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1 - だから私は彼の隣に並べない

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2022年05月11日

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私のクラスでは


いじめが起きている____





「っ、、。」



それをクラスメイトは見ることしか出来ず


誰も助けることはない



なぜなら




“自分が次に狙われるのが怖いから”








もしかしたら私もその1人かもしれない。


現に目の前で彼女がいじめにあっている


彼女は綾瀬幸(あやせゆき)さん、


クラスメイトからのいじめも絶えず


彼女自身も限界に達していた



彼が動くまでは___





z「ん、」


綾瀬さんのノートを拾って渡したのは鳥居くん



鳥居希くんだ。


彼はクラスでも人気な人でよく目立つグループにいる。


もちろん彼を好む人も2人に注目していた



z「これで全部か?」



「…はい。ありがとう、ございます。」



z「ん、いいえ」




希くんが彼女を助けたことで綾瀬さんを気に入らないと思う女子も増えた



希くんは元々優しい存在で正義感の強い人だでも希くんと綾瀬さんは接点がないことから今回庇ったのは意外だった



希くんに気にかけてもらえる綾瀬さんは羨ましい。


そう思ってしまう私は酷いかもしれない



.



.


私は1年の頃から希くんが好きだった



わざと下校時刻を揃えたり


自転車で一緒に帰ったこともある



そのうち少しずつ話すようになって


冗談も言える仲になった



私は彼と恋人の関係になりたかった__



.




次の日、登校すると


自転車置き場に希くんがいた


『おはよう、希くん』


z「瀬央さん、おはよう」


『あれ、寝癖ついてるよ笑』


z「まじ!?朝直したはずなんやけどな…」



少し恥ずかしそうにする彼が可愛いと思ってしまう。



『教室に行ったらスプレーかそうか?』



z「ほんま?!ありがと」


そのまま2人並んで校舎に入った



嬉しかったこの時間が、



もう少し。



あと少しの距離だった





.

下駄箱前で綾瀬さんがしゃがんでいた



下段の下駄箱を開けたり、


周りを見回していた




何かを探してるように見える。



z「綾瀬さん?」



希くんが綾瀬さんにはなしかけた。



z「おはよ、綾瀬さん」



「お、おはよう。ございます、、」



正直びっくりした。


普段の彼なら綾瀬さんに話しかけることは無かったのに。



昨日のことがあってか


彼は少し綾瀬さんを気にかけている。



z「どうかしたん?探し物?」



「あ、、えっ、と、、」



綾瀬さんは少し困惑していた、


それは私を見ると更に

困惑しているように見えた



『一緒に探そうか?__』



私は勇気をだして彼女に声をかけた


すると綾瀬さんは目を大きく見開かれた



__なんで今?_



途端に後ろめたさが湧いてきた


以前


女子トイレでジャージを


濡らされている姿を間近で見た時は


見て見ぬふりをしたのに、


希くんの前では綾瀬さんを気にかける


優しいクラスメートを演じていたのだ



きっと、彼女も呆れている。


「なんでも、無いから。」



綾瀬さんは少し強めにそう言うと

教室に向かってしまった



でも彼女は履いていなかった。



『ねぇ、あれ、、』



私は彼女の足元を指さし希くんに教えた



『上履き、なくなっちゃったのかな。』



また、クラスの人達に__


そう思ってしまった



z「なんで、綾瀬さんが


我慢しないといけないんや。」



そう希くんは言うと急いで上履きを履き


来賓用のスリッパを持って


綾瀬さんを追いかけた



z「とりあえずこれはいとき、」


そのままよりはいいやろ?



希くんは戸惑う彼女の足元に


スリッパを置いた



「ありがとう。」


z「どういたしまして」



そう言い笑う希くんに


綾瀬さんも目を細めた



そんなふたりを見て心が痛む



いじめをするクラスメートが


近くにいない時にだけしか


都合のいい言動ができない私は偽善者だ。




綾瀬さんの目が何より私を責めていた




休み時間は希くんと二人で勉強をしていた


私の目の前には椅子に座って黙々と

課題を進める希くんが居る。



この幸せがずっと続けばいい、


そう思ったとき___



綾瀬さんが教室に入ってきた



その姿にクラスメートは一気に静まった




教室の入口にたった綾瀬さんは


全身ずぶ濡れ


髪やスカートからは水が滴って


足元には水たまりができている


ブラウスが肌に張り付き


下着が透けて見えて


とても酷い姿だった



私は思わず立ち上がった


カバンの中に部活で使うタオルがある


早く、綾瀬さんを拭いてあげなければ



でも、主犯のクラスメート達がいる前で


私は彼女にタオルを貸すことは躊躇われた



私は立ち上がったまま


それ以上動くことが出来なかった__



z「最低やな、」


希くんが立ち上がり彼女の方へ歩み寄って


自身が来ていたカーディガンを


綾瀬さんの肩へかけた



それは、教室全体に渡る声で言われた




お前らいい加減にしろ!


.


それはクラス全員に言っているようだった


綾瀬さんをいじめた人達、


それを見て見ぬふりをしてる


私のようなひとにも、希くんは怒った




.


綾瀬さんは手を顔で覆い泣き出した


それは


いじめに耐えられないのか


それとも希くんに庇われたことが

嬉しかったのかはわからない。



だから、私は傷ついた


多分、彼の言った「お前ら」には


私も含まれているのだろう。



.


その後のこと、綾瀬さんの隣には希くんが居ることが多くなった


希くんの助けでいじめはなくなり


綾瀬さんと希くんの笑顔も増えてきた



.


もし、あの時私が綾瀬さんを助けていたら


あの隣で笑っているのは私だったかも



私は希くんを笑顔にさせることは出来ない


綾瀬さんを


いじめから救うことが出来ない私は


希くんの隣には相応しくない。



.



だから私は彼の隣に並べない___

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