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#このキャラでログインしたい
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「ふへぇ……」
『シロさーん? さっきから息が抜ける様な声が続いてるけど、大丈夫ー?』
「あ、す、すみません! 大丈夫です! こっちは終わりましたー」
『おぉ、早い。慣れて来たねぇ』
イベント翌日、再びガンサバにログイン。
ただしいつも通り、サブキャラの方で。
クロさんと一緒にストーリーイベントをこなしているのだが……現在は二人共位置を離して、多方面から敵NPCのアジトを襲撃中。
なんだけども……駄目だぁ、コレ。
昨日ガッツリメインキャラで集中した影響なのか、気を抜くとすぐハンドガンを使って近接戦を挑んでいる自分が居る。
他の戦い方や武器を学んでいる筈なのに、得意な方へ逃げている状況。
あはは~……自分で思った以上に、昨日の疲労が残っている様で。
実際イベント後は、もう何もしたくありませんって感じなったし。
ベッドに突っ伏していたら、いつの間にお兄ちゃん帰って来てたし。
しかもその状況を予想されていたらしく、夕飯&朝食。
そして本日はお休みの為、昼食まで兄に任せてしまった程。
駄目ですねぇ、居候の分際で、良くないですねぇ。
とは自分でも思ったんだけども、気を抜くとボーっとしてしまって。
ほとんど食べた事がなかったデリバリー料理を兄が頼んでくれたのを、食べている途中で気付いた程。
疲れて、ますねぇ……。
ついでに言うと、何やら他の賞金首どうとか。
私のサブキャラがどうとか言われていた気がするけど、何か適当に返事をしてしまった気がする。
後でまたちゃんと確認しておかないと。
サブキャラって言っていたけど、賞金首のお話が出たのならお仕事関係かもしれないし。
などと思いつつ、ボケッとしたまま昼間からログインしてしまった訳であります。
見事なゲーム中毒者、見参。
『こっちも終わったよ、お疲れ様。裏口の方に集まろうか、報酬貰いに行こう』
「了解でーす」
段々とクロさんとゲームする事にも慣れ、結構気の抜けた返事を返してしまう事も多い。
そんでもって……昨日アレだけプレイヤーと戦うと、嫌でも実感するけど。
NPCの戦闘の方が、とてもとても楽だぁ……。
しっかり連携はしてくるけど、急に変な行動取らないし。
行動が予測できるのも有難いのだが、何よりちゃんと“倒し方”が用意されていると分かる。
プレイヤー相手だと、どうしたってそう上手く行かないもんねぇ。
というのと、単純に人間相手だから心理的に疲れるというのもありそうだけど。
などと考えつつも、クロさんと合流してクエスト主の所へ移動。
今回の報酬を分け合い、その後お店に寄って軽い雑談をしていると。
「あーえっと、さ……こんな所でリアルの話題を持ち込むのは、ちょっとアレかもしれないけど……少しだけ、相談して良い?」
「え? あ、はい。私に相談して良い事なら、どうぞ」
ちょっとだけ気まずそうな顔をしたクロさんが、声を抑えながらそんな事を言って来た。
リアルの事……となると、私に解決出来そうな話題の方が少ない気がするんだけど。
なんだろう?
友達の居ない私に対して、友人関係とか恋人関係の事を相談する筈もないし。
更に言うなら、クロさん……リアルの方で言う黒沢君と、学校でもあまり喋らないという現状は続いているのだ。
挨拶くらいはするようになったので、私としては大進歩なのだが。
とかなんとか思いつつ、首を傾げてみれば。
「あの……さ。俺が学校で一緒に居る友達、分かる? 男子二人」
「あ、はい。よくゲームの話してますよね? クロさんを含めて、三人で」
「うん、そう、その二人。それなんだけどさ……物凄く、しつこくて」
「と、言いますと?」
よく分からないけど、彼は大きなため息をつきながらテーブルに突っ伏し。
「ごめんシロさん……そろそろ隠すの限界かも。シロさんと俺が一緒にやってるゲーム教えろって、一緒にやらせろって……断わってはいるんだけど、二人共ゲーマー女子に憧れを持っているというか、なんというか……」
あぁ、そういう。
とはいえ、あまりよく意味を理解していないのは確かなのだが。
「えぇ~と? ゲームをやっている女子に憧れ……というのは、よく分かんないんですけど。つまり、一緒にゲームしたいって言ってる、と?」
「簡単に言うと、そうです。ごめん……シロさん、騒がしいの嫌いだよね?」
まぁ得意では無いけど。
多分知らない人というか、喋った事の無い相手だと絶対テンパるけど。
クロさんと一緒にゲームするのだって、最初はビクビクオドオド。
何かある度にブンブン頭を下げながら謝り続けた程だ。
「あの、私なんかじゃ全然お役に立てない可能性が高いですし、一緒にやってもつまらないかもしれませんけど……その、頑張ります、よ? クロさんのお友達が、一緒にゲームをしたいと言うなら。私も、ゲーム友達……欲しい、ですし」
「…………え、良いの?」
「ま、まぁ……全然喋れないかもしれませんし、足を引っ張りまくると思いますけど……それでも、良ければ」
相手は何やら複雑な表情を浮かべているが、コレは了承してしまって問題ない話だったんだよね?
