1、2話 太宰side
BEAST、太宰を拾った日のネタバレあります。
嗚呼、やっとだ。
長かった。
漸く計画が達成される。
全ては織田作の為。
友を死なせない為。
6年前からずっと考えてきた。
別世界の記憶を見てからずっと。
でも、
一度だけ本当に一度だけ
全てを話してしまいたいと思った事があった。
6年前、織田作と別れる時。
彼は云った。
⌜親切にどうも。あんたはいい人だな。⌟
あの時の言葉。笑顔。
忘れられる筈が無い。
全てを話して、あの場所で飲みたかった。
あの夜の様に。
でも、そうはしなかった。
やっぱり織田作を助けるにはこれしか無い。
芥川君と敦君に全てを話した。
二人に全てを託す。
この二人の異能があればこの世界は守れる。
織田作は死なずに済む。
私はビルの柵に脚を掛けた。
そこで、芥川君からある問を受けた。
‘’何故これ程迄にこの世界に執着するのか‘’
確かにあの世界の記憶が無い私ならどうでもいいと答えるだろう。
「_でもね、」
此処は織田作が……、
「此処は彼が生きて小説を書いている唯一の世界だ。そんな世界を消させるわけにはいかないよ。」
そう答えた。
これで友を守れる。
私の望んだ世界。
楽しみだ。本当に楽しみだ。
漸く計画が達成されるのだから。
それでも心残りはある。
彼の小説を読む事が叶わない事。
けれど、彼を守れるなら_。
私は後ろに体重をかけていく。
そこで、
『太宰さんっ!!!』
名前を呼ばれた。
驚いた。
そんな事有り得るのか。
そう考えていると、走る音が聞こえる。
そして、思い切り抱きつかれた。
『太宰さんっ!太宰さんっ!!!』
こんな事が有るのか。有り得るのか。
思わず名前を呼ぶ。
あの世界の様に。
「芥川、君…?」
自然と涙が溢れる。
「駄目じゃあないか…、笑」
「上司の指示には従わないと…、ね?笑」
これじゃあ計画が台無しだ。
でも、心底嬉しかった。
笑ってしまう程に。
『すみませんっ……、でもっ…でもっ!!』
『太宰さんが死ぬなんてっ……僕はっ……!』
本当にこの子は駄目な部下だなぁ……笑
健気で真っ直ぐで、不器用。
すごく、懐かしい。
思わず頭を撫でた。
そして抱きしめる。強く、強く。
君が死ぬのは今じゃない。
私の為に命を使うのは勿体無い。
君にはもっとやれる事がある。
世界を守る以外にも沢山。
妹の事も。
それでも、
「ありがとう。」
「生きて、私の分まで。」
芥川君に私の思いを伝えた。
そこで一つ思いついた。
人生最後の悪巫山戯だ。
『太宰さっ……!』
芥川君が口を開く。
それでも遮って云う。
「しくじっちゃ駄目だよ?笑」
この世界で、今の芥川君にしか分からない
とっておきの悪巫山戯。
「しくじったら、次会った時、」
「二回殴って、五発打つから…ねっ。笑」
地面が近付く。
終わりが近い。
芥川君を、強く、強く抱きしめる。
絶対に、死なせない。
泣いている。
私も、芥川君も。
「芥川君、本当にありがとう!」
言葉には出さなかったが、地面とぶつかるその瞬間迄そう、思っていた。
思い出してしまった話 [完]
ここまで私の妄想に付き合ってくださった方、本当にありがとうございました!
あと、1つお知らせです
学校が始まったので投稿の頻度が激落ちくんになります。
ご了承くださいませ。m(_ _)m
コメント
25件
太宰さんどっちの世界でもむくまれなさずきませんか!!?、 BEASTでは自分がしんで織田作は生きてるけどどっちみち小説は読めないし sidAでは織田作がしんで小説読めないし、あわわ報われなさすぎる 本当になきそうでした
誰か私にハンカチをくれる方はいらっしゃいませんか…ッッ() もう本当にBEAST太宰さんは幸せになってくれ……、じゃないと私が泣いてしまう……() もう「二回殴って五発撃つ」から大号泣だよぉぉ……!! 学校頑張れぇぇぇぇぇ!!投稿はゆっくりで良いから自分最優先にしてねぇぇぇぇ!!!