ダンジョンでの怪我が完全に治った頃。母屋の呼び鈴が鳴った。
冬乃「はーい……」
冬乃が応じる。冬乃には見覚えの無い4人組だった。
冬乃「えーっと……あなたたちは……?」
魔法少女「ティロさーん‼」
冬乃の後ろから魔法少女が飛び出してくる。そのままティロに飛び付く。
ティロ「うふふ。心配かけてごめんなさいねまどかちゃん」
まどかは冒険者ギルドに登録している魔法少女の名前だ。
魔法少女「ティロさーん! ぐすっ……帰ってきてくれて嬉しいですー……」
ティロ「ほら泣かないの」
冬乃「もしかしてみんなが言ってた人……⁉」
冬乃や魔法少女の声を聞きつけ、剣豪がやってくる。
反応速度&ゆゆゆ「「師匠!」」
剣豪「よお! お帰り。とりあえず上がれ」
魔法少女「見てください!」
魔法少女が魔法学校の制服を着て出てくる。
ティロ「あら。それ学校の制服じゃない! しかも黒魔術科! 合格したのね、おめでとう!」
魔法少女「ありがとうございます! これからはティロ「先輩」ですね!」
ティロ「うふふ。そうね。私も二年生かぁ……」
剣豪「あ、そうだ。お前らにこれ。こっちが狂戦士、これが反応速度、これがゆゆゆだ」
剣豪が差し出したのは、少し大きめの箱三つだった。三人がふたを開けると、それぞれ魔法少女のと似ているようで少し違うデザインの制服が。
狂戦士「これ、戦士科の制服か⁉」
剣豪「ああ。お前も受験、しに行っただろ?」
受験と言っても戦士科の受験はバトルロワイアルだ。制限時間内に受験者同士で戦い、時間になった時に立っていた者が合格となる。なので合格者が増えすぎる年があるのではないかと思われるが。
狂戦士「そういえば行ったな……どいつもこいつも雑魚ばっかでおもしろくなかったぜ……」
こういう戦闘狂が毎年一定数いるため、合格者が増えすぎることはあまりない。
魔法少女「……もしかして魔術科以外の生徒って結構ヤバい?」
ジャンプ「俺も来年入学するんだ」
狂戦士「本当かジャンプ⁉」
ジャンプ「ああ!」
ジャンプと狂戦士で盛り上がっているところで、反応速度が剣豪に言う。
反応速度「……なぁ師匠、俺ら本当に受かったのか?」
ゆゆゆ「まあ……あんた結構やらかしてたからね」
すると、剣豪は何を言っているんだという顔を二人に向ける。
剣豪「合格だって伝えようと思ったら居なくなったんだろうがバカ」
ゆゆゆ「そんな……! 私はまあ当然の結果だけどこいつが……?」
反応速度「あのさ、俺ゆゆゆに何かした? 当たり強くね?」
ゆゆゆ「だってそうじゃない! 剣術の試験で教師を一人再起不能にしたのよ⁉」
剣豪「そりゃ派手にやったな……まあ良いんじゃね? 今おもしれぇやつは将来強くなるって。ま、学校頑張れよ」
反応速度「なぁ師匠、俺こいつと一緒とか嫌なんだけど」
ゆゆゆ「私も嫌よ!」
剣豪「はいはい静かにしろって」
そして数日後。
冬乃「……うん。三人とも良いじゃん!」
雷神「あれ、冬乃じゃん! こんな早くに珍しいね」
冬乃と、揃いの制服を着た魔法使い、狩人、巫女と、一人ランドセルを背負った盗賊。そこにに、雷神がやって来る。
冬乃「雷神さん! 今日から中学生なんですよ!」
雷神「へぇー! それ制服? 良いね!」
冬乃「いやぁ我が子が進学するって本当嬉しいなぁ……あ、じゃあみんな行ってらっしゃい」
四人「「「「行ってきます!」」」」
盗賊「なぁ俺今年一年ぼっち登校かよ……」
狩人「途中までは一緒に行けるじゃん」
盗賊「まあそうだけどさ……」
四人の後ろ姿を見送る冬乃。
冬乃「それじゃあ私は戻りますね」
雷神「うん。風ちゃん! そろそろ神社行こ!」
すると、どこからかバサッという羽音がした。
冬乃「えっ? 今の何……?」
「剣豪! いる⁉」
裏口の方から声が聞こえた。
剣豪「……もうちょっとやり方あったろ……」
ちょうど冬乃の後ろにいた剣豪が出ていく。
剣豪「……天使に悪魔か……その、色々聞きたいことは山積みなんだが……」
天使「どうでも良いわ!」
剣豪「あっそ」
天使「ねぇ、希望ちゃんは?」
剣豪「言っただろ? 取り逃したって」
天使「他は?」
剣豪「他? 知らねぇよ……あのさ、一個一番聞きてぇこと聞いて良いか?」
天使「……何よ」
剣豪「俺ら何で対面で話せてんの?」
天使「……え?」
剣豪「(ようやく黙った……)」
剣豪が一安心するが、それも束の間。風神、雷神、冬乃がやってくる。
冬乃「えっ……ど、どういうこと……ですか……⁉」
天使「あれ? ……こんにちは。急にお邪魔して申し訳ございません」
剣豪「急に態度変えんな」
雷神「あれ、言ってなかったっけ? 剣豪君は地獄、天使ちゃんは天国の統治を任されてる。それで、まあいろいろ力とか貰ってるから、力の均衡? を保つために、普通同じ世界に存在出来ない。そうだっけ?」
天使「……まあ、そんなところね」
冬乃「知ってる単語の羅列のはずなのに何一つ意味が分からない……っていうかもしそうならここは例外を凝縮して固めたような感じになるんじゃ……」
剣豪「それで? 何で対面で話せてんのさ?」
天使「さあ……私もわからない」
風神「まあここって人間界と繋がってたりいろいろ変なところあるからね」
風神が呟く。
冬乃「これ変なところの一言で片付けます⁉ (もしかしてこの温泉宿が潰れたのって変なところ多いからかなぁ……)」
剣豪「それで? なんだよ急に」
剣豪が天使に向き直る。
天使「それよ! ヴァルちゃんが居なくなったの!」
剣豪が目を見開く。
剣豪「……! それ本当か……⁉」
天使「ええ。それでね、湘南地方でまた同じようにモンスターが異常発生してて……多分、希望ちゃんだと思うの。今度こそお願い!」
剣豪「……行くしかねぇか……分かった。取り敢えず、玄関から入ってくんね?」
天使「……はーい」
天使「……母屋に入っても大丈夫なのね」
剣豪「みたいだな」
母屋で、天使と剣豪が向き合っている。
剣豪「……湘南には行く。ヴァルも連れ戻す。でもタダでとは言わねぇよな?」
天使「……え?」
剣豪「母屋で俺らが対面できるなら丁度いい。お前らも手伝えよ? ……冬乃。ここを案内してやれ」
冬乃「……わ、分かりました」
天使「えっちょっと待っ」
剣豪「拒否権は無い」
天使「えぇー⁉」
こうして天使と悪魔を味方につけた一行。消えたヴァルキリーを探すべく湘南に向かう。
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