ただゲームやるだけし、別に問題無いよね?
ここ最近でクロさんとはそれなりに話せる様になったので、前よりかはマシだと思うのだが。
少し前まで、お兄ちゃん以外とはろくに喋れなかったし。
とはいえ、ごく普通のコミュニケーション能力を求められたら、一発アウトだろうけど。
そんな訳で、相手お話を受けてみた結果。
クロさんは何度も何度も確認して来たが、此方はOKだと伝えておいた。
考えすぎかもしれないけど、私のせいでクロさんがお友達と仲悪くなっちゃっても嫌だし。
ということで、しばらくその話を続けてから二人共ログアウト。
昨日イベントに参加した影響で、学校の課題が終わっていないから夜は勉強するそうだ。
なんか、凄い。
とても学生らしい会話をした気がする。
なんて事を思いつつも、夕飯くらいは作ろうかとキッチンへと向かってみると。
「お、今日は早いな? もうゲーム止めたのか?」
冷蔵庫を開けたお兄ちゃんが、中身と睨めっこをしていた。
もしかして、夕飯まで用意するつもりでいたのだろうか?
「ご、ごめんね? 私がやるよ。せっかくのお休みなんだから、お兄ちゃんは休んでて」
「休みなのは夢月も一緒だろうに、お前こそ休め。ただなぁ……昨日頑張って貰った妹を労おうと、夕飯もどうにかしようと思ったんだけど……二食続けてデリバリーって、飽きるよな? とはいえ、俺じゃ料理出来ないし……」
だから、私がやりますって。
というかそもそも。
「普段自分で作ったものばっかりだから、デリバリーでも充分美味しいよ? 宅配ピザって、私初めて食べたもん」
「…………あんのクソ実家、いつか燃やしてやる。いよしっ! 夢月、出掛ける体力あるか? 今日は外食にしよう、兄が旨い店に連れてってやる!」
「え、あの……外食じゃ、結構お金掛かっちゃうし」
「結構稼いでるから平気でーす。というか、お前はもう少し楽する事を覚えろ。なるべく俺も早めに帰って来る様にするから、俺が居る間は基本的に手を抜け。良いな? お前は頑張り過ぎ」
「う、うん? 普段からお兄ちゃんに甘えっぱなしだと思うけど……」
なんかよく分からないけど、今日はお外ご飯になるらしい。
勢いに流されたまま外出着に着替え、兄の車に乗せられてからすぐさま出発。
昔から基本家でのご飯だったので、私にとっては全てが新鮮。
普通の学生は、友達と一緒にお外ご飯をするんだーみたいに言われても、友達が居なかったので経験してないし。
未だに、コンビニでお菓子を買うのにだって抵抗があるくらいだ。
「あ、そういえば夢月。昨日言ってた話通しちゃったけど、本当に良かったのか?」
運転中の兄から、急にそんな声が掛けられた。
一瞬、何の事だろう? って思っちゃったけど、間違いなく私が聞き逃した話だろう。
「初回の通話というか、打ち合わせは俺と早乙女さんも加わる予定だけど。その後はお前達に任せっきりというか、好きにやって良いぞーって感じになると思うぞ? 間違っても、サブキャラで“6key”だと悟られる様な真似はするなよ?」
「え、えーと……」
不味い、本気で何の事か分からない。
という事で、気まずい沈黙をしながら言葉に詰まっていると。
「昨日話しただろう? “seven”と、それから改名した“4card”。あの二人が、サブキャラで良いからお前と一緒に練習したいって言ってた件だよ。まぁ普通にゲームするだけにはなると思うけど、賞金首同士の交流だな」
ウグッ!?
改名したって話は、なんとなく記憶に残っている様な……いないような。
でも元の人が誰だったかは覚えてない。
そんでもって、ごく普通にプレイしようってお誘いが来ているのは分かった。
けども……その内の一人が、“seven”。
つまり、あのテンション高めの女の人。
だ、大丈夫かなぁ……コレ。
あのままグイグイ喋られたら、私完全に置物と化す気がするんだけど。
「……夢月? 大丈夫……なんだよな?」
「…………ハイ、頑張りマス。こっちでも、また。別のプレイヤーと一緒にやろうって、誘われた所なので……この機会に、トモダチ、増やしマス……」
「おい待て、そっちの話はお兄ちゃん初耳だぞ」
という事で、私には再び多くの試練が降りかかるらしい。
ガンサバイブオンライン、なんて恐ろしいゲーム……。
ダークな雰囲気で、シビアなシステムで、どこまでも心身ともに追い込んで来るゲームの癖に。
こんなにも次から次へと、“お友達イベント”が発生してしまうとは。
もっとこう、ゆるふわな雰囲気だったり。
絶対にプレイヤー同士の協力が必要になりますよ! っていうゲームなら分かるけど。
まさかソロ向きな筈のゲームで、こんなにも人脈が広がるなんて誰に想像出来ただろう。
いやホント、ゲームって凄いね。
これ程まで人生に影響するツールを、兄の所に来るまで一切触って無かったのだ。
そりゃまぁ、周りの人たちと話なんか合わなくなるよねぇ。
ハ、ハハハ……と乾いた笑みを浮かべながらも、車の窓から外の光景を眺めるのであった。
あ、さっき通りがかった裏路地……集団戦になったら戦いやすそう。