ある秋の日の休み時間。
少女はクラスで飼っている金魚を、ただ見つめていた。1週間前までは、女子4人組の1人として話していたのに突然として彼女達は姿を消した。
まぁ、少女の話はここまでにしよう
私の名は『ギャロ』。人々の話をただ傍観する生き物の1人。そして今私は、先程話した少女を観察している。心が読める訳でもないが、何故か共感してしまう少女の姿に心を奪われた。人間で言う恋愛感情に1番近しいと言える現象だろう。
人間とは非常に面白い生き物だ。裏切られたら相手を憎み、裏切ったら嘲笑う。そうやって生きていくからこそ人々は酷く美しいのだと私は思う。誰かを蹴落とさないで生きていくなんて、そんなこと不可能だ。どこかで無意識に蹴落とさないと、人は生きていけない。
嗚呼そんなことより、少女についてまた話をしようか
少女の名はまだ知らない、だって、少女は金魚にしか話しかけないんだ。
「今日はテストあったんだけど、ボロボロだった」
などと、どうでも良い話を金魚にする。傍から見ればただの変人だが、話し相手がいないので仕方ないと思って欲しい。少女の親友は今日は欠席、隣のクラスの友人もどこにいるか分からない。話が好きなのに誰とも話せないのは苦だと思ったんだと思う。
そんな時、少女は休み時間にいつも遊んでいる3人の少年を見て、無意識に話しかけるように言葉を発した。
「何してんの?」
その一言から、話は段々広がっていく。
今していたことから、話の変なところに気がつくとからかって笑い合う。そして倍返しをするように、相手の隙を突いては笑い合う。それから3人とはいつも話すようになった。
……わかっているだろうが、男女の友情関係は複雑だ。どちらかが好意を持てば、段々好きが深まって告白という形になる。私もそうゆうのは何度も見てきた。その度に、どちらかは恥ずかしがり、どちらかは困り果ててる。これが友情関係が崩れ落ちる1つの理由となる。
それで、少女は1人の少年に恋愛感情を抱いてしまったということだ。
……もっと正確に言えば、友情の好きか恋愛の好きかわからなくなってしまった、ということだ。まぁ、私が見る限りよくあることだ。どちらの好きでも、お気に入りっていう好きなのには変わりない。
このまま告白の流れになるのも、少し勿体ない。やっと築いた男女の友情関係が終わるかもしれないと感じたら、今まで楽しかった時間と関係が無駄になるかもしれない。人は無意識にそうやって告白を先延ばしすると思う。
で、少女もその1人。分からないのに告白するのも、この時間が終わるのも避けたかった。どの道、お気に入りであることは一切変わりない。ずっと一緒に居たいのも事実だ。
そうやって巡り巡って、ある日。そのまま告白出来ずにクラス替えの時期になり、少女は仲の良い友人と同じクラスになった。そしてある日、友人の言葉から少年の話を聞いた。
「実は、昔付き合ってたんだよね」
小学生の頃、だろうか。幼い子供が入る様な施設で仲良くなり、自然に両思いになっていたらしい。
「今は恋愛感情とかないけどねw」
正直に羨ましいと少し思ってしまったのか、少女の口角が変な角度に上がっている。少女は嫌がるどころか、もっと聞きたいと話を続けてもらっていた。話の9割が、少年がするようなことでは無いような内容(ダジャレじゃない)ばかりだったと思う。
嗚呼、話はここまで。
それじゃあ、また話の進展があればお知らせしようじゃないか
私はここで待ってるよ。少女の話が進むのを
コメント
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え、凄すぎる めっちゃ続き気になる… 文章力凄すぎますね 最後の終わり方話しかけてくれる感じがすき