第3章 体育祭とすれ違う想い
🌸○○side
朝から太陽がまぶしくて まるで今日が特別だって言ってるみたいだった
体育祭 LANはリレーの選手で 私は応援係
いつもより少し遠くに感じる距離 それだけで胸がざわざわした
「○○!見ててよ!」
スタート前 LANがこっちを見て笑う
いつもの笑顔 だけどなんかまぶしすぎて、目をそらしてしまった
走る姿が本当にかっこよくて みんなが「すごい!」って言うたびに
胸の奥で小さなモヤモヤが広がっていく
あんなに人気なのに なんで私だけ特別だと思ってたんだろう
勝手に期待して 勝手に苦しくなって
終わったあと LANがこっちに走ってきた
「○○!見た?俺、一位だったよ!」
「……見てたよ すごかったね」
声が少し硬くなるのを自分でも感じた
「どうしたの?なんか怒ってる?」
「怒ってないよ」
笑ってごまかしたけど、全然笑えてなかった
🌸LANside
○○が冷たく見えたのは気のせいじゃなかった
朝からずっと探してたのに 目が合ってもすぐそらされる
なんか俺 何かしたっけ
「○○」
放課後 片付けが終わって人気のないグラウンドで声をかけた
夕陽がまた沈もうとしてて、影が長く伸びる
「今日、なんか変だった」
「……別に」
「別にって言うときの○○、絶対なんかある」
沈黙 風の音だけが耳に残る
「LANって、みんなから人気だよね」
「そんなの関係ないよ」
「でも、嬉しそうだった」
「……嬉しかったけど、いちばん見てほしかったのは○○だよ」
その言葉が落ちた瞬間、全部が止まったみたいだった
見上げた空はオレンジで、○○の頬も同じ色に染まってた
「……ばか」
「うん、○○限定のばかでいい」
二人の笑い声が重なって、少しだけ涙がにじんだ
―――――
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