夏合宿も終わり、普段の生活となった。
まだ残暑が残る中…
「さぁ最終コーナーに入りました!」
北海道札幌競馬場にいるローマとフレイム、さらにライスやウララも来ていた。
この日は、ローズのデビュー戦のレースだった。
「さぁアンフェニローズハートが行った!!行った!!」
ストレートを走るローズを見た時は、華麗な姿だった。
「おめでとローズ」
「ありがとうございます!」
「ローズちゃん!おめでとう!」
「ありがとうライス!」
デビュー戦を制したローズ。クラシックに向けて1つ目の白星を獲得した。
「けど、この先も強くなってティアラ三冠を目指せよローズ!!」
「はい!必ずトリプルティアラなってみせます!!」
「この後、少し観光して帰るか!」
皆は苫小牧市に訪れていた。
「確かハスカップあったよね?」
「ハスカップ?」
「北海道とシベリアの1部に咲いてる果物。アイヌ民族は”不老長寿の実”と呼ばれているらしいよ!」
「ビタミンとか結構豊富だったよな」
「ハスカップ食べてみたいな!」
「けど…ここには売ってないからトレーナーに聞いて取り寄せてもらおう」
ハスカップは売ってないらしく、農園に取り寄せしないと食べられないらしい。
すると…一際男性や女性の行列が出来ていた。
その先には…
「あれ?タルマエの等身大パネルだ!」
「タルマエ…?」
「ホッコータルマエ、フレイムの1つ上の先輩だよ!」
「へぇーそうなんだ」
「タルマエは、地方GIと中央のGIのダートレースを合わせると10勝した強者なんだ!」
「込で10勝…!」
対戦することが無いフレイムだが、2桁勝利に驚いていた。
(タルマエ…GI2桁勝利…学園にいるから会えるか…)
その後も、北海道のお土産を買って、小旅行を堪能した。
次の日の日曜日、駅の近くを歩いていたフレイム。
「…人だかりができてるな?」
近くに小さな人だかりが出来ていた。その先には…
「ああ、とまこまい 白い大地 紙が舞う♪
ああ、とまこまい 渡り鳥も ひとやすみ…」
(なんの歌だ?とまこまい…苫小牧のことなのか?!しかもあの子、昨日の等身大パネルの子じゃん!)
あのホッコータルマエだった。
「次は、苫小牧特産品について勉強すんべさ。オススメをこの冊子にまとめてきたんだ♪」
(え?歌終わりなの?)
「あ、あの、歌はもう歌わないんですか?もうちょっと聴きたいなーって思ってたんですけど…」
「えっと…ごめんなさい!歌の用意はなくなって…!代わりに苫小牧のハスカップの試食会をします!」
(いきなりかよ…)
歌の用意はなく、急に試食会となった。ハスカップって確か…
「皆も好きになって欲しいな!さ、おひとつどうぞ!」
ハスカップをフレイムに向けたタルマエ。試食してみると…
酸味があり、ほんのり甘みを感じる。
「だべー?ジャムにしても絶品なんだ!ささ、他の人も…」
人だかりができていたが、ほとんどいなくなっていた。
「ほとんど人が居なくなってる…!またやっちゃった…!」
「…ハスカップ美味かったぜ!」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
「…学園?」
タルマエはあのフレイムだと言うことはまだ気づいていなかった。
(あの子、どこかで見たような…?)
「…まだだな、歌はいいけど」
翌日
トレーナー室
「へぇ!あのタルマエに会ったんだ!」
昨日の事をローマとトレーナーに伝えた。
「ほんのりした歌だったし、ハスカップも美味かったですよ!」
「ハスカップってどうしたら取り寄せるかな?」
「なんか農園に直接電話とかできるらしいですよ?」
「本当に?トレーナーいつか電話して取り寄せて!」
「了解!」
「それじゃあ失礼します!」
昨日のハスカップ甘くて酸味が効いてて美味しかったフレイム。タルマエにお礼を言わないと思った。
「ああ、とまこまい〜♪」
つい歌ってしまったタルマエ作詞の「おいでよとまこまい」。
すると…
「うぅーん…どうしていっつも上手くいかないんだろ。苫小牧ののアピールとピュアかわキャラの食い合わせが悪いとか…?」
木の下でタルマエが何か言っているのを見てしまったフレイム。恐る恐る近づいて見ると…
「ロコドルの方向性から考え直すべき?もっとロックでオラオラ〜、苫小牧だべ〜って感じ?
それとももっと元気系?苫小牧ギャグ作るとか…でもマスウケ狙うなら…」
集中しているか分からないが、フレイムに聞かれていことに気づいていない。
(長いな…気づいてないのか?)
「キャラを見直すより、時間帯を変えてみるとか?深夜…は無理だから、朝?朝の挨拶しながらとか…?」
言った同時にフレイムに気づいた。
「…聞いてた」
聞かれちゃまずかったのか?!全部聞いてたし!!
