「ないこ。これ何?」
そう言って見せられた俺の棚に隠してあった一冊の本。
正座をし見上げたその先には御立腹のまろの顔…。
どうしてこうなった…!!
時は少し遡り…
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桃side
きっとこれは悪い夢。
そうだ。そうに違いない。
だって最近仕事忙しかったんだもん。
だから帰ってもまろは寝てるし…でもストレスは溜まるし…
だからせめてまろに迷惑はかけようなんて思わなかったよ…だから
ひとりでこっそり抜いてたって言うのにさ…
なんでなの!?なんでないの!?あの本!!
落ち着け。一旦落ち着け。俺。
まだバレたって確証はないだろ。
ただ俺が持ち出しただけっていう可能性も無きにしも非ず。
「でも持ち出した記憶なんてないんだよ!!!」
あぁ…最悪の事態かもしれないこれは…
「ないこー?なんかすごい声してたけど大丈夫?」
そう言って部屋の扉の前からまろに声をかけられる。
「う、うん!大丈夫大丈夫!ちょっと仕事大変だっただけ〜!」
と、適当に誤魔化しておくがどうやらそう上手くはいかなかったらしい…。
「ホンマにー?ないこがあんな大声出すなんてなんかあったとしか思えんのやけど!」
「大丈夫だって!と、とにかく大丈夫だから!」
多少強引に会話終わらせようとしてる気はするけど多分逃げ切れるでしょ…
それより早くあの本の行方を…!!
「ふーん。ならええけど…」
「う、うん!だいじょぶ。だいじょぶ…」
「あ、この後ないこが落ち着いたら話したいことあるから終わったらリビング来てな。」
あ、…もしかしてこれ俺…終わった…??
そう言い残してリビングの方へ歩いていく足音だけが聞こえた。
__________
そして現在に至る。
「ないこ。これなに?」
「……」
「なぁ…」
「あっ…その…」
かれこれ10分以上正座の体制のままこの尋問は続いている。
きっとまろは俺の口から聞けるまでこの尋問は辞めないはず。
逆に言ってしまえば俺が正直に言えばこの地獄は終わるということ。だがしかし俺はそんな強メンタルを持ち合わせてはいない。
「教えてや。なんでこんな…えっちな本がないこの部屋にあるん…?」
少し言葉を濁らせて幾度も聞かれた質問を問われる。
もう正直に話した方が絶対にいい。
ずっとビビって逃げ続けるくらいならちゃんと話して反省しよう。
きっとそれが得策だから…
「最近…まろとその…予定が合わないせいで…結構溜まってて…その…」
ほんとどうかしてたよな…俺…。
いくら仕事忙しいからって…そんなの彼氏の責任にするなんて…
「ほんとごめん…」
1度深呼吸をして頭を下げる。
「なんでなん…?」
そう言い放ったまろの目には涙が浮かんでいた。
「なんで…もっと俺の事頼ってや…!」
「え…?」
「ないこがキツイんやったら俺がいくらでも癒してあげるし…その…溜まってるなら…俺が…さ…」
恥ずかしそうにふいっと顔を逸らしてそう呟くまろ。
「その。俺やって彼女なんやし…こんな女より…俺の方がないこのこと絶対満足させられるし…」
「や、まろ…?」
「ないこの事1番満足させられんのは俺やし…。」
目だけは合わないけど耳まで真っ赤になった赤い顔は丸見えだ。
「まろ。」
「何?」
「そんなこと言われたらその…今すぐその…」
「別に…好きにすれば…」
完全に予想外。完全に拒否られると思ったのに…。
そんな可愛いこと言われるとますます抱きたくなる。
「でも交換条件がある…」
「ん?何?」
そう聞き返した時には遅かった。
唇に感じる久々な感覚。
銀の糸が伝ったその先にはにんまりとした彼の顔が。
「俺だけ見てて」
リビングの一角で水音と共にソファーが軋む音が響いた。
コメント
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しぬ、、、、😇😇😇😇 神作過ぎでは????? 続きとかあったら待ってます!!!