器である。
この言葉を身をもって今学んだきりやんだった。
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いつも通りの四人で見慣れた住宅街を学校への文句、TVで見た面白かったこと、今日あった不思議なことなど他愛もない話を駄弁りながら歩いていたとき。
「リベンジしない?」
きんときの何気なく話題を変えるために放たれた一言から、すべてが始まった。
「この前さ、図書館のカフェ混んでて入れなかったじゃん」
「あー、あそこな」
nakamuが苦々しい思い出だとでも言うように頷く。
どうやら彼らも同じ様にあの例のカフェに入れなかったらしい。
「俺らも同じことなってたんだけど」
きりやんがその偶然に驚きながら返した。
「え、マジ?」
「きりやん、そういうの興味あったんだぁ〜」
きりやんも行けなかったという事実を知ると、nakamuがなぜかニヨニヨしながらきりやんの脇腹を、このこの〜、と言いながら肘で小突いていた。
「マジ。運悪すぎ」
そんなnakamuを不思議に思いながらも無視してちゃんと答えるスマイル。どうやらスマイルもお店に入れなかったのは残念だったらしい。
「……じゃあ今日行く?」
ちょっかいをかけてくるnakamuを引っ剝がしてせっかくならときりやんが言う。
「確かに、今なら空いてるかもだし」
なんか最近あんま話題に上がらなくなったもんな〜、ときんときが付け足しながら言う。
「いいじゃん!」
nakamuが即乗る。
「リベンジじゃ~!」
nakamuは拳を天に突き上げそう叫んで、スマホを取り出し、カフェのメニュー表を調べ始めた。
「……行く」
スマイルも自然に混ざる。
こうして、四人でのカフェへのリベンジが始まった。
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図書館の見える方向に向かって四人で歩く。
並びは——
前にnakamuときんとき。
少し後ろに、きりやんとスマイル。
(……なんでこの配置なんだよ)
きりやんは内心で思う。
確かに歩道で4人で横並びで歩いてほかの人の迷惑になるのもいけないから、当然っちゃ当然なんだろうが。
(いや別にいいけど……よくないな)
微妙な距離。
でも前のきんときとnakamuのカフェ何頼むか論争の会話は聞こえる。
そんな絶妙なポジション。
(まぁ、スマイルの隣を誰かに譲るつもりはないけど)
そんな独占欲の塊のような思いを抱えているのを再確認したその時、
「ねえスマイル」
前を歩いていたnakamuが、くるっと振り返った。
「ん」
スマイルは顔を上げ、nakamuのほうを向いた。
「好きな人のタイプとかあんの?」
——nakamuは特に悪びれる様子もなく、ニコニコとしたあの笑顔でこの平和だった会話の輪のなかに爆弾を投下していった。
「は???」
きりやんはスマイルが何かを言う前に即座に反応した。
「ちょ、おま——」
「えー、気にナリマスネー」
きんときが若干棒読み気味に乗る。
「どんな人がイインデスカ?」
(乗るな!!!)
きりやんは心の中で悲鳴のように叫んだ。
nakamuはこの会話をするためにわざわざこの並びにして、きんときと作戦会議したのだろう。
「いやいやいや、そういうのいいだろ別に!」
必死に止めに入る。
「なんで?」
そんなきりやんの焦りも虚しく、nakamuが素で返す。
「普通に気になるじゃん」
「いやそうだけど今じゃなくていいだろ!」
「今が一番面白いじゃん」
ポロっとそんな事を言ってしまった直後、あっ、と言い思わずnakamuは口を抑える。
「本音出てんだよ!!」
――――――――――――――――――
「……好きなタイプ」
スマイルが、小さく呟く。
(あんま、考えたことなかったな)
そう思い、いい機会だと切り替えてスマイルは考え始めた。
(やめろ)
(考えるな)
(スルーしろ)
そんなスマイルにはもう通じないであろう無駄で必死なきりやんの祈り。
スマイルは顎に手を置きスマイルの考えるときについしてしまう癖を出して深く考え始めた。
(終わった)
きりやんは心の中で膝からガックリ崩れ落ち、悟った。
隣で、きんときがちらっとこちらを見る。
(……あー)
ふと、きりやんの横顔を見て気づいた。
(これ、きりやん……)
察しのいいきんときは状況を理解した。
そして、nakamuにうまく使われていた事にも。
「いや、やっぱ急に聞かれると答えらんないよね」
さりげなくフォローに入る。
「スマイルそういうの興味なさそうだし」
(ナイス!!!)
きりやんは今まで嫉妬していた相手への態度とは思えないレベルで心の中できんときに拍手を送っていた。
「確かに」
無理そうだな、と察したのだろうnakamuも頷く。
「今はいいか」
一旦、この話を切り上げ、引こうとする。
(助かった……)
きりやんは今までに無かったピンチだったので何事もなく終わったことに安堵した。
——その瞬間。
「……優しい人」
スマイルが、ぽつりと口を開いた。
全員、止まる。
身体が凍りついたように感じられるほど、静止していた。
「……で」
続く。
「まあ」
ここにいる全員を見回して、少しだけ考えるようにしてから一息置いて。
「……俺のこと、許してくれればいいかな」
——スマイルが発言し終わったあとは沈黙しか残らなかった。
風の音だけが、人と人の間を通り過ぎる。
「……」
「……」
「……」
誰も、何も言えない。
(え、言うの???)
きりやんは思考が停止していた。
安心していた自分が馬鹿馬鹿しい。そういえば、彼はそういう奴だったなと思い、もう全てを諦めた。
どうにでもなれ、と
(いやいやいやいや)
(聞くつもりなかったんだけど???)
nakamuはポカン、意表を突かれた顔をして、数秒固まって——
「っはははははははは!!!!!」
大爆笑。
「何それ!!」
「スマイル面白すぎだろ!!」
思わず、腹を抱え、思いっきり後ろに反るように笑った。
「いや深いのか浅いのかわかんないって!」
ひー、おもろ、と言ってスマイルに向き合い、やっぱ面白いよ君たちは、と言いながらスマイルの肩を叩いた。
「……?」
当の本人であるスマイルは首を傾げる。
何が面白いのか、本気でわかっていない顔。
きんときは一瞬ぽかんとして、それから——
「いやーw、いいんじゃないw」
笑いながら乗る。
「そうゆうとこ、大事だよね」
空気を戻しにいく。
一方で。
(……許してくれればいい、って何だよ)
きりやんの脳内は混沌を極めていた。
(どういう意味だよそれ……)
脳内でスマイルが言った言葉がフラッシュバックされては、ぐるぐる回る。
(てか、優しい人って)
自分はどうなのか。
当てはまってるのか。
足りてないのか。
(いやでも——)
さっきの一言。
やけに、頭に残る。
(……なんだよそれ)
嬉しいのか。
不安なのか。
自分でもよくわからない感情が、胸の中でぐちゃぐちゃになる。
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その横で。
(あーもう最高)
nakamuは完全に楽しんでいた。
(想像以上だったわ)
きりやんの反応。
スマイルの無自覚。
きんときのフォロー。
(このバランス、神だろ)
にやけが止まらない。
「ねえきりやん」
小声で囁く。
「大変だね、ほんと」
「……うるせえ」
即答だが、余裕はない。
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そして当の本人は。
「……カフェ、空いてるといいな」
何事もなかったかのように、前を向いて歩いていた。
——何も知らずに。
——何一つ、気づかないまま。
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