H side
17歳、春。
俺には好きな人がいる。
俺の好きな人はとても可愛い。
笑う時に笑窪ができたり、物静かな癖に話し出すとめちゃくちゃ元気だったりする。
早朝。俺は朝の教室が堪らなく好きだから、みんながくる1時間前にはいつも居る。
「ん″ーー……!好き〜〜ッ…!!」
早朝の空気に飲まれながら、思いっきり声に出した。
「誰が?」
「うわッ″!!?!!!っ!?」
ガタタンッ!!
目の前に当の本人が現れて、思わず椅子から転げ落ちた。
「は?…え、何、笑、…待って、面白っ…笑」
人がずっこけたって言うのに、何やらツボに入ったようで腹を抱えている。
「てめ…、何笑ってんだよ…〜!」
「だって、なんか好き〜、とか叫び出したと思って覗き込んだら転げ落ちるからっ、笑笑」
ひー、面白い、と呟きながら、笑い過ぎて出てきた涙を拭うmtk。
…あ、今日第一ボタン開けてる。インナーだ…、夏だもんな。しっかりガード堅い。
でもそれが逆に…、_____
「…ちょっと。
俺の首元ガン見して何?wkiのスケベ。」
首元を抑えながら顔を顰める。
「ぁっ……、ちが、mtk、インナーだなあって……、」
耳がじりじりと熱い。
「あ、……、そう。よく気づいたね。流石に肌見せるのは良くないかなって思って…」
「……ってか、俺のことめっちゃ見てるね。
好き〜、って言ってたの、俺に対してだったりする?笑」
けらけら笑いながら俺を揶揄うように見つめる。
「……、…んん″…、」
思わず俯く。
朝の空気感のせいだ。二人っきりだし、普段なら普通に否定できるところもできない。
「……、は?…ぇ、待って…、まさか…、じゃないけど、」
「……ガチなの…?」
「っ…!」
顔が青褪める。流石に引かれただろうか。
「……かわい、」
……ん?
今のは俺から漏れ出た声だろうか。それとも別の___
違う。何年拗らせてきたと思っているんだ。声を聞き間違えるはずがない。
「……え″っ、」
顔を上げたら、すぐ目の前にmtkの顔があった。
「っ……!!ぉ…、わ…!」
顔が真っ赤に染まる。
「…笑、今度は転げ落ちなかったね。」
ちゅ、
早朝の静かな教室に、かすかなリップ音が響く
「……ぁ…、え……、う…、そ……、っ、」
僅かに受け入れ難い事実に、思わず後ずさる。
「……口開けて、wki。」
「……ッ、こ、こ、……教室っ……、!」
何とか理性を抑えて、mtkの肩をぐっと押す。
「……どうせ誰もこないよ。」
「そ、っ……、ういう問題じゃ…、」
mtkの顔がどんどん近づいてきて、喉がごきゅっと鳴る。
「……、俺と、キスしたくないの?」
「いやっ、……した……ッ、……ぃ…″…けど…」
恥ずかしい。言葉が詰まる。
「………。」
視線で射止められそうだ。
このままだとmtkに視線だけで殺されてしまう。そう思って口を開いた
「……ぁ、」
「……いい子。」
熱い舌が入り込んできて、口内が荒らされていく。
「は″……、ぅ、んん″ッ……、っ、…♡♡//」
ぴちゃぴちゃ、と水音が脳内に音が響いて、ゾクゾクと体が震える
「………ぁ、…、″っ、…、♡♡、…♡″」
耳をやわやわ触られて、mtkに触られたところがびりびりと熱くなる。
「……っは、」
「……♡、♡♡、″…」
酸欠で頭がふわふわする。これが夢だったら嫌だなあ…、
「……ん?」
mtkの頬をやわやわと触ったら、優しい微笑みを返してくれる。
「……すき?」
「……大好き。」
「………ぇっ、へへ……、ぇ、」
にやにやが止まらない。頭もぽかぽかしてくるし、朝の陽気が___
ん?朝?
「……っ、!!!!!!///」
ここが学校だと今気づいた。あいにく誰も来ていないようだ。
「…wkiと両思いだなんて嬉しい。
俺…、初めて会った時から好きだったんだけど、気づいてた?」
「えっ…」
嬉しくてぱっと顔が明るくなる。
知らなかった。俺の方が先だと思ってた。
「……知らなかった、」
思わず笑みが溢れる。
mtkはそんな俺を見て笑窪を作った。
「笑、ずっと追っかけてたらwkiが朝早く来てるってことに気づいて、防犯カメラ見てたら1時間も前に来てるなんて驚いたよ。早起きなんだね、wkiは」
「……ん″っ?」
防犯カメラ?ずっと追っかけてた?
何やら聞き覚えのない単語がスラスラmtkの口から出てくる。
「……まっ、まって……、お、俺のこと…追っかけ……」
「あれ、気づいてなかったの?」
「…ずぅーっと見てたよ、ずっと。」
mtkの目から光が消える。吸い込まれそうだ。
「………ぇっ…、あ……、そ、……ん…??」
「嬉しいっ!これからずっと一緒だね♡」
mtkが無邪気に抱きついてくる。
可愛いのに不気味だし意味わかんないし、俺の頭の中はもうぐちゃぐちゃ。
「………浮気なんてすぐバレるからね?」
普段よりワントーン声が低い。
「その時はwki殺して俺も死ぬから。」
にっこりと笑いかけられる。
あんなに可愛いと思っていた笑窪も、今は恐怖となりうる。
「……しっ…、しないよ……」
「♡♡、wkiだーいすき!!♡♡」
俺はとんでもないモンスターに捕らわれてしまったようだ。
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どうしても不穏に持って行きたくなってしまう
デロ甘激重感情を愛しています。
コメント
2件
びっくりした笑笑 途中めっちゃ甘いなぁ良いなぁって思ってたら途中からいきなり「あ、れ?ん?ん!?」ってなった笑笑 すみません🙇♀️語彙力無くて。とりあえず私も不穏大好きです。ゆえにこの作品めちゃ好きです🫶