テラーノベル
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次に目を覚ましたとき、病室の外がやけに騒がしかった。
廊下から聞こえてくる、少し高めでよく通る声。
笑い声というより、ほぼ叫び声に近い。
……あ、これは。
嫌な予感がした瞬間、勢いよく扉が開いた。
「すっちーーーーー!!!!!!!」
飛び込んできたのは、明るい雰囲気の男の人。
目が合った瞬間、ぱあっと表情が輝く。
「よかっだぁぁぁ……生きてる……」
ベッドの横まで来ると、ぐっと身を乗り出してくる。
距離、近い。
「……えっと……?こさめさん、ですか?」
戸惑っていると、その様子を見て、男の人はぴたりと動きを止めた。
「あ、そっか……記憶、ないんだっけ」
そう言って、頭をぽりぽり掻く。
「んじゃ、改めて自己しょーかいね!」
「こさめはこさめ!
うるさいって言われがちだけど!
悪い人じゃないから安心して!」
昨日のいるまさんの言葉が頭をよぎる。
「覚悟しとけよ?笑こさめって言ううるせぇのが来るから」
……なるほど。記憶の中のいるまさんに強く納得した。
「急にごめん!!
でもさっ、目覚ましたって聞いてどうしても顔見たくて」
そう言って笑うこさめさんの笑顔は、太陽みたいに明るかった。
「ねぇすっちー、覚えてなくてもいいからさ」
ベッドの横に座り、少しだけ声のトーンを落とす。
「今のすっちーが、ここにいるなら、それでいいよ!」
まただ。
らんさんも、いるまさんも、こさめさんも。
みんな同じことを言う。
「……俺、どんな人でしたか」
気づいたら、そう口に出していた。
こさめさんは一瞬目を丸くして、それからにっと笑う。
「歌うときはさ、めっちゃかっこいいのに」
「普段は結構ぼーっとしてて」
「でも、誰よりも優しかった」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「緑色、似合ってたよ。
ほんとに」
その一言で、視界の端が一瞬だけ揺れた。
マイクを握る手。
ステージ袖から見える緑の光。
誰かが名前を呼ぶ声。
「……っ」
思わず目を閉じると、こさめさんが慌てた。
「だ、大丈夫!?ごめん、無理させた!?」
「……いや、」
ゆっくりと目を開ける。
「少しだけ……あったかい気がしました」
それを聞いて、こさめさんは目を潤ませた。
「それ!!それそれ!!
その感じ!!すちだぁぁ……」
泣くのか笑うのか分からない顔で、こさめさんはぐっと拳を握る。
「大丈夫。
パズルはさ、ゆっくり埋めればいいんだよ」
その言葉に、静かに頷く。
失った記憶はまだ遠い。
でも——
確かにここには、俺を待ってくれていた居場所があった。
「明日はなつくんって言う人がきます!」
「また絶対来るからね!!」
そう言いながら、病室の出口の前でブンブンと大きく手を振るこさめさんに、小さく手を振り返した。
あとがき……
この作品は1日1回投稿を目指してます!
基本的に20〜22時頃に投稿することが多めです。
これからも応援してくださると嬉しいです!!
みぃ
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