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翌日、再び眩しい光で目が覚めた。
昨日よりは少しだけ、身体を起こす動作に慣れた気がする。
カーテン越しの朝日が白い床に伸びていて、病院特有の消毒液の匂いが鼻に抜けていった。
しばらくぼんやり天井を眺めていると、控えめなノック音がした。
「……どうぞ」
返事をすると、ゆっくりと扉が開く。
入ってきたのは、オーラを纏った男の人。
多分、昨日らんさんが言っていた“怖い人”。
その言葉を思い出して、思わず身構える。
「……起きたんだな」
低くて落ち着いた声。
でも、想像していた刺々しさはなくて、むしろ、不器用そうだけど優しい声だった。
「俺、いるま。……らんから聞いた」
そう言って、俺の顔をじっと見る。
視線が強くて、心の奥まで覗かれているみたいで落ち着かない。
「……記憶、ないんだってな」
「……はい」
短く答えると、いるまさんは一瞬だけ目を伏せた。
それから、ゆっくりと椅子を引いて俺のベッドの横に座る。
そして息を吐き、呟いた。
「無理に思い出さなくていい」
昨日、らんさんも同じことを言っていた。
でも、いるまさんの声には、別の重みがあった。
「思い出せなくても、お前はお前だ」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が、きゅっと締め付けられる。
どうしてだろう。
初めて会ったはずなのに、その声を、表情を、知っている気がした。
「……すち」
ぽつりと、いるまさんが俺の活動名を呼ぶ。
その瞬間、頭の奥で何かが微かに揺れた。
眩しいステージの光。
重なる歌声。
緑色のペンライトの海。
けれど、それらはすぐに霧の向こうへ溶けていった。
「忘れててもいい。
思い出せなくてもいい。
それでも……俺たちは仲間だ」
少し語気の強い言葉。
だけれど、その中には優しさを感じた。
仲間。
その言葉が、胸に静かに落ちる。
「……また、来るから」
そう言われて、俺は小さく頷いた。
いるまさんはそれを見て、ほんの一瞬だけ、安心したように笑った。
「明日は覚悟しとけよ?笑」
「こさめって言ううるせぇのが来るから」
そう言い残し、いるまさんは部屋のドアを開けた。
扉が閉まる音を聞きながら、俺はそっと目を閉じた。
あとがき……
第1話♡50越えていました!!ありがとうございます!