「……っ!」
「な…何?」
「い…いえ、私にも隙があったと思いますし、ただその…他の人には言わないでもらえませんか?」
「…何を?」
「反省会やってたとか、計算でピュアかわキャラやってたこととかです!」
「なんで…?」
「い…いうなれば企業秘密です!情報漏洩は営業妨害とみなしますからね!!」
グイグイ近づくタルマエに圧倒され、言い返せなかった。
「分かったから…!」
「お願いします!はぁ〜…」
「ったく、昨日駅前で苫小牧のPRやってたホッコータルマエだろ」
「…え?あの時の?!」
フレイムに気づかなかったタルマエ。あの時の事を色々話した。
「紹介が遅れたな、俺はメジロフレイム、三冠目指すメジロのウマ娘だ」
「あのフレイムさん?!チームスクーデリア所属の?!」
「そうさ、一昨日同室の子が北海道でデビュー戦だったから少し寄り道しようとした時にタルマエを知ったのさ」
「ありがとうございます!昨日はちょっとごちゃごちゃでしたけど…」
「歌の用意なら補充しとけよ、1曲だけじゃものだんねぇぞ」
「あれ私作詞作曲だったので…」
あの歌はタルマエが作詞作曲した。その後、どうしたらいいか一緒に考えさせられた。
「”おいでよとまこまい”じゃあ物足りねぇんだよな、Unlimitedimpactシングルverで歌うとかは?」
「それはウイニングライブの曲ですよ!」
「色々分からねぇ…!」
他の方法が分からない。ロコドルとしての活動とか難しい…
「じーーー…」
「…なんだよ」
突然フレイムの顔をじーっと見つめるタルマエ。何かついているのか?
「いえ、フレイムさん顔シュッとしてますし、イケメン女子みたいですね!」
「イケメン女子ってそんな…」
「フレイムさんコスプレやってますもんね!いつか苫小牧の宣伝もお願いしたいのです!」
「だとしたら…俺がタルマエのコスをしてアピールする」
「いいですけど…ちゃんとクオリティ高くしてくださいよ!」
「俺をなんだと思ってんだよ…」
フレイムはプロのコスプレイヤー。クオリティは高いはず。
「ローマさんと三井トレーナーさんも表で活躍してますもんね。ああいうのに憧れているんです!」
「三井トレーナーは死と隣り合わせのレースに出てるからな、勇気がいるんだよ」
「フレイムさんは好きな物とかあります?」
「俺は…キングダムハーツが好きなんだ!」
「キングダムハーツ?」
「俺の大好きなゲームなんだ!」
フレイムはタルマエにキングダムハーツの事を話した。ストーリーは言えないが、凄そうなゲームだと知った。
「これがキーブレードなんですね!」
「キーホルダーだけど、俺の宝物なんだ!タルマエにもいつかキーブレード紹介するよ!」
「ありがとう!!」
「フレイムさん!明日苫小牧のPRのお手伝いしてくれます?」
「もちろんいいけど…?」
翌日
駅前の広場
この日はバザーが行われていた。
「ああ、とまこまい〜…」
タルマエはあの時と同じ場所で苫小牧を紹介した。
「あの時の子じゃない?」
「タルマエだ!!」
人だかりは小さいが、列はできていた。
「今回は歌の用意はありますが、一緒に歌ってくれるあの子を呼びました!」
店の看板に注目する人達。そこに出てきたのは…
「初めまして、メジロフレイムです。タルマエとデュエットで歌うので是非聞いてください!!」
圧倒的人気のフレイム。人だかりは数分たらずで大人数になった。
「それでは聞いてください!make debut!!」
「響けファンファーレ、届けゴールまで〜♪」
「輝く未来を 君とみたいから〜♪」
響き渡るmake debut。2人だけのデュエットが轟かせた。
「フレイムさん、今日はありがとう!」
「あの曲歌ったの久々だったし、ライブやっぱ楽しいわ!!」
「よくこの場所で許可が得られましたね」
「ステージもあるから急エントリーしたからな、滑り込んで正解だったぜ」
タルマエの可愛い歌声とフレイムの歌唱力がマッチしており、ステージならアピールプラス活気にも役立ったのだ。
「けど、フレイムさん本当にありがとう!」
「楽しかったぜタルマエ!繋がる心が…?」
「”俺たち”じゃねーのかよ」
「男性じゃないのでこれでいいはずでは?」
「…まぁいっか」
パネルで知ったタルマエ。フレイムはまた1つの思い出を刻んだ。
「「あぁ とまこまい〜♪」」
2日後、三井宛に何かが届いた。
「トレーナー、その箱なんだろう?」
「俺何も頼んでないけど…?」
「開けてみます?」
箱の中には…
「あぁ!ハスカップだ!!」
名産品のハスカップが入っていた。
差出人は”H.T”と記載されており、分からないままだった。
「でも、なんで届いたんだ?チームの関係者からか?」
(トレーナーとローマさんには分からないけど…秘密にしておこう!)
「これジャムにもなるの?!じゃあヒシアマ寮長に作り方教えてもらおう!」
カフェテリア
「タルマエ!」
「ふふふ、喜んでくれましたか?」
「あぁ!ローマさんも他の皆も喜んでたぜ!」
差出人は彼女だった。
コメント
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お久しぶり!!サブだけどストーリー楽しみだよ!!
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